バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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閑話です。あの人の話です。
読みにくいと思われる挑戦的な文章を書きました。大変だと思いますが読んでいただけたら嬉しいです。
*後書きで一応説明します。

あと、この作品においてのアルセウスのイメージ画像を描いたので目次の方も見ていただけると光栄です。


閑話 ポケモンとニンゲンの境目

ボクは目覚めた。そこは何もない原っぱだった。そこにボクは仰向けになって寝ていて意識はあって空気はおいしい。ヒトの影響を受けていない美しい環境だとわかった。

 

ボクのトモダチは一人だけいた。その子は半透明になってボクを見ていた。遠くに一つの大きな街が見えてボクはそこに向かっていくことに決めた。

 

 

 

そうして、5歳の少年は歩き出した。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

本当に素晴らしい世界だ。ボクは早足で歩きながら空を見上げてまた城壁で囲まれた街の方に目を向ける。ボクのトモダチもついてきてくれるみたいだ。お腹はまだ減らないし街も少しずつ近づいてきている気がする。いや気のせいだ。草は青々としている。キレイだ。確かにボクはこの世界のことは何もわかっていないけれどヒトがいることやこの世界が知らない世界であることはわかる。ああ、疲れた。

 

 

 

 

 

疲れた。単調だけどそれは純粋だ。街も遠くなっているような近くなっているような気がする。違う。確かに近づいてきている。あと、3時間53分で着くはず。湿度は61%で5時間後に雨が降るけど間に合う。街にはどんなヒトがいるんだろう。ポケモンがいるんだろう。ポケモンに会いたいな。

 

 

考えないと、わからないや。

 

 

少年は考えの濁流に抵抗するのをやめた。

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

街だ。この街も少しばかり前の世界よりもキレイみたいだ。あくまで環境の話でそれ以外のものは全て純粋に汚いけれど。治安はすごい悪いのに表面上はみなとりつくろってる。でも裏側でもヒトはヒトで戦っているし、魔物は魔物で戦ってる。ヒトと魔物の干渉はとても少ない。まだ不完全だけどこのままならその干渉もなくなるんじゃないか。

 

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

「………………………!」

 

ボクのトモダチは食べ物について心配してくれたけれど、あの草原の野草を食べればしばらくは生きて生けることがわかってる。肉も食べろといってくるけど盗むしかないいんだからしょうがないじゃないか。野鼠もいないんだし。

 

 

 

「‥‥…‥‥‥‥‥‥‥」

そうだね。雨宿りをしよう。ここには教会もあるらしいしなにか生活のためのものもそこでもらえるかもしれない。修道士さんがたまに歩いてることからもある程度影響力があるのがわかる。ボクのトモダチの分も食料をもらいたいな。いまだって周りのヒトにボクの姿が見えていないのはトモダチのお陰だし。

 

少年は街の中心にある教会へ向かう。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

「お前は、なんだ?」

「ボクはボクだ」

「そうじゃねぇ!その服はどこの服だよ!どこの貴族の出かはわからないがーー父さん母さんは?」

 

身体を鎧で固めた傭兵さんに言われて、ぼくは自分の服を見て着替えていなかったのに気づく。今までトモダチの力で隠れていたからなにもなかったのか。当たり前の事なのに馬鹿なことを忘れてた。

 

「雨をしのがせてください」

「ーーまあそれくらいいいが。ただ、なんであったとしてもそれ以外の援助は出来ん。みろ、周りを」

 

たくさんの人たちが、教会にはひしめき合っていた。飢えがひどいのかな。服も結構ボロボロみたいだし、ボクは少し目立ってるか。睨みつけてくるヒトもいるし、疎外感を感じる。

 

「俺だって仕事があるのは嬉しいが……。こんなに沢山の貧民の世話をしなきゃいけないっていうんなら俺もこの仕事やるか考えてるわ……。てかなんでこんなに……」

 

途中から自分語りが始まった。腹が立つ。ボクが話を聞いてるのに。まあ別にいいや。

 

「雨宿りだけします」

「わかったが、そういうことだから教会はもう君みたいな子供は来るような場所じゃねえんだ。本当にすまんな。ーーちゃんと勉強して俺みたいになるなよ」

「大丈夫です。ありがとうございます」

「そんなのはいいから。雨が止んだらちゃんと直ぐ帰れな。絶対寄り道するなよ?いいな?俺が送っていってやろうか?」

「いや、大丈夫です。気にしなくていいですから」

「てかなんでこんなガキが……。まあいい、マジで早く帰れ。

ーー流石に帰る場所はあるんだよな?ここの町の治安もなんだかんだいってヤバいからな。

本当なら送ってってやりたいがあいにく俺にはこの仕事がある。だから、雨が止んだら本当に気をつけて帰れよ」

「わかりました」

 

すごい優しい。嬉しいなあ。こんな心から優しい人はプラズマ団にもいなかったなぁ。

 

 

 

 

そして、傭兵さんはボクの手をとって教会の奥へと歩き始めた。

「こっちだ」

「なんでボクだけ違う場所に連れていくの?大勢の人はみんな大広間にいるよ」

「お前の身に付けてるものを、アイツらと比べてみればわかる。お前、殺されるぞ」

 

確かに、貴族が圧政か何かしているのかもしれない。なら、貧民はボクの服を見たら貴族だと思って襲いかかってくるのかな。さっきも突き刺すみたいな視線で睨みつけられたりしてたし。ヒトは怖い。

 

ボクが考えるのに構わず、傭兵さんはずんずんと進んで行って、一つの大きな部屋に着いた。大きくて長い机がひとつあるし、会議室なのかな。

「ささ、この部屋にいろ。いや、いてください、でいいのか?」

「厳しい口調のままでいいよ」

「そうか。じゃあ、雨が止んで教会の中にいる奴らに手当をしたら戻ってくる。それまで下手なことはするなよ」

「わかったよ」

「ならいい」

その傭兵さんは、ドアを閉じて去っていった。優しいな、あのヒトは。見た目も言動も厳しいけど心は優しい。何より、ボクの安全を第一に考えてくれいる。

 

もう大丈夫だよ。

次の瞬間、ボクの目の前にトモダチが現れて、捲し立てるように話しかけてくる。

「…………………………?」

うん。ここにしばらくいれるから大丈夫。気にしなくても平気だよ。

「…………………………!?」

でもあのヒトも信用できないヒトじゃないと思う。だからここにいるんだし。

「…………………………」

わかってるって。雨が止んだらでていくさ。ボクだって自殺志願者じゃないんだ。

 

 

 

少年は部屋の中でそのポケモンと遊ぶことにした。

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

「すまんな。ちょっとてこづった……って、あれ?」

 

「その魔物はなんだ?」

 

急に帰ってきたせいで気づかなかった。ボクのトモダチは一瞬で隠れたけど、それでも存在ははっきり見られてしまった。

どうしよう。

 

「……………」

「えっと、なんだ?まず、教会には基本的に魔物を持ち込んじゃいけないんだ。わかるか?」

「……………」

「まあ、流石に今も問題なくて見えてないし、召喚した魔物なんだろうが……。もうやるなよ。今回だけは特別だ」

「ーーわかりました」

「よし、じゃあ帰るぞガキ。その年齢で召喚魔法も使えるなんてすごいな。家はどこの区画だ?」

「気にしなくて大丈夫です」

「だから家……」

「気にしなくて大丈夫です!」

 

ついはりあげてしまった。まただ。辛い。苦しい。ジブンが嫌になる。

 

「……お前が体験してきた人生がどんなもんかは知ったこっちゃねえ。ただ一つだけ忠告してやる。二度と人にそんな口を聞くな」

「……すみません」

「頑張れよ。お前は家を教えたくないみたいだし、教会の入り口で別れよう」

 

この会話の間、傭兵さんは一度も振り向くことはなかったけれど、ボクに対して本気で怒ってくれたのだとわかった。

 

 

 

「元気でいろよ」

「ありがとうございます」

「!!」

 

手を振ってくれている男性が見つめる中、明かりはあったけれどもそれでも暗い道で、少年は姿を消した。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

やっぱり食べ物を貰えなかったけど無理はない。この街がいくら裕福な街と言っても世界中で食料不足が起きているのだから。まあ、遅かれ早かれすぐに滅ぶんじゃないかな。世界が世界だし。ボクが関わる事でもないけどね。

 

「………………………」

そうだね。野草でも取りに行こうか。雨が止んだのなら基本的にはヒトの街と関わる必要はない。何より、表面上の取り繕いは夜にはなくなるらしいし、人殺しも、奴隷の商売屋も、盗賊も増えるだろう。

 

「はやく大人になりたいなぁ」

 

少年は呟き、街から出て行く。




彼について

彼は、人間でありながらポケモンと話せる変わった人です。

プラズマ団は、ポケモンの解放をうたう彼を王とした過激派団体です。ただし、彼も神輿にされているだけで詳しい仕組みなどは聞かされていません。

それでも彼自身の頭脳は凄まじく、計算や理論については異常な程の知識と演算能力を持っています(同時に発達障害という説もあります)。
*彼はゲームでも登場しますが、あの見た目で20歳なので、この世界では5歳からスタートしています。





わからない方は、「ポケモン N」と検索されるとわかると思います。
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