バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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説明回



55 腹黒☆真夏の探り合い祭り!

私の困惑をよそに、2人は話し出す。

 

『私が今まで聞きたかったことがあるんですよ』

『なんですか?』

 

『あなたがなぜ魔術を作れるかってことです』

 

あちゃーバレてる。こりゃまずいかも。

バレたくなかったんだけどなぁ。

 

『それはオレ様をギュリエディストディエスに会わせたからだ。もともと自分1人じゃなにも出来ねぇし、なにもわからないはずの存在なんだ。ソイツに、魔力でもって魔術を使えるアイツを会わせてこんなことになった』

 

『なるほど、ギュリエのせいですか。わかりました。とりあえずそうしておきましょう。心はどうせ読み取れることですし』

 

Dも納得はしてないっぽい。

考えながらも、妥協したって感じだ。

 

『わかった。ならサッサとこの話終わらせようぜ。青も話したいことあるだろ』

 

お互いが腹を隠しながら話してる。正直全くわからない。

Dは心を読めるから分かってるんだろうけど!

 

『そうですね。あなたの口から発する気が無いのならば私から口出しするつもりはありません。青、なにを聞きたいんですか?』

 

あ、お、私か。

聞きたいことはあるから聞かせてもらおう。

 

 

不死とか簡単に渡してよかったの?あんなスキル、簡単に言っておかしいよ?

 

 

『そうですね。不死は、全てを求めた人の夢の究極形です。始皇帝から始まり、エジプト文明の歴史や竹取物語でもその夢は顕著に表れています。そしてなにより、不死は全生命の目標です』

 

うーむ、確かにそれはそう。全生命の目標は子孫の繁栄な気がしなくもないけどね。

 

『それも、その種族を不死にするという意味合いで行われているものなのです。もともと不死であれば子供など産みません。末端の神様に生殖能力がないのはそれも理由なんですよ』

 

ふーん。で、私の不死とどんな関係があるの?

 

『不死になることが出来るのであれば、さっきの話のように全生命が目指します。最上位の生命にのみ与えられる不死。それを追い求めて全ての生命が戦いで研鑽を重ね、死んでいくのです。素晴らしい世界だと思いませんか?』

 

思いませーん。弱肉強食とかじゃなくて無理矢理に不死という餌に誘き寄せて競争させるんでしょ?

少なくともそんな世界ロクなものではないと思う。

 

考えてみてほしい。学生たちが好きなことを学んで賢くなる教室と、一定以上の点が取れたらもらえる単位のために勉強する教室。どっちが健全かは火を見るより明らかでしょ。

 

『なかなかに言いますね。ですがこの世界にもそんな余裕はないんですよ?あなたも分かっていると思いますが』

 

その割には矛盾が多いんだけどね。

ポケモンをたくさん発生させるだけのエネルギーは大量にあるのにエネルギーがないというのは通用しないよ?

 

『痛いところをつきますね。では教えてあげましょう。今は最高神のエネルギーがこの世界に貸し出されてるだけなんですよ。だからこのエネルギーがなくなったら世界は消滅します』

 

え?なんで貸し出されてるエネルギーがなくなったら世界がなくなるの?

元々エネルギーがあって世界は成立していたんじゃないの?

なんかエネルギー無駄遣いした?

 

 

『うーん、どこぞの誰かがエネルギーを大量に掻っ攫ったことで世界に異常が起きていることくらいじゃないですか?エネルギーの無駄というのは』

 

あー、はい。どこぞの誰かですね。よくわかります。

でも、私たちのエネルギーはアルセウスから供給されたものなんじゃないの?

 

『元々はそうでした。しかし、最高クラスの魔物をこの速度で増やせるとは誰も想定していなかったようですね。おそらくですが』

 

うん?おそらく?

 

『どこぞの邪神が想定していないという私の一種の想定ですよ。話を戻しましょう』

『ここでひとつクイズです。アルセウスのエネルギーの瞬間放出量を上回ったアースエレテクト進化のために、なんのエネルギーが使われたでしょう?』

 

それがこの世界のエネルギー?

 

『大正解です。この時点で、一部のアースエレテクトにこの世界のMAエネルギーが配られることになりますね』

 

それが元々あったアルセウスのエネルギーが混ざった集合体が、私たちってこと?

 

『そうです。だから、もうあなた方はポケモンではないんです。ポケモンと魔物のちょうど中間。なんの派閥でもない、本当にカオスな存在ですよ』

 

それほどでもー。

 

『そのため、実験材料として最高の存在といえますね』

 

は?

 

『本当にすごいです。感動です。いや、感動も通り越します。ただただ恍惚です』

 

はぁ?

どういうこと?

 

『まず、あなたの使うスキル、特に雷光魔法改。これはシステム外行動です』

 

う、うん。そうだよね。

知ってた。

魔法じゃなくて魔術だもんね。

だから何ってことではないけど。

 

『まあどこぞの白い蜘蛛もシステム外攻撃を繰り返してるんですけどね。その話はまた今度にしましょう』

 

え。白のどこがシステム外攻撃なの?

そっちの方が気になるんですけど。

 

『確かに、外部からの働きかけ無しで面白い蜘蛛に興味がないといえば嘘になりますけどね。それ以上に、外部からの関わりがあって変質した生き物の方が気になるんですよ』

 

あからさまに私の質問を無視するD。これは答える気がないな。

 

 

 

でも、私は変化が小さい方が面白いと思うけどね。

対照実験として。

私では実験材料としては厄介なことが多すぎるんじゃないのかなぁ。

 

『確かにそうですが。実験場自体の変化が起こりうるという場合さすがにあなたの監視が必要になります』

 

 

 

ふーん。そゆこと。

じゃ、私もそろそろ神になれそうだね。

 

『そこは期待していますよ。まだ、何か聞きたいことはありますか?』

 

えーとどうしよう。

何聞こうかな。







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