バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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62 変わり者たち

 

 

「お待たせいたしました!」

『ありがとう』

 

 

あれから1時間、やっと伝令の兵隊さんたちが帰ってきた。

えっとなになに?

 

いや聞き間違えだよね。ちゃんと教えて?

え、マジなのか。

凄いなそいつ。その人勇気ありすぎじゃね?

 

 

どうやら、私と話しにこの街の領主様が今から直々に来るらしい。

普通こういうのって部下がやるもんじゃないのかな。

危険度的にも、地位的にも。

 

 

あと地味にすぐ予定入れられるの有能じゃない?

それか暇なの?

流石に会話が通じる人であってほしいから傲慢でないことを祈る。

でも、魔物に対して強気って時点で人生舐めてる馬鹿者にしか思えないんだよなぁ。

 

 

やっぱりロクな性格の奴では無さそうな気がする。

愚か者ほど騙しやすいからそれならそれでなんとかするんだけど。

単純に話しててイライラしそうなんだよね。イライラしても殺せないから、ストレスになる会話は嫌だ。

 

 

「砦の中で待っていただくので良いでしょうか」

『かまわない』

「わかりました。ではいきましょう。他の方々はどういたしますか?」

 

私の方を見ながら、一番老年っぽい方が話しかけてくる。

やっぱりそうだよな。

疑ってたけど、やっぱそうみたいだよな。

 

 

『目立たない場所で待たせてやってください。我々のこともありますが、あなたたちの都合もあるでしょう。

 あと、念話で話してるの、私です』

一番小さい蜘蛛が手を挙げると、老兵さんは顔を真っ青にした。

 

 

 

ーーーーーーーー

 

 

 

「先程はご無礼を働き、誠に申し訳ございませんでした!」

『構いません。私は小さいのでわかります。私は間違えられうる、すなわちあなたは間違っていない』

 

 

私が今いるのは、街の入り口にあった検問所の大きな檻の中。

待てって言われた場所が檻の中だったから、最初はふざけてるのかと思った。私も魔物だから我慢しようって感じだったし納得はできてた。

でも面白いことに、どうやらその領主さんも隣の大きな檻の中に入るらしい。そうすれば私も領主も互いに危害を及ぼせないって兵隊さんが言ってきたのだ。

 

領主さん自ら檻に入るとは。

なかなか頭の柔らかそうな人だし、案外話しても面白いのかもしれない。

ただ、確かに理には適ってるけど同じ立場に立つだけで礼儀って訳じゃないからな?

私と同じ変わり者ってことだからさっきよりも気になると言ったら嘘になるけどさ。

確かに魔物と同じ立ち位置に立つってことを認めてくれてる訳だし。

 

 

ちなみに娘たちは盗賊と共に違う部屋の檻に入っているらしい。

盗賊をしっかり持ってるの、偉いぞ娘。

国際通貨は落としたら勿体なさすぎるからね。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

私は待っている間、パサパサしたクッキーを頬張る。

兵隊さんたちもたまに檻の中に入ってくるけど、なかなかに肝が据わった人達だ。

こんなに肝が据わってるなら冒険者とかも出来そう。

まあでも、やっぱり命が惜しいんだろうな。あんな危ない仕事誰もやりたくないし。

 

 

そして異世界のクッキー、やっぱり美味しくない。

まだ砂糖の安定供給も出来ないような文明レベルだろうし私が深く突っ込むことも出来ないんだけど、せいぜい果物から砂糖を抽出したりしないんだろうか。

果糖でもいいからさ。実際果糖がなんなのかは知らないけど。

 

 

お、部屋の小窓からガラガラ聞こえ始めた。

車輪の音がするし馬車で来てるってことは領主さんかな?

この建物の人達がみんなあわてて動いてるしそうっぽいね。

 

 

千里眼!

空間魔法で時空を歪めて、その穴からさらに千里眼で馬車全体をパパッと調べる。

ちなみにこの穴にも幻夢をかけているから人間に気づかれることはない。

私も本当に器用になったものだ。

 

 

 

 

うん、イケメンはいないと。

領主さんはカッコいいんだけど奥さんいるしなぁ。

別にいなくてもなんもしないよ?

しないって。

 

 

次に強さの確認。

ただ、私の千里眼には鑑定を載せることが出来ない。

だから見た目だけで判断することになるんだけど、今までの経験から案外人間は見た目とステータスが比例してるのがわかってるから実は問題がなかったりする。

ムキムキなヤツが弱小だったら面白いことは確かだけど実際はそんなことないのが世知辛いよね。

ほんと、現実に準拠しすぎたクソゲーだ。

Dの性格の悪さがこれだけでも窺える。

 

 

うん?

あの子供、馬車の中にいる子供の目が赤い。違う。よくよく見ると瞳が真っ赤なのか。

髪も白いし変わった子だ、アルビノなのだろうか。それにしては髪が綺麗すぎると思うけど。

 

 

この世界の人間については村で観察してきた。それでわかっているのは、この世界の人間でも髪の毛の色は基本的に地味であり、黒や茶色が多いということだ。

派手な人間は村で生活しにくいとかもあるのかもしれないけど基本は遺伝で伝わっているものなのだろう。

サンプル数が少ないから断言はしないが、おそらく合っているはずだ。

 

 

こんなことを考えてみると、この赤子は気持ち悪い存在だ。

髪の毛は真っ白で、目も赤い。

領主さんたちは2人とも茶色い髪なのに。

てか、異世界に来てから銀髪?みたいな色の髪は見てこなかったのに。

 

 

あの赤子、怪しいな。

異常なところがはっきりしすぎている。これは要鑑定だ。

 

 

こんなことを考えていたら再びさっきの老兵さんが来て私に話しかけてきた。

「領主様がいらっしゃいましたので、なにか準備があればなさってください。面会の時間も20分程度しか取れないと思われますので、話すことも考えて下さっていれば光栄です」

『ありがとう。君には感謝する』

「ありがとうございます。その言葉は遠慮なく頂かせてもらいます」

 

 

よし。

色々気になることはあるけど、まずは駆け引きのお時間だ。







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