バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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44 山は平和です

こちら森にいた蜘蛛です。

いつの間にやら山に入ってたみたい。

森と山の区別なんて難しいしね。

 

 

とはいっても山だし斜面ばっか。

木々の間隔も広いし。

まあ、木を伝ってく方が地面を歩くより楽だから結局跳ねるんだけど。

 

 

お、探知にまあまあ大きな反応を確認。

森にいる間は鳥とかリスとかの小動物しか探知にかからなかったけどこれは大きい獣っぽい。

小さい獣でも群れればやばいとは知ってるんだけどね。

猿が具体例。

 

 

そういえば猿で思い出したんだけど、白と私のステータスの差が日々広がってる。

私も私で転移で帰って地竜を倒したりはしてる。

でも下層でずっと鍛え続けてる白に追いつくことは難しい。

それこそ猿とか大量狩りできれば楽なんだけど。

 

 

魔王にも、大魔王っていう魔王から逃げられないってスキルがあるのが問題。

電脳に対策考えてもらったけど無理だったし。

となると今魔王に奇襲されると非常にマズい。

 

 

しばらく後に襲って来てくれるなら大丈夫なんだけど。

最強レベルのトラップを今作成中だしなー。

それまでの辛抱。

 

 

ってわけでもないんだよなぁ……。

私のステータスが低すぎるとそもそものトラップに放り込むことが出来ずに殺される。

敵対しない限りは大丈夫なんだけど、人間か白を魔王が攻撃するんなら敵対確定。

 

 

あれ?

人間はともかく魔王が白を攻撃しない理由って無くない?

だって白、クイーンに攻撃してるよね。

魔王はクイーンを従えてるはずで、同じタラテクト種だもん。

この次の展開、魔王が白に襲いかかるに決まってる。

 

 

詰んだわこれ。

少なくともこうやって山で遊んでるわけにはいかない。

人間と仲良くなるのも大切ではあるんだけど、魔王の対処をすっかり忘れてた。

私としたことが馬鹿だった。

どうしよう。

 

 

 

 

 

『ったく。オレ様が色々考えてるから参考にしろ』

『電脳?』

 

 

『まず考えろ。もちろんオレ様の意見も仮定だがな』

『で、なんなの?』

『だからお前はボンクゥラなんだよ。まあいい。初めて人間に会った時、なぜ迷宮に探検隊が来ていた?』

『馬鹿な貴族がけしかけて来たからじゃないの?』

 

 

『確かにその線もありうるな。じゃあ、なんで砦と検問所が迷宮の入り口に立っていた?』

『そりゃ魔物が出て行かないようにでしょ』

『それなら迷宮の入り口を塞げばいいだろ』

 

 

『完全にガッチリ固めて龍クラスでないと突破出来ない入り口を作ればいい。この世界にレンガはあるんだから可能だぞ。砦あるんだから金もあるぞ。しかも龍ならデカくて通れんし魔物は出てこれない。それなのになぜそうしない』

『人が中に入る理由があるんじゃないの』

『ビンゴ。その理由とはなにか』

 

 

『資源とか?』

『それはオレ様も考えた。だがアース300体に聞いたところでロクな資源はなかったんだわ。宝石の類でかつ中世に価値を持ったものは無かったし、鉄はあったがそのわりに開発が無さすぎる。そもそもその探検隊がいた道順に何も目ぼしいものはなかったしな』

『長い。つまり、人間は物資のために来てたわけじゃないのね』

『ああ』

 

 

『次にアホな貴族がけしかけた説だが、これを考えると可能性は更に低くなる。アホな貴族は基本的に長期的には考えないしな』

『ってことは、資源がないところを開発しないってこと?』

『ああ。今ある資源を奪い取ろうとするだろう』

 

 

『なら、賢い人が長期で見てやってんじゃないの?』

『お前自身が食優先だと思ってんのにその余裕はどっから来るんだ?』

『あ』

 

 

『じゃあ、定期的に私たちみたいなヤバい魔物が沸くから監視で見てるってのは?』

『それは確かにあるが線は薄いとも思う。そんな魔物がいたなら完全に封鎖した方がやっぱいいだろ。てかまだ中世の文明で耐えられてるってことはそんな頻繁には出ねーだろうしな』

 

 

『じゃ、ここまで行ってるけど電脳の出した結論ってなに?』

『この世界の海がバグってる』

『え?』

 

 

『考える中で一番正解なのは、この世界の海が人間には踏破不可能って筋だ。例えば魔物の巣窟であるとか絶望的な海流してるとかな』

『なんで急に海の話になるの?』

『迷宮は2つの大陸を結んでるだろ?人の通り道として機能してるってことだよ』

『そゆことか』

 

 

『うん。ここまではわかった。それで電脳の考えてることってなに?』

『海に行ったら狩りして経験値稼ぐぞ』

『そゆこと』

 

 

完全に理解した。海に行けば強いバケモノが恐らくいる。

海流がおかしくてもそのおかしな海流にはヤバい強さのバケモノがウジャウジャいるだろうし。

 

 

考えれば当たり前だ。

世界が破壊されてから魔物は増えてるんだし。

陸ならまだしも海は人の領域じゃないんだから普通の生き物は駆逐されるよね。

 

 

じゃ、私のやることは決まってる。

海に行って魔物を狩ることだ。

 

 

あれ、海沿いに街ってあるのかな。そしたら。

『ないことはないだろ。海自体がダメでもその海の力で生み出された地形には素晴らしいものがある。よっぽどのことがない限り街はあるさ』

『よっぽどのことって?』

『海から這い出てくる魔物とかだな』

 

 

あれ?

それって結構な確率でありそうじゃない?






獣のことは早速頭から抜け落ちてる模様。
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