バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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物語が加速します。


150 星の女神、星の女王

「じゃあ私が帰って来たことだし、ちょっと状況を教えて。

 私がいない間に何が変わってる?」

 

 

 

 

「ええと、MAエネルギーがマックスになったことで星の地盤が強化されて自壊の確率は大幅に低下した。

 まずMAエネルギーを補給する必要はない、なんなら補給これ以上したら膨張爆発しかねない。

 星の裏側に謎の構造があって、今はなんの問題もないけど影響があるかもしれない」

 

私が大臣から聞いたことを復唱していると、テーブルの上に座っていた青が虫を噛み潰したような顔をした。

あ、やばいこと隠してるなコイツ。

彼女、なんかやばいことこっちに言ってないときめっちゃ顔に出るんだよな。

 

ひとまず目をやって、喋れと促す。

本当にやばい時は本気で隠すから、まだ平気なはずだ。

それでも相当まずいことだとは思うけれど。

 

「それギガス」

「え?」

「謎の構造、レジギガスっていう生き物。

 宇宙に出れるようになってから改めて確認したんだけど、ポケモンとして大陸綱引きの段階がこの世界で適合しちゃったっぽい。

 大体この星が地球と同じサイズだから……」

「待って。

 え、それマジ?」

 

こふん。

おっとおっと、思わず素が出てしまった。

たしかにそういえば私も青白関係で星を飛び回っていたとき物体の頭の部分は見た気がするし、今もポケットに入ってる縮んだガラの悪いスマホがバイブしていたかもしれない。

それに青、星とソイツを比べている。

当たり前だけど、となるとそれは星に影響を与える大きさということだ。

具体的に言えば頭が大気圏を突破するほどの大きさ。

 

「高さ350km。

 ただ魔王が暴れてた時はエネルギー不足でしぼんでたし、100km以下だったと思う。

 まあどっちにしろ世界が終わるのは変わらないね」

「なんでまだ終わってないんだ」

「石像だから。

 覚醒したら歩くだけで世界が地鳴りに襲われるはず。とりあえず歩くだけで星が砕け散るようにはしないから安心して」

 

おいおいおい。

それ生物が対処するもんじゃないだろ。

つまり、そういうことね?

 

「うん、これに関してはゼルギズが対処する。

 もちろん純粋なステータスもかなり高いだろうけど十分可能なはず」

 

うーん、そんなあっさりいかないと思うけど。

相手がただの生物ならともかく、石像化できる身長350kmの化け物だ。

神として戦った方がいい。

 

『まー、我がその時は動く。

 なんとかする』

 

青の体内から聞こえる声を眉を顰めながら聞いて、ため息をつく。

こいつら、なんとかするって言って実際なんとかしちゃうんだよな。

電脳の最適解を求める能力のせいだろうが、馬鹿げている。

 

「あ、龍だ。

 昨日も来たのに二日連続とは珍しい。

 行ってくるね」

 

そう言い、窓から外へ蝙蝠のような翼で飛んでいく青ちゃんに私はため息をつく。

もちろんこちらから龍の姿が見えているわけじゃないし、どうせ空に青が飛ばしているレーダーが探知したのだろう。

やっぱり神様だな、人智を超えている。

 

「で、白ちゃんはどうする?

 あんな子に近づかなきゃだめなんでしょ?」

「私は大丈夫。

 今、回ってる。回してる」

 

あー、こりゃダメだ。

目を瞑って石像みたいになってる白ちゃんも今はお取り込み中。

体の中の空間でMAエネルギーを回してるんだね。

そういえば今は魔術がほとんど働かないから、少しでも循環できるようにするって言ってたな。

こうなるとあと半日はこのままだ。

 

『うむ、やはり空から見てもエルフの里に変化はない。

 どうせ魔王、お前が我が庇護領域を出たらヤバいだろうからマジで自己防衛しろよ』

 

うっさい。

ゼルギズ・フェクトガキア、アンタも今は龍迎撃中だろうが。

私に構わないでちゃんと戦いなさい。

というか、なんで大気圏から話しかけられるのよ。

 

『念話である。

 だがそれを直接言うことは、我には憚られるものであった』

 

知ってる。

やめろちび◯子ちゃんのナレーション。

 

 

 

 

 

 

 

たく、これからどうなっちゃうんだろう。

 

「それを私に聞きます……?

 宿題やってるんですから後ろから体重かけてくるのやめてください」

「またまたー。まだ入学したばっかりでしょー。

 

 え?まじ?

 もう宿題出てんの?こわ、貴族学校こわ」

 

 

ソフィアに後ろから絡みつくと、呆れ声とともに跳ね除けられた。

というかまだ学校始まって4日だよね。

私たちが1週間くらい城に着いてからぐうたらしてたことを考慮しても学校始まるの早くない?

 

「私は途中編入ですから、もう宿題が学校始まった日から出てたんです。

 試験がめっちゃ簡単で問題なく入れたから、学校の方がめっちゃスムーズに進めてくれたっていうのもあると思いますが」

 

確かに魔法の実技が入試だったし、それは簡単に入れるね。

でも忙しいなー。

これ根岸ちゃんの素体がいなかったら結構キツかったかもしれないね。

この年齢のままの魂だったら絶対に根負けしてそう。

 

「学校どう?

 いじめられることはないと思うけど、ちょっかいとか出してくる子いるでしょ。

 ちゃんと先生に言うんだよ。

 それでもやばかったら私に言ってね」

「この年齢にもな、あっ…………。

 大丈夫です」

 

うん、そうだよね……。

多分白ちゃんと青ちゃんは子供にもガチギレするから……。

いや、自分を持ってるのはいいんだけど彼女たち、脆すぎるからね……。

 

「鬼くんはまだ青ちゃんの体内か。

 いつ出してもらえるんだろう」

「それは天使様本人に聞いてもらって。

 私はわからないです」

 

これ、平気かな……。

ソフィアちゃん、前のゲームのせいで青ちゃんのことは天使様って呼ぶ脳にされてるし、白ちゃんのことはご主人様って呼ぶ脳にされてるし。

これイジられたら大事に発展しそう。わたし、不安です。

 

「私は大丈夫ですよ、それ思われても。

 あの2人はわからないですが」

「あの2人がなんだって?」

「「ヒッ」」

 

ソフィアちゃんと私の肩を掴みながら、その張本人が後ろで笑っていた。

机の逆側を見ると、白ちゃんも4つの目を光らせながらこちらを見ている。

青ちゃん速い速い、龍はどうしたの。

いつもは50分くらいかかってるじゃない。今日はまだ半分だ。

 

「今日のは弱かったし生きたまま宇宙空間でプレスして無虚空間に突っ込んだ。

 あとで電脳に調理してもらう」

「あーやばいやばいやばい。

 この人らやばいっすよ」

「魔王、声に出てる」

「あ」

『芸術は爆発だ!ポチッとな』

 

電脳の声と同時にぼーんと、ギャグ漫画みたいに魔王城の一室が吹き飛んだ。

 

うーわ、最高神のスマホ硬すぎ。

傷一つつかなくて邪魔。

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔王城、なんか爆発したんだが。

 小娘、なにかわかるか」

「わかるわけないじゃ……わかりません」

 

ポティマスはエルフの里の中、今日も意味のない厳戒態勢を整える。

 

 

 

 

 

 

 

「魔王城、爆発しましたね」

「はい、そうですね」

「暇なん?お前ら。オセロやる?」

「「やりません」」

 

そんな返答を聞きながら、アルセウスは未来を見て自身の記憶を消した。

エルフの里も、魔王城も、あの星もこの星も平和だ。

けれど、アルセウスフォンには戦争が映る。

 

時は回る。

世界は変わる。

戦争はいずれ確実に始まる。

だから、平和で、平和じゃない。

平和を平和と思った瞬間、それは死ぬ。

 

 

 

エルフは設備を増強させ、エネルギーを燃やし続ける。

人間は諦めない。狂いながら進んでいる。

転生者はある者は足掻き、ある者は寝転び、ある者は諦める。

妬する吸血鬼は日常をもがく。

怒れる鬼は覚悟を決める。

アストラルドリームは星を増やし、生命を育み、バグの火種を枯らさない。

神のかけらは眠り、内包された狂気を開花する。

龍もどきは進化する。無限の彼方へ。勝手に。

 

 

 

となると、滅びるのは。

 

 

『始まった』

 

 

 

 

本当の戦争が、もう始まっている。

最高神の笑みは消えた。






真生命創世編、今回で終わりです。
次回は時系列が飛びます。
始まります。
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