バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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ギャラドス編はこれで終わりです。


14 フレイムギャラドス

俺は今の状況を整理する。

ここは大きなドームになってるから、ギャラドスの軽い攻撃ならびくともしなそう。

前と違ってもう落ちてきそうな岩もない。

たぶん大地震で地面に全て落ち切ったんだろう。

 

正直言って、だいぶ有利な状況で戦闘を始められたと言っていい。

おまけにギャラドスの胸と背中の鱗は落石で砕けたみたいで、肉が露出している。

そこを狙っていけば、案外すぐに倒せるかもしれないし。

 

ギャラドスが身体を仰け反らせるとともに、身体がぶれた。

予見の効果か。

ギャラドスがなにかを吐き出そうとしてる。うん、くるな、でかいのが。

 

「サヤ、跳べ!」

「分かってるわ!」

 

次の瞬間、ギャラドスは地面スレスレに薙ぎ払うように火炎を放った。

 

結構ギリギリではあったけれど、俺たちはジャンプして回避すると共に胸の傷口に雷弾をぶっ放す。

避けた筈なのに熱気でHPが少し減ってるし、直撃したら絶対一撃だ。多分サヤでさえやられると思う。

 

 

 

 

 

 

 

下は炎で燃え盛っている。あのままだったらやけーー。は?

俺たちの攻撃は終わったし、これから地面に落ちなきゃいけない。それなのに、まだ地面の火は消えてない!

 

 

待て待て待て待て!このままだと落ちて焼ける!

 

「大奈魔糸!電脳手助け頼む!」

「「糸合成!」」

 

でも、サヤの巨体を支えるにはその糸では貧弱すぎた。だから、天井ではなく壁に糸を放つ。

確かにそうだ。サヤはほとんど糸をまともに使ったことがないのだから。

全身で糸を力いっぱい引いて、壁にぎりぎりしがみつく。

 

と同時に、床の炎が消えた。

そのまま落ちていたら焼けるか焼けないかでは怪しいところだった。いや、多分焼けてたか。

 

でも、これはなんのスキルだ?タツノオトシゴにはなかったし、竜のスキルだろうか。でも、火球よりもヤバいスキルなのはわかる。

 

 

「電脳!」

 

『火炎ブレス:広範囲を焼く火炎の吐息を吐く』

『炎渦:炎の持続時間を増幅させる』

 

ーーッ。嫌なスキル持ってるじゃないか。ほのおのうずもやっかいなスキルに進化してるし、やなことこの上ない。

 

だけど、ギャラドスのHPも減ってる。火炎ブレスに当たらなければ、勝てそうかな?

 

もちろん、火球に当たっても死ぬけどそれは言うまでもない。タツノオトシゴの火球でも死ぬし。

 

いや、でもどうなんだろう。妖姫のおかげで魔法抵抗力も500上がってるし、タツノオトシゴなら耐えられるかも?

ギャラドスならどっちにしろ死ぬだろうけど。

 

ただ、まだ地動波動だけ見れてない。じたばただけど、何をしてくるのか正直わからなんだよな。

ほのおのうずがあのバケモノ効果に変化してる以上、当たったら即死の超破壊力のわざになってることもありうる。

 

巨大な身体で暴れられただけで、こちとら致命傷だし。

というか、こんなにダメージ負ってるなら当たったらどっちにしろ死ぬか。

 

 

 

あぶな!

 

いつの間にか向かってきていた火の玉をかがんでギリギリで回避する。ーー。ぼけっとしてた俺が悪い。反省します。

 

《熟練度が一定に達しました。『並列思考Lv4』が『並列思考Lv5』にレベルアップしました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『思考加速LV4』が『思考加速LV5』になりました》

クソ。よし、やってやる。雷弾ぶっ放しまくる。

 

「雷だーー」

「ちょっと待って!」

「なに?」

「なんかあいつの体光ってない?」

「は?」

 

確かに、光り輝いている。しかも、体の一部ではなく、全身がだ。

 

『「地動波動」の発生準備が行われていると考えられます』

 

やばそう。少なくとも、低火力のわざが飛んでくる時の溜め方じゃない。

 

『電脳、なにかわかりやすくしてくれ。特に魔力の溜まり方』

『わかりました』

 

でも、予見ではなにも映ってない。これはなにもないか?

 

『終了しました。異常を感知しました。魔導の極みによる魔力図を構成しました』

 

その図には、魔力で真っ赤になったギャラドスが映っていた。

やばい。絶対なんかしてくる。多分じたばた。今当たれば即死だ。

 

 

 

「サヤ、離れろ」

「え、けれど」

「いいから逃げろ!周囲一帯吹き飛ぶまでありうる!」

「「!」」

 

サヤが弾けるように走り出した瞬間、ギャラドスは突進してきた。

 

予想よりも速い。予見でも見きれなかった。サヤは上に飛んで攻撃を避けるけど、ギャラドスはこれだけでは止まらない。

壁に激突して、そのまま上に。

 

顔から迫ってくるギャラドスにサヤは身体を捻って避けて、そのまま地面に着地。

そして、上から迫り来る尻尾に対しては俺と白が鱗の結合部に糸を当てる。

 

その瞬間、確かに一瞬だけ遅くなった。サヤがわずかに避け切れる程度には。

 

「青、雷弾頼む!」

「わかた!」

 

横に避けたサヤの上で、雷弾を打つ瞬間に白の毒糸玉を含みそのまままとめてぶっとばす。

それをギャラドスもギリギリで回避。

 

 

 

ーー速いな。魔導の極みで魔法陣は最速で組めてるはずなんだけど、やっぱり当たらないか。これは動きを止めるまで多分無理だな。

 

 

上に再び跳んで、

まずい。ななめ後ろ下から突撃してきた。白と俺が後ろを向いても、サヤがいるからこっちからは見えない。

 

「サヤ、見えてない!とりあえず糸を出して右方向に引く!」

「わかった!」

糸を全力で引いて、ギャラドスの方から離れる。

 

 

ぐっ。纏ってるオーラみたいのに掠った。火じゃなくて良かった。それでも体力はゴリゴリ削れる。

 

ジリジリと焼かれるみたいな痛みが響く。

痛い。でも、怯んだら死ぬ!

 

「電脳」、最適化!

『わかりました。魔導の極みを用いて魔力の流れを作成し、軽減しますか?』

頼む!

『わかりました』

 

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『痛覚軽減LV6』が『痛覚軽減LV7』になりました》

 

 

よし、ちょうどレベルが上がったし、痛みはある程度、ある程度だけど収まった。

まだ動くには支障があるけどしがみついてるだけならなんとか凌げそう。

 

「サヤ、大丈夫?」

「はぁ、なんとか」

 

やべえ。一発掠っただけで4割以上体力が削られた。

いや、これやばいの俺じゃなくて白だな。

 

「いける!」

 

 

 

いや、いけてないだろ。体力6割くらい削られてんぞ。確かに、白の方が俺よりかすりにくい場所にいたはず。それでもここまでってことは魔法抵抗力が関わってるか。クソ。

 

だけど、いけてなくても状況はそれを許してくれない。サヤの体力も一気に削られてしまった。あともういっぱつ食うと命が危ない。

 

でも、それはギャラドスも同じなはず。この攻撃を繰り返す間にMPとSPがどちらも一気に削られ続けてる。

 

あと少し避ければ自滅してくれることは目に見えてる。あとは、ここで避け切れるかだけ。

 

『フレイムギャラドス Lv28

HP:375/1432(緑)

MP:512/1088(青)

SP:295/2285(黄)

:988/2189(赤)』

 

いや、無理だ。サヤのSPの減りのほうがはやいな。

SPの量は勝ってるけど、あまり動いてこなかったせいでSPの減少量が多いのか。

 

削り切るしかない。このスピードのヤツに当てるのはだいぶキツいけど、やらないと。

 

速度を上げるギャラドスを横目に見ながら、魔法陣を構築する。同時に、電脳にギャラドスの移動場所の予測をしてもらいながら、背中をとられないようにサヤに伝える。

 

やっぱり速い。白には毒糸の生成を頼んで、出せる最高火力を全力で練り上げる。あと数発分しか避けるSPが残ってない。急げ。

 

よし、いった!

 

「毒糸3発分オーケー!いつでも言って!」

「よし!サヤいく!」

「わかったわ!どうすればいい!?」

「「天井から落ちて!」」

 

壁をダッシュする。そして反射するように進むギャラドスを見ながら、予備の魔法陣の構築を開始。ギャラドスも狙いを定めてぶつかってきてはいるけど、白が指示してるから上手く避けられてる。

 

「準備ができたら即飛ぶぞ!一瞬でもタイミングがズレたら死ぬ!」 

「わかってる!」

 

 

サヤの黄色ゲージもギャラドス以上になくなって、切れた。

うん、冗談じゃなく、切れてる。

 

「落ちるーー」

 

くそ。惜しかった。天井までもう少しだった。もういい。なってしまったものはどうしようもない。

 

 

 

やるしか、ない。

 

 

 

「白、撃つぞ!」

「おう!」

 

まずは、一発目!

 

「「毒雷弾!」」

 

直進してきてたギャラドスも、流石に当たったら死ぬとわかったのか空中を滑るように回避する。相変わらず、空を飛べるというのは厄介だ。

でも、体勢を崩してる。今ならいける!

 

「「毒雷弾!」」

 

 

反射するように進んでいたギャラドスは、急カーブをして壁に激突。そして、バランスを崩したように地面に激突して、再び跳ね起きた。

 

「サヤ!」

「わかってる!」

 

魔導の極み、動け!

 

「「毒雷弾!」」

 

俺たちの3発目の攻撃は、見事ギャラドスの口の中に入った。よし!

 

「よし、糸全力!」

「「わかってるって!」」

 

壁に向けて3人で全力で糸を放って、それを引っ張る。スタミナが削られれーー。 

着地できた。

 

 

うん、ギャラドスの方はもがいてる。でも簡単に突破できるものではないし、舐めてもらっては困る。こちとら生まれてからずっと毒と電気で生きてるんだから。

しかも、なんだかんだ言って俺はバチュルの王であるんだし。別にオリジンでもないお前に耐えられちゃ困るんだよ。

 

 

 

それでも、耐えてやがる。最後の最後でHPがスレスレで残ってる。なぜだ?

 

『生命変遷:SPを消費してHPを回復する』

 

火龍のスキル、レベル3の生命変遷か。残りわずかなSPを湯水のように使って回復してる。

でも、もうギャラドスの運は尽きている。

それは、もう全てを使い果たして逃げることもできない本人が一番わかっていることだろうし、俺たちも遠慮する気はない。

 

「蜘蛛猛毒!」

「「雷弾!」」

 

 

 

そして、ギャラドスはそのまま息をするのを完全にやめた。

 

 

《経験値が一定に達しました。個体、タランテスラがLV6からLV7になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『並列思考LV5』が『並列思考LV6』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『SP回復速度LV1』が『SP回復速度LV2』になりました》

《スキルポイントを入手しました》

 

《経験値が一定に達しました。個体、タランテスラがLV7からLV8になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『思考加速LV5』が『並列思考LV6』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『SP回復速度LV2』が『SP回復速度LV3』になりました》

《スキルポイントを入手しました》

 

《経験値が一定に達しました。個体、タランテスラがLV8からLV9になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『瞬発LV8』が『瞬発LV9』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『持久LV8』が『持久LV9』になりました》

《スキルポイントを入手しました》

 

《経験値が一定に達しました。個体、タランテスラがLV9からLV10になりました》

《各種基礎能力値が上昇しました》

《スキル熟練度レベルアップボーナスを取得しました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『視覚強化LV8』が『視覚強化LV9』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『聴覚強化LV8』が『聴覚強化LV9』になりました》

《熟練度が一定に達しました。スキル『生命LV8』が『生命LV9』になりました》

《スキルポイントを入手しました》

《条件を満たしました。個体、タランテスラが進化可能です》

 

 

 

よし、勝ち確定!よっしゃ!




このギャラドスについて

実験体。邪神二人が試しに干渉して作ってみた個体であるため、オリジンではない。
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