バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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吻とは口の上の硬い出っ張りのようなもの。

ミドラさんのステータス少し修正しました。
なんだかんだ言ってこの人の強さもレベルもアラバと同じなんだよなぁ。


47 水龍ミドラ&戦前の凪

久しぶりに味わった激痛。

身体がいうことを聞いてくれない。

頭が身体から切り離されたみたいだ。

 

 

手放しそうになった意識を手繰り寄せる。

気絶はまだしてない。

でもHPのゲージが一気に削れてる。

 

 

水龍がさらに泳ぐスピードを上げているのが、水の流れからわかる。

剣のような吻は私の身体をとっくに貫通してる。

このままだと身体がちぎれるのは確定だ。

 

 

やられちゃいけない内臓がやられてってる。

手を当てようとしても腕が動かない。

やられちゃいけない。

やられちゃいけないのはわかってる。

 

 

死ぬ。

 

 

治療魔法!

毒魔法の派生で手に入れた治療魔法を発動。

ダメだ。

体力の減りに追いついてない。

一度下がり始めたHPは、私のいうことを全く聞いてくれない。

持って1分だ。

 

 

まず、い。

 

 

ここで、電脳が準備したのか転移が起きる。

転移先は昨日飛び込んだ内湾。

血を流す無防備な蜘蛛が飛び込んで来たのを勘付いたのか水竜たちはピラニアのように一気に集まってきた。

 

 

 

 

 

ありがたい!

早速糧になれ。

 

 

『雷光槍!』

 

 

雷でできた槍が竜の体を1匹ずつ突き刺していく。

勝てないと悟っても逃げ始めてももう遅い。

私は、集まってきていた水竜たちをたった10秒で殲滅した。

 

 

ーーーーーーー

 

 

 

 

危なかった。

水竜たちでレベルアップした時、残り体力200だったよ。

だいぶギリギリ。

正直、あの時死んだと思った。

 

 

倒した奴らを砂浜に運ぶ。

今回は大量。

なにせ、私の命のために一気に狩った竜たちだしね。

加減なんかもできなかったし、手当たりしだいに殺してたし。

 

 

私を殺そうとしたのは水龍ミドラ。

カジキの頭にイルカの胴体をくっつけたような龍だった。

腕や脚はなかったから、完全に水中型なんだと思う。

くそっ、油断した。

まさか水龍直々に襲ってくるとは。

 

 

コイツ水龍の中では強い方だよね。

高速遊泳LV10で素早く近づいてきてそのまま刺し殺す。

素早さのステータスも6000超えてるし、ここにスキル諸々を組み合わせた実質速度は相当のものだろう。

20000近くまでいく?

この素早さで動かれたら、刺した瞬間に獲物の動きはだいぶ制限されて死ぬ。

私でさえこれなんだから。

 

 

だけど魔法に関してはめっぽう弱い。

魔法を食らう機会も無かったんだろう。

そもそも魔法を見たことないのかもしれないけど。

 

 

『今回に関しては狩るんだな?』

『うん。流石に腹が立った。

 ステータス的に倒せない相手でもないし倒すよ』

『そうか。じゃあオレ様も手伝う。アイツの動きに関しては任せろ』

『ありがとう』

 

コイツの厄介なところは単純に素早いこと。

たとえ私が瞬間速度強化を使った上で無限を使っても、素早さに関しては勝てる自信が無い。

もちろん龍力とかも組み合わせた上でだ。

それほどこの水龍は速いといえる。

 

 

ちなみに無限は怠慢の進化系。

発動するだけで、自分の周囲の生物の平均速度能力を大きく下げることが出来る。

でも下げると言ってもせいぜい数百だ。

実質速度20000ほどある水龍に、そんなに効果があるとは思えない。

 

 

『多分あるぞ。無限の参照は元々の平均速度能力だ。

 それを変化させるから実質速度は2000くらい削れるんじゃないか?』

『え、そうなの?』

 

 

意外。

それは嬉しい誤算だ。

 

 

まあでも、もともと戦うつもりだったし、それも考慮に入れるだけ。

私を怒らせた水龍が悪い。

 

 

よし。

作戦は立った。

ミドラの位置もマーキング済み。

 

 

じゃあ戦闘だ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

私は今、海上にいる。

ミドラからはギリギリ見える位置。

水面近くから空間機動で足場を作り、水中を見据えている。

 

 

でもミドラにはおそらく空という概念がないはず。

だってアイツは水中で魚を狩って生きている。

空にわざわざ飛び出す理由もないし、そのためのスキルも持ってない。

 

 

所詮は井の中の蛙。

そんな奴が、大迷宮で鍛えてきた私に勝てるわけがない。

刺されたのは初見だったからだ。

もう初見殺しは通用しない。

 

 

ああ。

アラバと戦うであろう白もこんな気持ちなんだろうか。

なんだろう。

この高揚感は。

今から戦いが始まるってのに。

 

 

これが、たったの片鱗というのか。

洗脳から解放されるというのは。

なんか良くない薬をキメたみたいにテンションが上がる。

 

 

よし。

私の気分も乗って来た。

そろそろいい加減に終わらせよう。

元々私も何もしないまま自然界を去るのは名残惜しいものがあったし。

 

 

色々なことを感じてきた。

この世界に送られて来たことへの怒り。

この世界が想像以上に最低だったことへの怒り。

アラバとかいう強大な龍への恐怖。

 

 

わけわからない迷宮で燻ってきた私の思い。

ただ平和な世界に身を置きたいという思い。

迷宮から外に出たときの喜び。

太陽光の暖かさ、そして熱さ。

私を助け、馬鹿にしてくるたくさんの神様に対しての強い複雑な思い。

 

 

これらを全て糧にする。

これらを全ての餌にする。

これらを全て供養する。

私と残酷な自然界の繋がりを断つために。

私の望む世界を作るための礎になってくれ。

この世界の鎮魂歌を、私は今から奏でよう。

 

 

D。

今度は私の番だよ。

私のわがままを聞いてもらう番だよ。

 

 

ねえ。

あなたの世界に、私も入れてよ。

 

 

 

 

まずは水龍ミドラ。

対戦よろしくお願いします。







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