バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

34 / 177
白視点です。
青がいなくなった辺りから。


W2 機嫌が悪い

わたしは今機嫌がとても悪い。

青が何も言わずにどこかに行ってしまったから。

言いたいことはわかる。

 

私たちじゃオリジンには勝てないんでしょ。

オリジンは魔物の最終形態だから。

 

だからと言って勝手に一人で行くのはどうなのよ。

絶対死ぬじゃん。

二人でも死ぬ確率の方が全然高いってのに。

 

本当にふざけてる。

私が今の青の場所を特定できるのだって知ってるんじゃないの?

叡智で使えるマーキング。

自分がピンを刺したものに対してその現在位置やステータスを確認できる、チート級に強いスキル。

 

これのおかげでわたしは今の青の場所とステータスをしっかり見ることができる。

余計にタチが悪い。

見たくもない現実も見なきゃいけない。

 

それをわかって言ってたのか?

青。

 

 

今から助けに行くか?

正直行きたくはない。

だけどかなりムカムカする。

 

 

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

うん。助けに行くのはやめよう。

だって死ぬことが確定してるし。

 

戦っても勝てないし、勝てない勝負をするのは馬鹿だ。

自然界ならなおさら。

 

 

叡智があるからわたしは死ぬことはないんじゃないか。

一人でも戦えると思うし。

 

鰻だって麻痺の邪眼で完全に動けなくなったんだ。

ギャラドスだって麻痺で勝てるかもしれないんだから。

麻痺が効かなくても、逃げればいい。

わたしの素早さはほとんどの魔物を上回ってる。

 

 

それはグラードンでも。

だって逃げ切れたし。

そもそもグラードンだったら青と一緒にいても死ぬでしょ。

 

 

ギャラドスと戦った時もなかなか無理ゲーだったよね。

サヤはいたけど、素早さのステータスが同じ上で一撃食らったら死ぬって感じだったし。

 

 

よくわたし戦ったな!?

 

今までよく逃げてる印象だったんだけど。

いつから攻撃するようになったんだろう。

 

『電脳!』

 

 

 

あ、そうだ。

アイツもいないのか。

それはキツイ。

 

 

 

なんか分かりそうだったんだけどな。

ひっかかってるんだもん。

なにかが。

 

うん。

引っかかってる。

中層に来てから、なにか違和感を感じてる。

最近一気にそれが弱まった。

なにかがあった。

 

今までの経験を思い出す。

そして、記憶を一気に引っ張り出していく。

 

 

 

 

 

あ。

わかってしまった。

本当にわかってしまった。

 

 

 

 

 

龍にだけ強い憎悪を抱いてる。

 

 

 

 

 

どうして?

なぜわたしはこんな龍に対して怒ってる?

 

アイツの専売特許だけど、考えてみるか。

 

『叡智!』

 

わたし自身を調べる。

徹底的に。

ありえる可能性を。

 

龍に恨みを持つようなことはしてないはず。

誰かがわたしの魂をいじって感情操作してるのか?

 

 

そもそも、魂に干渉するってなにがあるんだ?

 

『行動に干渉するものと精神に干渉するものは種類が異なる』

 

ふむふむ。

干渉されてるのは精神の方だね。

精神に干渉するで、検索!

 

『精神に干渉するものは2つ存在する。深淵魔法のように魂そのものを削るスキルと、魂は削らないがその在り方を操作するものである』

 

多分下だよね?

うん。

下だと信じよう。

上だと死ぬし。

 

魂の在り方操作で検索!

 

『精神操作は他者の精神を操ることである。

 基本的には使われることはない。

 精神操作として最もよく知られるものは眷属支配であるが、支配者スキルの一部でも可能である』

 

えっと?

つまり支配者スキルで影響受けてるなら話は別として。

なんかの眷属支配に引っかかってる?

 

支配者スキルはあんまり関係なさそうだし、やっぱ眷属支配だよね。

名前的にも。

 

 

 

 

「俺の子供には生き残れってとりあえず言ってある。

 そんな思考操作をしてる」

 

 

 

 

なんで、思い出しちゃうかな。

青が言ってたこと。

なんで、青が言ってたこととわたしの境遇は一致しちゃうかな。

 

 

 

ああもう嫌だ。

こんな苦しみはもう嫌だ。

この世界で、いや前世から知っていた人を、わたしは見捨てたくない。

 

 

死にたくない。

こんな、矛盾だらけなわたしが許せない。

弱いわたしが許せない。

 

なにもかにもDが悪い。

勝手にスキル作るくせに、肝心なところでは手を差し伸べない。

 

なにもかにも、この眷属支配が悪い。

大切な人を守るためじゃなくて、一部の生き物にだけ魂をそそぐこのスキルが悪い。

 

 

 

強くならなきゃ。

自由にならなきゃ。

幸せな不自由を手に入れるために、わたしは完全なる自由を捨てる。

 

 

出来ることからやっていこう。

 

まずは、眷属支配。

 

貴様からだ。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

『並列意思たち!』

『やりたいことはわかってる!ガッテン!』

『頭脳担当が考えてること、わたしもわかるからね。しっかり元凶は辿っておいた』

『誰だった?』

『ぶっちゃけマザー』

『マジか。お前ら2人でなんとかなる?』

『なる!』

 

 

 

『魔法担当、体担当信用出来る?イエスしか言わないんだけど』

『信用はしていいんじゃないか?

 やる気はありそうだし頑張ればいけるってわかってるから』

『なに話してるんだお前ら!』

 

 

 

 

 

目標は、マザーの眷属支配の完全解除。

次にマザーへの精神攻撃。

 

 

正直出来るかはわからない。

電脳がたまに頭おかしいことやるんだし、こんくらいなら出来るでしょ。

魔法担当が下見に行ってくれたし。

 

 

『ガッテン!行ってくるぜ!』

『ちょっと待て。気が早い』

『どうしたの、頭脳担当?』

 

 

『お前らが出かけるまえに、やりたいことがある』

 

 

 

 

 

『しょうがないね。頭脳なんだし』

『わかった!私が地獄の果てまで連れてってやる!』

『連れてくのはやめろ。わたしが連れていくから』

 

 

 

 

 

 

 

いくぞ、青を救いに。






青の感覚 グラードン>>マザー
白の感覚 グラードン==マザー

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。