バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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バチュルの全長は25cmのつもりです。


3 マイホームまたはシェアハウス

ねぇ。

鳴ったから来たはいいけどさ、なんでまたカエルなの。

あんたどんだけいるんだよ?

この迷宮内にさ。

 

 

「「鑑定!」」

 

『エルローフロッグ』

 

 

毒を吐いてくるけどそこまでの脅威じゃないはず。

いや、当たらなければの話か。

もちろん当たるとめちゃくちゃ痛いです。死にそうな程ね。いやマジ冗談抜きで。

 

 

てか俺は上に乗ってる人間(蜘蛛)だから白が避けるのがどんぐらい大変か正直把握出来てない。

よし、今回は毒に1発も当たらないで口をふさいだ!

 

 

「いくよ!」

「おうよ!」

 

 

白が喉に噛みついている間に、背後に回ってうなじをズシャリズシャリと切り裂いていく。

もちろんカエルは暴れる。

だけど俺たちもそんなことやる前からわかってるしもちろん対策済みだ。

そしてすぐにカエルの首は体から離れ、ドサリという音と共に地面へ落ちた。

 

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『連鎖斬LV1』が『連鎖斬LV2』になりました》

 

 

よっしゃ成長した。

しかも今回はノーダメージ!

 

 

「私たち、案外強いのではないか?」

「そうかもしれん」

 

 

カエルを食べながら2人で話す。

だってカエルだぞ?

タダのカエルじゃない。

めちゃくちゃデカいカエルにノーダメージだぞ?

地球で人間の時だったら間違いなく死んでるぞ?

 

 

「よし、このままカエルを狩っていこう!」

「おー!」

「じゃあ、食べたし家に戻ろう!!」

「おー!」

 

 

ん?

なんかバチバチ言ってないか?

なんか何かを擦り合わせてるみたいな、まさかこれ羽音か?

少なくとも蚊みたいな小さな虫の音じゃなくて本当にデカイ感じに虫の羽音がする。

 

 

あ。

 

 

「白、ダッシュ!!」

 

 

俺は白に飛び乗り、背中をバシバシ叩きながら叫ぶ。

 

 

 

「え?どうした急に。

 急に競馬の馬みたいに背中叩いて。

 そんなに痛くないけど」

「ハチ!」

「は?」

 

 

ハチだ。

ただただデカい、カエルよりもデカイ、化け物のみたいなハチ。

そしてそのお尻から、シャープペンシルよりも太いだろう黒々とした針がチラリと見えた。

 

 

『フィンジゴアット』

 

「逃げろ!!」

 

 

バシュ。

ビチャっ。

 

 

当たらん。

相手が動きすぎる。

 

 

うわ悔しいなこれ。

てかなんだそのサイズ馬鹿か?

なんでその身体で飛べんだよ!

 

 

 

 

「青、深追いはしない!!

 落ちるなよ!?」

「わかってる!!

 追われてるのはこっちだけど!!」

 

 

 

---------

 

「はぁ」

「はぁ、家の中にまでは入って来なくてよかった」

「とりあえず、慢心は止めよう。私も一回蛇見たし」

「うん」

「とりあえず家の中は安全だから、ちゃんと管理しよう」

「はい」

 

 

ん?あれはなんだ?

遠くのほうからだ。

兄弟か。

 

 

あれ?

家の周りの一応の包囲網突破されたのか?

 

 

「白!なんか突破網乗り越えてきてる蜘蛛いるんだけど!?」

「え!?」

「「鑑定!!」」

 

『スモールレッサータラテクト』

 

 

 

 

「しょうがない、青。狩るぞ」

 

 

うん。

兄弟だけど、しょうがない。

 

「でもなぁ。大手を振って、包囲網まで突破して歩いてるってことはなかなかに強いかもってことで。青。めちゃくちゃ警戒しよう」

「うん。気を引き締めていこう」

 

 

ザザッ!!青on白は戦闘態勢をとる。よし、どうくる。

え?

バシュ!!ぼたっ。

なんか無策で飛びかかってきた。糸も用意せずに。だから俺が糸を出したら絡まって普通に落ちた。

 

 

弱い。

ええ。

 

 

「青。トドメ」

 

 

俺が呆然と見ていると、白が言ってくる。

うん。

呆気なさすぎてびっくりした。

 

 

「さあ、毒牙!!」

 

 

ガブッ!!

 

 

「はいHP吸収と連鎖斬」

 

 

ズバズバズバッと!!

 

 

うん勝った。

食うぜ。

 

 

「私たち強くないか?」

「うん。強いかもしれん」

「でもあの蜘蛛は弱かったな」

「うん」

 

 

家に持ち帰ってモグモグする。そして、家の包囲網の拡張と家の改装。

 

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『蜘蛛糸LV4』が『蜘蛛糸LV5』になりました》

 

 

よし。

色々出来そうな感じに育ってきた。

 

 

「白!糸玉作ってみよう」

「よし、じゃあ高く売れそうなやつを作った人の勝ちね」

 

 

《熟練度が一定に達しました。スキル『蜘蛛糸LV5』が『蜘蛛糸LV6』になりました》

 

 

そうして20個ほどの糸玉は家の外に積まれた。

 

 

もちろん、糸を出せば腹が減る。

その分食べなければいけないということで。

食べてました。

糸にかかった魔物はみんな倒してきている。

おかげで毒耐性はLv5にまで上がった。

 

 

俺たちがこれまでに倒した魔物は『エルローランダネル』が3匹、『エルローペカトット』『エルローバジリスク』『フィンジゴアット』が1匹ずつだ。

後はカエルと蜘蛛多数。

どれも網に引っかかったところを糸でさらに拘束して、二人がかりで集中砲火した。

エルローランダネルは小型の恐竜みたいな魔物で、3匹まとめてかかっていたからびびった。

1匹ずつ仕留めたけど。

エルローペカトットはペンギンとペリカンを合わせたような胴体に、猿みたいな腕を持った奇妙な魔物だった。普通に倒せた。

フィンジゴアットは蜂みたいな魔物で、異様なほど大きく、3メートルくらいあるこの通路を埋め尽くすくらいの巨体だった。

そのせいで余計網にかかりやすかったぽいし、普通に倒せたからまあいいか。

 

 

圧倒的にやばかったのはエルローバジリスクだ。

でかいトカゲみたいな外見の魔物だったけど、石化攻撃なんて器用なことをしてきた。

目があった時に発動したから石化の魔眼?みたいなやつなんだろうが、両前足が石化させられた。連鎖斬出来なくてめちゃくちゃ苦労したし迷惑かけた。

なんとか倒すことはできたけど、恐ろしい。

その後レベルアップして脱皮するまで、石化した足で過ごさなきゃならなかったからほんと辛い。

石化耐性のスキルをゲットできたから収支としてはプラスかもしれんが、危ないもんは危ないんじゃ。

 

 

ちなみに結構レベルが上がっている。

今は6か。

てか、これの経験値の仕組みどうなってんやろか。

2人で同時に殴って倒してるから2人に配られてるのか?

 

 

そしてスキル。だいぶ育った。

白と話すときには呪われそうなやつについてはっきりとは言わないけど、まとめるとこうだ。

 

 

「共生Lv3」「電気付与Lv2」「蜘蛛糸Lv6」「鑑定Lv2」「禁忌Lv1」「外道魔法Lv1」「毒耐性Lv5」「酸耐性Lv3」「腐蝕耐性Lv1」「石化耐性Lv1」

 

 

ここで1つヤバイものがあるのが見えるだろうか。

もちろん、「電気付与Lv2」である。

4レベルで覚えたからおそらくエレキネットという技を糸で再現するためにある。

エレキネットというのは4レベルでバチュルが覚える技だ。

だからか糸以外のものには未だに付与出来ない。

微弱だからどのくらい効いているのかわからないし、あと一度白に当たってダメージを与えてしまったから乗ってるときは使うなと釘を刺されてしまった。

で、たまにカエルを殺っていたらこういう感じになった。

 

 

スキルはいろいろ口に出してみたり、踊ったりしたけれど何も得られなかった。

残念。

あと、白とふたりでダンスしてたりしていたら共生のレベルが上がった。何が変わったのかはあまりわからないけど。

 

 

「スキル欲しいなぁ」

「スキル欲しいねぇ」

「白、寝たら出かけよ」

「そうだね。すぐ帰れるような態勢で行ってみようか」

 

 

日本むかしばなしかいな。

 

 

 

ていうわけで冒険に出かけるぜ!いつもの青on白のスタイルである。

たまに蛇とかハチとかカエルはいる。隠れるけど。糸がないのに変に戦うなんて意志はもちろんない。だって死ぬもん。

あ。なんかある。

 

 

「白、なんかある」

「敵!?」

「いや、なんだあれ……卵か?」

 

 

ちなみに白より青の方が視野が広い。単純に台に乗ったみたいなもんだからだけど。

うーん?やはりこれは……。卵?

 

 

「目玉焼き?」

「いや、卵」

「そうかオムライス派か」

 

 

ヤバい最近の食生活のせいで白が壊れた。卵割る気満々だ。割られる前に速く調べないと!

 

 

「「鑑定!!」」

 

『地龍の卵』

 

 

これウマいのか?てかドラゴンの卵勝手に奪っていいのか?

 

 

「まあ、周りに巣……というか大きいものが動いた痕跡はないけど。割るか」

 

 

ガンッ!!

白が卵をぶっ叩くけど、全く割れてない。

 

 

「痛った」

白がうずくまる。流石に見ててかわいそうになってきた。

 

 

「連鎖斬!!」

ガキっ!!ガキッ!!ガキッ!!ガキッ!!――。

 

 

「痛った」

うわあ腹立った割ってやりたい。

 

 

「食らえ毒牙!!」

ガキッ!!

 

 

「痛った……」

結局2人でうずくまる。

よし、絶対割ってやる。

 

 

「ふっ。私は元人間、頭脳が違うのだよ」

そう言って白は岩に糸を引っ掻け、滑車のように卵を持ち上げる。これは!

「いけぇぇぇっ!!」

白は糸を断ち切り、卵は猛スピードで落下する。

 

 

ドガキャッ。

舞い上がる砂煙。

やったか!?

 

 

はい。

割れてませんでした。

てかなにさっきの効果音卵が出す音じゃないよな。

なんだよガキャって。

どっから出た音だよ。

 

 

「青どうするよ?」

「家に持ち帰ってみるしか」

「そうだね持ち帰るか」

「そだねー」

「そだねー」

 

 

青い卵。

お尻から出した糸で卵をくくりつけ、俺がそのまま白の背中に乗って運ぶ。

 

 

「白?」

「なーに」

「この世界、俺つまり青以外のポケモン見ないんだよね」

「見てないだけなんじゃないの?」

 

 

いや、ちがうんだよなぁ。

ポケモンが現れると、そのモデルとなるような生き物の存在は消滅するっていう都市伝説がある。

だから共存なんて不可能なはず。

予備知識だけだから実際どうなのかは不明。

もともとゲーム自体がフィクションだからね。

 

 

そして、バチュル(俺)が現れた。

虫1匹だけで世界がどうにかなるもんではないとは分かってるけど、恐ろしいものは恐ろしい。

生態系が崩壊して人類が滅びるとか。

 

 

「まあ、考えすぎないでいこうよ。変なところでエネルギー使うと死ぬよ?」

 

 

あ。ほんとに死ぬ可能性がある冗談は笑えないから。

「ほら、家の中に突っ込むよ!!なんか上手くいけばドラゴンに刷り込み出来るかも知れないし!」

 

 

おお!

夢がある。

いいねそれ、最高だ!!

 

 

「オッケ!!ドラゴン育てよーぜ!!」

「よし、じゃあ搬入だ!!」

 

 

このドラゴンが何日で孵化するかはわからない。でも、このままいれば少なくとも状況は改善出来る。死にもしないで、ドラゴンをテイム出来る。

なら、俺たちは。今は。

家でゴロゴロしながら毛糸をぶん回す白をじっと見つめる。

 

 

 

 

運命は平静を許してくれるだろうか。




現実は厳しい。
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