バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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48 電気蜘蛛VS水龍ミドラ①

私は水中に糸玉を投げ込んだ。

この糸玉は特製のものだ。

万能糸に黄色く色をつけて、大きさも私と全く同じにしてある。

近くで見れば流石にわかるけど、遠くから見るならルアーとして働くと思う。

 

 

ミドラは気づいたみたいで、猛スピードで泳いできた。

うん。終わったね。多分勝った。

こんなに昂ったのにもったいない。

まあでも、私が勝てるんだし別にいいや。

私は白みたいな戦闘狂じゃないし。

 

 

その鋭い吻が糸玉に突き刺さる。

ミドラはそれが糸玉とは気づいていないんだろう。

今も刺しっぱなしで全速力で泳いでるし。

もう見えなくなってるんだけど。

 

 

速すぎない?

アイツの体長、50mはあったよ?

それが一瞬で見えなくなるとか。

速すぎて、正直ビビってる。

よく私生きてたな。

 

 

じゃ、調理開始。

いいよね。

私の作戦通りに進めて。

 

 

私が魔法陣を構築する。

私は糸とミドラを巻き込むようにした次元魔法。

糸で粘着する必要があったのは、巻き込む条件に接触していることがあったから。

私の生成物に触れていれば間接的にだけど接触してることに含まれるっぽい。

これは本当に救いだ。

 

 

そして私の転移先は、中層のマグマ地帯。

やること?

 

 

決まってる。

魚らしく焼いてあげるんだよ!

 

 

次元魔法の構築が終わった。

これで終わらせよう。

『転移!』

その場から消える瞬間、ミドラは私の真横で口を広げていた。

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

まずい。

転移中のわずかな瞬間に私と電脳は急いで転移後の位置関係を調整する。

私が陸地に、奴はマグマ内に落ちるように。

 

 

転移の眩い光を瞬間的に浴びたのち、中層到着。

私は陸地に降り立ちミドラの方を振り向いた。

マグマの中に、ミドラは大きな音とマグマ飛沫を上げて落下する。

それと共に急激に減少していくHP。

 

 

危なかった。

やられるところだった。

まさか気づいていたとは。

気づいていた上で、超遠方からミサイルのように飛んでくるとは。

 

 

耐えかねたミドラが再び飛んでくるかもしれない。

奴の体力ゲージはもうほとんどないけど、警戒を怠ったら負ける。

でも、本当に転移が一瞬でも遅れてたらやられてた。

危ない。

危なすぎた。

 

 

そして思考加速が無くてもやられてた。

転移中に電脳がいなくてもやられてた。

これらを持ち合わせていたから、助かった。

 

 

暑い。

だけど、ミドラはもっと辛いのが分かってる。

いくら水龍で高熱に強いと言っても、マグマは溜まったもんじゃないでしょ。

 

 

私は、わずかながらも減っていく龍のHPゲージを見ながらため息をついた。

 

 

 

 

『あ、やべえ』

は。はぁ?

電脳の素の声が頭に響く。

今までは聞いた事がなかった。

神に会った時も、魔王と相対した時も。

私が今まで最悪とは思って来たときも電脳は素を出さなかった。

どうやら今までの人生の中で起こりうる最悪の事象が起きてしまったらしい。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

水龍ミドラと戦うことにした後。

砂浜の上で、寝転がりながら私は電脳と話していた。

それは、ミドラとアラバのステータスの差についてだ。

 

 

ミドラは素早さがやっぱりおかしい。

これは海だからって事で話がついていた。

 

 

それに対してアラバは地龍でオールラウンダー。

アラバには突出したものはないけど、全てのステータスが4000越え。

 

 

正直魔法で戦うんだったら、アラバの方がキツい。

ミドラは魔法抵抗力が低いし無垢を使えば上手く戦えるはず。

当たればHPをそこそこ削れると思うし。

そもそも溶岩に突っ込ませるんだけど。

 

 

そんな感じでそれぞれの特徴を確認していたつもりだった。

でも私は明確に忘れているものがあった。

 

 

それはどちらにも共通していること。

だけど、環境を考えたら片方にとってはあり得ないもの。

違いばかり考えていた私はある共通点に気づかなかった。

 

 

地龍アラバには空間機動と大地魔法を持っている。

それに対し水龍ミドラは立体機動LV9と水魔法を持っている。

そう確認した私は次のスキルについて考え始めていた。

 

 

なぜ、なぜミドラは立体機動と水魔法を持っていたんだ。

考えればよかった。

水魔法はともかく、立体機動は水中では使えない。

水に入って使おうとした私が言うんだから、間違いない。

それを、水の中にしかいない龍が持っているのはおかしい。

 

 

そしてもうひとつ。

アラバと同じくらい生きているはずなのにどうして持ってるスキルポイントに10000も差があったんた。

 

 

あの時考えていればよかった。

でも、もう遅い。

今わかっても後の祭り。

マグマの中にいるはずのミドラのHPゲージは、満タンになってそこで止まった。

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

ふざけるな。

 

 

まさか。

まさか湖の中の火龍を狩ってるとは。

マグマの湖の中にいた竜たちを狩りたおしてレベルを上げるとか。

なに考えてるんだ。

 

 

ものすごい勢いで30000以上あったはずのスキルポイントが50になる。

奴がレベルアップで獲得したスキルポイントも合わせて一気に消費されていく。

今、スキルポイントでスキルを獲得するとか。

ふざけてる。

 

このポイントでミドラが獲得したスキルは3つ。

獄炎耐性、空間感知、斬撃付与。

 

 

獄炎耐性はマグマの中でも無事でいるため。

こうなると、奴自身の高速遊泳が私にとっての大きな障害となる。

マグマの中を高速で移動できるんだから。

 

 

それに加えて私の転移を探知するための空間感知。

私の串刺しにしたのち、一瞬で殺すための斬撃付与。

 

 

ここまでならよかった。

いや、良くないけど納得できる。

スキルポイントが少なかったのと繋がったから。

 

 

あいつはなんかのタイミングで立体機動を獲得していたんだと思う。

スキルポイントで、本来手に入れることのないはずのそれを。

水中にいたなら必要のないそれを。

 

 

だから今回もポイントを使ったってことなんだろう。

うん。

ヤバい。

 

 

 

 

なんで立体機動なんか獲得してたかな。

陸に打ち上げられたりでもしたの?

違うスキルなかったかな。

 

 

 

本当にヤバいんだよ。

コイツ、今のレベルアップで空間機動に進化してるんだよ。

まだ水中にいるけどいつ飛び出してくるかわからない。

マジでヤバい。

 

 

下手したら死ぬ。

下手しなくても死ぬ。

 

 

 

私は、巨大なドーナツ型のマグマの湖の中心で警戒しながら身構えた。




登場人物のおさらい。


青……この物語の主人公。戦いは好まないが、彼女にとってミドラは琴線に触れたらしい。ミドラのことを正直舐めていた。見た目はデンチュラのようだが、体長60cmほどと小さい。宿難のような黒い模様が背中に刻み込まれており、脚も8本ある。一人称は私。


電脳……超有能コンピュータ。スキル『電脳』が進化して並列意思のひとつを乗っ取った。基本的に魔法の熟練度上げに勤しんでいるが考察も好き。青から並列意思として分離した際に男性要素を青から全て奪い取っていった。一人称はオレ様。カッコつけていることが多いが、考察は割と当たるので青にとって本当にカッコよく感じる時も多々ある。


水龍ミドラ……頭がカジキで、体がイルカのような青い水龍。全身が鋭い鱗で覆われており、物理攻撃を一切寄せ付けない。金眼である。こう見えて肺呼吸であるが3時間ほどなら余裕で水中に潜っていられる。原作にはいないが、本作ではひょんなことから青と本気で戦うハメになった。異常に素早く、吻で突き刺す以外にも攻撃方法はたくさんあり、平均ステータスもレベルもアラバと同等の強敵である。


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