バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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60 寄生廻戦

するとどうしようか。

人間は弱小生物だ。しかも私たち以上にこの世界の寄生虫。

たとえ滅びたとしても百利あって一害無し。

ただ、いずれ滅ぼすとしても3つ懸念対象がある。

 

 

ひとつ目はサリエルとギュリ。

サリエルの方は人を助けたいと思っていて、ギュリは愛するサリエルの意向に従いたいと思っている。

私が人族を殲滅するならば彼らは迎撃してくるはずだし、流石に未来の私といえどもその対処はやすやすとはできる自信がない。

 

 

ふたつ目はダスティン。

ギュリからしか聞き出せてはいないけど、聞いたところによると人類の存続のためにずっと頑張ってきたみたいだ。

それこそ数千年レベルで。

もしそんなやつと敵対することになったらと思うと手間がかかる。というか、並大抵の覚悟だとこちらが突破されかねない。

 

みっつ目に。

人間の知能だ。残念ながら私が何を言ってもこの真実だけは変わらない。

知能を持った生き物は想像以上に恐ろしい。

本能で勝てないと判断しても知性があれば逆らって襲いかかれるといえばわかりやすいだろうか。

もちろん戦えば勝ちうるわけで、そうなると知能を持っている獣は私に対してわずかな確率を狙って勝つという運ゲーを仕掛けられることになる。

獣側からすればわずかな勝ち筋のつもりなんだろうが、私側からしたらその運ゲーはたまったものじゃない。

 

 

なんだかんだで人間の強さの限界も見えていないしね。

一部の人間がめちゃくちゃ強い可能性も考えなければいけない。

 

 

やっぱり私って人間のこと買い被ってるのか?

 

 

『さあな。ま、知能レベルが他の獣より高いんだ。イレギュラーもあるだろうし警戒するに越したことはないだろ。

 それより1ついいか?最終確認だ』

 

『ん。なに?』

 

『例えば全く同じ姿になれるとして、お前はもう人になる気はないのか?』

 

『ないよ。もう私はどんな姿になっても自分のことを人とは思わない』

 

『そうか。

 それはお前が人間を軽視しているからか?』

 

『うーん、それとも違うと思うんだよね。

 電脳、ゴブリンと人ってどちらが優れてると思う?』

 

『一長一短あると思うから一概にはいえない。

 ゴブリンは小さく、知能指数も小さいがその分繁殖能力は高い。また、三欲を利用することで群れの連携をとることが多く連携能力なら人を超えうるだろう。

 人は知能指数も大きく身体も大きいが、その分繁殖能力は低い。また、様々な欲が頭の中に存在するために完全な統率は取りにくい。知能指数が大きいために街を作れるがな』

 

『そう。だから、私と人間は似たとしても全く非なる生き物となる。もちろんどちらが優れているとかもない。

 だから互いに争い、化かし合うことになる』

 

 

 

 

 

『おい』

 

 

『戦争する気はないよな?被害ヤバいことになるぞ』

 

『わかってるわかってる。

 少し寄生するだけだよ』

 

 

計画は変えない。

ただ人間に対する意識を変えるだけ。

これからも円滑に事を進められるように。

人族が私たちの計画の妨げにならないように。

 

 

私は笑って、村から続く道を歩き出した。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

道の真ん中を堂々と歩く。

とは言っても、凄い細い獣道みたいな道なんだけどね。

こんな道じゃ物資を補給するのもままならないはずだし、あの村は実際陸の孤島みたいだった。

こんな状況じゃ食糧不足になるのもわかる。

同族喰ライが発生したのも食糧不足の影響なんだろう。

 

 

ジブリであったみたいな道を抜けると、広めの道路に出た。

洞窟の兵士さんたちも言ってた街道。

地面が舗装されてるわけではないんだけど馬車とかなら通れそうだね。

実際車輪の跡がしっかり残ってるし。

 

 

となるとここから人間と会う可能性も高くなってくるか。

もし会ったとしてもこちらからはあまり手出ししたくないんだよなぁ。

まあ、私の体長も70センチくらいあるんだし逃げてくれるでしょ。

 

 

私が人間に手出しできない理由として、もし殺すと称号が手に入ってしまうところにある。

その称号は人族殺し。

これだけならまだいい。一部の兵士や村人にもあったからね。

だけど、その後にもっと殺すと『人族の殺戮者』と『人族の天災』が手に入ってしまう。

 

 

私はあくまでマスコットだ。

そんなマスコットが殺戮者なんてなってしまったら笑えない。

天災にまでなってしまったら、畏怖はされても受け入れられるわけがない。

 

 

私はあくまで寄生する立場だ。

寄生するなら寄生するなりに、まずは受け入れてもらわなけばならない。

体内に入れてもらわないで寄生できる虫が地球にも居ないように。

 

 

だから私は舐められる。

この世界の寄生虫を内部から破壊するために。

流行りじゃないが、寄生廻戦だ。

 

 

宿り合おうぜ、終末世界で。

 

 

 

 

 

お、てか馬車発見。

てかなんで止まってるの?仲良くお話中?

いや、商人さんと身包み剥いでる盗賊さんか。

大変だねー、この世界も。

 

 

なんかお偉い人が襲われてるってのがテンプレだけどそうじゃないっぽいしなー。

商人さんたちも抵抗する気はないみたいだけどどうしよっか。

盗賊さんたちも人族殺しの称号持ってるし、殺す気いっぱいみたいだね。

じゃ、この商人たちはほっとけば死ぬ。

 

 

よし媚び売ろう!

盗賊ゲット出来るし、パイプ得られるし!

 

 

なにより、なんか面白そうだし!







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