これ、マジでどうしようかな。
なんか電脳が喋れるようになったのは良かったけど、戦況は非常によろしくない。
再び巨大な火の玉をギリギリで回避する。
けど火の玉が壁に当たった時の爆発でHPが削れた。
火力がとんでもない。
このままだと逃げ続けてもジリ貧か。
「白、ギャラドスの上を通るときに毒を投下して!」
「わかってる!青こそちゃんと雷槍撃っててよ!」
「了解!」
怠慢を発動させて、魔導の極みに意識を移す。
体に液体を流す感じで温度、流動を感じ取る。
「「雷弾」!」
『フレイムギャラドス Lv28
HP:1418/1432(緑)』
え、は、10ダメージ?
まずい。
思ったより効いてない!
勝てないかも。
どうしようか。
「サヤも魔法撃って!」
「わかったわ!」
サヤが溜めている間にも火の玉は飛んでくる。
避けれてるけど、その分溜めに時間がかかってる。
俺より大技なところもあるかもしれないけど、魔導の極みがないことも確実に影響してる。
このまほう、元々俺みたいな感覚で撃つものじゃないのかもしれない。
「「雷魔法LV4、雷弾」!」
激しい音がして、高速の電気の球がギャラドスに激突した。
ギャラドスがのけぞったのを確認し俺たちは再び体勢を整える。
これは結構効いたんじゃないか?
『フレイムギャラドス Lv28
HP:1345/1432(緑)』
全然効いてねぇ!
やばい。今まで戦った敵とは硬さが違いすぎる。
なんで頭吹っ飛ばしてこれしか効いてないの?
硬過ぎない?
少なくとももう電気弱点とは思わない方がいいかもしれない。
もともと水タイプは消えてるかもしれないし、相性という概念が曖昧なのかも。
どちらにしろ、このままだと絶対に死ぬ!
「サヤ、白!殺す方法思いつくか!?」
「まだ思いついてない!」
「今のところはないわ!」
まずい。
今はなんとか避けられてるけど、サヤのMPの減り方を考えると削りきれないのがわかる。
さっきの魔法あと10回くらいしか撃てないらしいし。
逃げるしかないか?
うん。逃げよう。
「サヤ、逃走しよう。これは削りきれない」
「わかったわ。やってみるだけやってみる」
「白もいいな?」
「う、うん」
じゃあ、生き残りに賭けるか。
俺たちが方向転換したのを見て、ギャラドスは追い討ちをかけるように突進してくる。
実際のところ火の玉だったら距離を取れていたと思うから、その近付いてくるっていう選択は出来ればしないで欲しかった。
「サヤ、次は左!」
「わかったわ!」
白には進行方向を指示してもらっている。
俺たちが下層にいたときも白が道を決めていたし、多分俺が前を見て思考するよりかはいいだろう。
ただ状況が良くなったわけではなくて、あくまで長引かせてるだけ。
ギャラドスも逃さまいとしてるしこのままだとジリ貧なのに変わりはない。
実際この後はどうする?
上手く隠れてやり過ごすのがいいのか?
そんなうまく撒くことなんて出来ないかもだけどもうそれしか残ってないんだ。
「白、サヤ。多分逃げ切るのは無理だ!隠れた方がいい!」
「わかったわ!」
「わたし小型化使えないんだけど!」
「知ってる!でも、サヤと俺が小さくなるだけでだいぶ変わるはず!」
「白、サヤ、隠れ……」
えっ。
身体が突然揺れ始めた。
サヤがおかしくなった?
なんだ?
いや、違う!!
サヤとか、私自身が揺れてるわけじゃない。
地面が揺れてる!
地震か!?
いや、でも地震にしては規模が大き過ぎる。
いや待て嘘だろ。
嘘だと言ってくれ!
だんだんと激しくなってる!
ギャラドスの突進の時の揺れなんてものじゃない。
ガラガラと激しい音をたてて、巨大な壁が崩れ落ちた。
崩れ落ちた壁はマグマの中にボチャボチャと激しい音をたてて沈んでいく。
しかもその範囲はどんどん広くなっていて、ドミノ倒しのように一気に広がっていく。
まずい!
てか、やばい!
中層もろとも崩れ落ちて消滅する!
このままだと生存競争とかじゃなく、天災で死んじまう!
「サヤ、落石!」
「わかってるわ!」
次の瞬間、ドガンと激しい音を立てながら一気に天井の岩が崩れ落ちてきた。
俺たちは全力でその場から退避する。
ギャラドスも追いかけて来てるけど目の前で間に合わなずに下敷きになった。
一瞬で見えなくなるギャラドス。
ただ、そんなことどうでもいい!
こっちが死んじまう!
『ギャラドス死ぬか?』
『この落石では、おそらく死なないと考えられます』
ダメかって、いや、あぶな!
巨石が俺とサヤを掠めて地面に落ちる。
小型化したいけど、ここで能力が下がっちゃうと絶対に死んじゃう!
「ナメクジに気をつけて!」
「わかってるわ!」
鞘の上で立ち位置を白と交代して、邪魔な位置にいるマグマックを雷弾で撃ち倒していく。
マグマックどもは現状を理解できずに、いつも通り動いてる。
そして、潰されていった。
「青!前に落石!」
「右に避けるぞ!」
やべえ。
これ、中層全てが埋まったら終わるな。
「青!サヤ!岩の間に入れそうな隙間が出来てる!どうする!」
見ると、ちょうど白がギリギリ入れそうな隙間があった。
いや、これ、潰されなさそう!
頑丈だし!
多分!
前方も崩れ続けてるし、今生き残ることを考えると……隠れてみるか。
「これこそ賭けだぞ、2人とも!」
「「わかってる!」」
俺たちは、岩の隙間に入り込んだ。
激しい地鳴りは一日中続いた。
朝と夜もわからないけど。
ギャラドスと戦う前に、タツノオトシゴを食べていたから飢えることもなかった。
そして、地鳴りは終わった。
生き残った!
このよくわからん地震をなんとか生き残った!
そしてギャラドスからも逃げ切った!
偉い!偉いぞ俺!
サヤと一緒に外に出て、伸びをする。
相変わらず熱いし、岩の隙間からマグマが噴き出してきたりはしてるけど、さっきの様子と比べたらすごい平和だ。
あ、マグマックどもも出てきた。
岩の隙間から出てきてるし、一部の危険に気づいた奴らが小型化したのかな?
すると、厳選されてるわけか。
まあ、その遺伝子は俺が強くなるまで頑張って取っといてもらいましょう!
岩をどかして白を救出する。よし!これで元通り!
さて、ではどうしようか。
中層をこのまま進むのでいいかな。
「じゃあ、青、サヤ。何が起こったかはわからないけど、中層から上層で向かうのを続行するのでいいよね?」
「「もちろん」」
ただ、俺の電脳だけはそれを許してくれなかった。
『来ます』
『クソ。これでも生き残るのかよ。アイツは潰されただろ』
『来ます』
『わかってるよ』
「白、サヤ。やっぱ来たぞ」
「マジか」
ドゴン!ドガン!ドゴン!
遠くの岩が吹き飛び、ヤツが再び姿を現した。
『フレイムギャラドス Lv28
HP:538/1432(緑)
MP:862/1088(青)
SP:968/2285(黄)
:1495/2189(赤)
ステータス
平均攻撃能力:1895
平均防御能力:1457
平均魔法能力:1183
平均抵抗能力:1716
平均速度能力:1486
「火竜LV8」「逆鱗LV2」「地動波動LV3」「HP自動回復LV3」「MP回復速度LV1」「MP消費緩和LV1」「SP回復速度LV6」「SP消費緩和LV6」「火炎攻撃LV5」「火炎強化LV3」「炎噛LV6」「竜巻LV4」「炎柱LV1」「破壊強化LV6」「打撃強化LV4」「命中LV10」「回避LV10」「確率補正LV8」「気配感知LV4」「危険感知LV7」「高速遊泳LV7」「飽食LV3」「打撃耐性LV6」「炎熱無効」「身命LV1」「瞬発LV8」「持久LV9」「剛力LV1」「堅牢LV1」「術師LV4」「護法LV4」「疾走LV5」「強化産卵Lv10」「小型化Lv10」「禁忌Lv1」
スキルポイント:8500
称号 「悪食」「血縁喰ライ」「魔物殺し」「魔物の殺戮者」「無慈悲」』
「やるしかないわね。弱体化はしてるし。私に乗って」
「「おう!」」
やっぱり、硬いなお前は。
だからこそ、しっかり終わらせよう。
もう、疲れただろ。破壊は。
俺たちは、ギャラドスの方に向き直った。
ーーーーーーーーーーー
同時刻。魔王アリエルは、頭を抱えていた。それもそのはず、彼女にとって、この状況は異常過ぎた。
『クイーンタラテクト LV89』
『クイーンタラテクト LV87』
『クイーンタラテクト LV69』
『クイーンタラテクト LV79』
『クイーンタラテクト LV78』
『クイーンタラテクト LV89』
『クイーンタラテクト LV87』
『クイーンタラテクト LV69』
『クイーンタラテクト LV79』
『クイーンタラテクト LV78』
おかしい。クイーンタラテクトは5体しかいなかった。
そして、クイーンタラテクトなんておいそれと進化しない種族だ。何かがおかしい。
なんで10体に増えた?
さっきまであった激しい地鳴りもやっと収まった。
けれど、あれにも違和感を感じる。
あの地鳴りは、街から一定距離以上離れた場所でしか発生しなかった。
だから世界が滅亡する程の地鳴りなのに、人的被害はほぼゼロのようだ。
ただの地鳴りならあの
しかも。
『カオス大迷宮』『ソウル大迷宮』『ホロア大迷宮』『エンデ大迷宮』『フェクト大迷宮』
なに、これ。私の知らないうちに、大迷宮が5つも増えている。
名前も聞いたことがない迷宮で、新しく増えたクイーンたちはそこに配属されているらしい。
私はなにもしていないのに。
でも、やっぱりわからない。世界が急回復しているのを感じる。
こそ、世界中にエネルギーが満ちているのを感じる。
こんなにエネルギーで満ちているのなら、世界は一瞬で修復されてしまうだろう。
でも。
でもだ。
なんで?エネルギーは増えているの?
気持ちが悪い。
恐ろしい。
私が知らない間に、何が起こっているのかわからない。
怖い。
たぶん、Dという人からきた「大禁忌」というスキルが関係している。
その人について私はギュリエディストデュオスから聞いた話でしか知らないし、その人の声を聞いたのも何千年ぶりだろうか。なんで、今更関わってきたのだろう。
その人は、私とこの世界に何を望んでいるのだろう。
確か、あの人は私にも話しかけてきていた。
内容は、世界を変えるなにかの発生源を殺さないこと。
他の生き物は殺してもいいとは言っていたけど、そんなの見ただけじゃわからないでしょ。
ふざけてる。
「オリジン」という称号が追加されていた。
なぜか、身体が疼く。
その新しい生き物に、見に行きたい。
会ってみたい。欲しい。
会ったところで手出しは出来ないのに。不愉快だ。
不安と焦りと恐怖と驚きと喜びが混ざってる。
こんな気持ちは、何千年振りだろう。
まあいい。わからないことが多すぎる。とりあえず増えたクイーンタラテクトを見に行こう。
そして、エルロー大迷宮も見に行く。
話はそれからだ。オリジン共。
ギャラドス……水、飛行タイプのポケモン。本編なら電気技で即死する。
この世界ではタイプが変わっている模様。