バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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聖者は全てを叩き潰す。



154 女神の一振り

「こちらムーブ。

 龍7名の完全消滅を確認。

 ただし、個体名『ゼロターン』のみ現在進行形で潜伏中。

 よーし、これでいいかな」

「良くねぇ」

 

星に内包されるエネルギー的には確かに7人死んでいる、だがそれで龍が死んでしまう訳あるか。

龍はエネルギーの回収と自身の生命を最も大事にしている生物だ。

生物学的な特徴はポティマスに近い、生きるのに執着した生物。

そいつが死んだとは思えない。

 

「チッ。

 どうせアセトって個体には逃げられてんな。

 クッソ……、逃げた原理がわからねぇ。

 転移魔術は発動する前にムーブが潰した。

 それでもどうせ死んでねぇだろ」

『了解。

 アイミの動かした指令はうまく動いているみたいだ。

 あとは私が動く』

「迷惑かける、すまねぇな」

 

 

「女神が動くぞ、ムーブ」

「りょーかい。今回はどういう感じ?」

「念の為、だ。

 多分意味はないが、魔力タイプで検索をかけて消滅させる。

 アセトという存在の破壊を目標としている」

「おっけー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『背中に巨大な羽を生やした天使が、その龍を焼き尽くしました。

 そして天使は駆けます。

 次の龍を殺すために、星を守るために。

 焼石に水をかけ続けたのです』

 

宇宙空間で、聞こえないはずの声を響かせて女神は呟く。

そして星に手を掲げ、

 

『ワールドクエスト発動。

 対象を個体名・アセトに指定。

 内容・魂砕き』

 

そう言い、薙ぎ払った。

次の瞬間、星から噴火のようにエネルギーが弾けていく。

サーモグラフィーのような女神の目には、それが星を照らす戦火に見えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっば……、ゲホッゲホッ。

 イカれてる。

 まじであの神、ゲホッ……、イカれてる」

「どうしたアセト。

 急に、って血を吐いてんじゃないか。

 お前龍なのに急にどうした!」

「やっば。

 もう実力がエグい、ターンゼロ。

 平気?」

「私は平気だ。

 何が起きた?」

 

一般人を脅して入った地下室で、アセトは頭を抱えた。

この星に潜んでいた龍の三分の一が死んでいる。

それにアセト自身も大ダメージを受けた。

別に死んでいないが、潜伏している。

敵からも場所は割れていない。

そのため、アセトはそのパワープレイにビビっていた。

 

「待って、女神15歳だよね?魂を砕くとか、頭おかしいわ。

 一応普通の神との戦い用に防護機能持たせてたけど、無理無理。

 今アレっぽいね、私と同じ魔力タイプの生命を星から一掃したみたい。

 足切りされて私以外の同タイプの龍は死んだっぽいねー」

「はぁ!?

 待て、マジで待て!

 年齢の割にやってることが頭おかしい。

 Dとすでに同レベルのことやってんじゃないのか!?」

「いやー、そこは安心していいよ。

 良くも悪くも女神は概念的な攻撃の方が得意そう。

 そうじゃないなら私がシンクと邂逅した時本丸チュドーンで全滅してたからねー。

 Dと冥土なら単純な物理攻撃で潰してきただろうけど、それが難しいから魔術で攻めてるわけ。

 だから私たちがある程度近づいてもトンデモ被害にはならないかな。

 相対的にってだけでもちろん隠れてた方がいいけど」

「そもそも私ら、龍だよな……?

 概念的な魔術には龍結界で抵抗あるはずなんだが……」

「それはね、うん、女神がおかしい」

 

どこからか取り出したパソコンをカチカチと叩きながらアセトは考える。

なんだかんだラッキーも重なってる。

ターンゼロは叩かれる前に人族の方に情報を流したし、すでに一回死んでもらって人間に乗り換えてもらった。

私も爆発時にあらかじめマーキングしておいた一般人に乗り換えたから生きてるけど、それがなかったら今の魂砕きの攻撃で死んでたかなー。

純度100%私の魂だと完全に砕かれただろうし、先に乗り換えててよかった。

私の星から来てる同族たちはみんな逝った。同じ魔力タイプだったからしゃーない。

ツー、っと鼻から今も血が垂れている、魂を破壊された後遺症結構でかいな。

 

「ま、このままの展開で考えると今地下の大空洞にに潜伏してもらってる龍の軍団にはみんな死んでもらうかな。

 それで構築した方が早そうだ」

「おい、まさか先にみんなを準備してたのって……」

「もちろん使い潰すためだよ。

 アイツらを中心に戦わせるつもりはさらさらなかったし。

 メインプランからサブプランに今は移行したって感じだねー」

 

運ゲー2発勝ってるから生き残ってるけど、どちらかといえば不利な勝負してるなー、私たち。

 

 

 

 

 

 

 

「反応いっぱいあったらしい。

 ムーブどうする」

「龍は全員殺すべきじゃない?

 もう戦争始まってるし、さっさと処理したほうがーー」

「いやしないほうがいいな。

 地下にいる龍、大体150匹程度なんだが、今は休眠状態だ。

 下手に突くと全員目覚める可能性がある。

 あと、今は名前で叩いたから同じタイプの龍を潰せたが、他の龍を殺すための名前がわからん。

 それに空洞内に侵入して潰すことはできるが……」

「なに?」

「とりあえず今はやめよう」

「おっけー。

 ご飯食べに行こう!」

 

市場を歩きながら俺は考える。

そもそもなぜ龍が全員同じ場所に寝ている?

そもそも同じ場所ではないのか?俺が見つけていない龍の寝所が他にたくさんある?

それにしては一箇所で寝ている龍の種類が多い。

それに一箇所しかないとして何故複数に分けない。

一箇所潰されたら終わるんだぞ?

 

クッソ、俺が叩く前に泳がせた方が良かった。

そうすればまだ軍勢の移動とか確認できたかも知んねーのに。

警戒させちまってる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おはよう。

アイミだ。

情報をまとめて、私は考える。

今の所、龍は行動を開始していて、目的は不明。

ただいずれエネルギーの獲得に動くはずだから私の攻撃と抹殺を図るだろう。

ポケモンとの戦争を終えたらDと同時に相手すべきか、ポケモンとの戦争時に同時に叩くべきか。

悩ましいがまだ余裕がある。

 

 

「アセト、やばそう?」

「どうかねー。

 情報をまとめると、女神は行動を開始してて、目的は龍族の抹殺かなー。

 今の所は泳がされてるのかもねー、ま、相手方も本気で私たちのことを危険だと思ってないと思うよー。

 だからもう少しだけ民衆の方にトドメの陽動をして戦争を想定外の方で発生させる。

 あとギリギリの綱渡りだけど、別に落ちたところで私はまだ命綱2本あるなんとかなるって感じ。

 余裕はまだある。舐めたままでいてくれれば、だけどね」

 

 

「どう判断すんだよ、教皇」

「内容をまとめると、魔族がこっちを攻めようとしている、そう言っていたのか……」

今の所で判断できる内容ではない、どうすればいいというのだ。

そもそも現在真言教は女神の支援があって初めて成立している。

だがいずれ女神が人を叩く……可能性はある。

そうなったらこっちが全力で噛みつくしかないかもしれない。

一瞬でも長く存続させるためなら、最悪、想定してない神の助けまで、竜の助けまで借りて、抗う可能性まで考慮しなければいけない。

正直余裕はないが、舐めるな。こちとら最初から余裕がない。

 

 

 

「「「本当に悩ましい」」」





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