バチュルですが、なにか?   作:天廻シーカ

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蜘蛛としての命




74 魔雷大戦⑧ 蜘蛛だけど、なに?

よし。

 

あとは私の番だ。

1分。

1分だけ待って。

ねえ、クイーンさん。

 

クイーンからの暗黒槍を、召喚してもらった孫で防ぐ。

ただ、まさか火力がこんなに高いとは。

いくら低レベルといっても、まさかアースエレテクトを即死させて来るとは。

 

ゼルギズはまだ動けない。

私もまだ頭から下が再生していない。

糸があるから娘から娘に飛び移れはするけど、そんな避けれるほどは回復してない。

 

しかも、魔導の極みを持ってないからか、オリジンじゃないからかは分からないけど、残った娘たちの召喚魔法もクイーンの魔法には追いつかない。

 

絶賛クイーンは私のところに猛ダッシュ中。

あと30秒もすれば辿り着くだろうし本当にヤバい。

私がクイーンから距離を取ってた上でこれだから、本当にまずい。

 

『電脳!

 どうするか決まってる!?』

『時間稼ぎの方法は決まってない!

 稼いだあとは即終了だが!』

 

 

「娘たち!ゼルギズの回復30秒かかる!?」

「1分はかかる!」

「かかります!」

「あー、わかった!

 そっち死なせないでね!!

 絶対!」

「わかりました!」

「ました!」

 

 

ヤバい。

私だけで30秒は耐えなきゃならない。

 

 

 

うん。

キツイ。

トップレベルにキツイ。

 

 

でも、懐かしい。

なんか懐かしい。

なんでなんだろう。

 

 

穏やかな気持ちになって来た。

じゃあ、やろう。

私。

 

 

 

おやすみ。

私だったもの。

 

 

 

電脳。

頑張ろう。

 

私は同調レベルをMAXにして、もう一人の私となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時までの私はまだ蜘蛛だった。

そう。

この日までは。

今になって思う。

これが最後の、まともな、ただ1匹の生き物としての姿だったんだろうなと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

暴れてやる。

オレ様が私だ。

私はオレ様だ。

全部、暴れ尽くす。

行くぞ。

 

 

頭しかないんだけどな!!!

 

 

魔神法。瞬間速度大強化。闘神法。神龍力。龍結界。死音。無限。魅了。無垢。

発動。

 

 

使えるものの確認。

魔法系はうまく制御できなくてほぼ全部ダメ。

吸収がなければまだ使えたかもだけど、今はそんなに手が回らない。

転移も無理。

HPは頭だけだからか回復し切らない。

 

糸は頭からならどこでも出せる。

私が作り出した魔術の爆雷と、腐蝕攻撃は使える。

あと、空間機動も使える。

娘たちは、あと2匹を私が吸い付くすし、実質何も出来ない。

そもそも私の脚として回避してもらわなければ。

 

 

十分だ。

これだけあれば、30秒なら耐え切れる。娘と一緒に。

 

勝負だ。

 

クイーン。

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

私の目の前に来て、脚を振りかぶるクイーン。

 

未来視で振り下ろすのを確認して、クイーンとの間に斜めに空間機動の足場を展開。

クイーンの脚はわずかに軌道をずらして落下する。

そのうちに、逆方向の地面に糸を飛ばして、私が噛み付いてる娘ごと逆方向に飛ぶ。

これで3秒。

 

 

いける。

このままいけばいける。

 

 

いや、ちょっと待て!?

いやいやいや!?

ウッソだろおい!?

 

こんな近距離で魔法使うやつ普通いるか!?

 

 

 

大量の暗黒槍の魔法陣を展開するクイーン。

私は糸で娘ごとくっつけながら、魔法陣の向いていない方向へ力任せに這いずっていく。

 

 

次の瞬間後ろで鳴る魔法の激しい着弾音。

マシンガンみたいな音と、後ろからの激しい爆風に煽られながら再び未来視で確認。

そして、上からまた飛んでくる脚を空間機動で逸らして、糸と黒鞭で這い回る。

 

 

クソッ!!

我が娘、脚が遅すぎる。

元々クイーンとアースエレテクトのステータスは5倍は差がある。

クイーンが20000くらいで、アースが4000くらい。

そして、私が地面を糸で這い回ってる速度はおそらく9000くらいなのか?

 

 

となるとって!?

迫って来ていた暗黒槍と脚の同時攻撃を避けて、空間機動の足場に黒鞭を絡めてターザンのように跳ぶ。

もちろん娘は引っ付けたまま。

 

娘、ステータス低すぎて逃げることすら出来ん!!

私が振り回しすぎてまともに魔法展開も出来ないっぽいし!

もう体力ないから意識もほとんどなさそうだし!

 

 

 

 

ただ、2回魔法を撃ってくれたおかげでだいぶ時間を稼げた。

あと4秒。

これならいける。

 

 

 

遠心力で遠くに飛んでいった私に向かって、クイーンは暗黒槍の魔法陣を展開する。

そして発射。

そのまま蜘蛛の腹を突き刺し、暗黒槍は遥か彼方に飛んでいった。

 

 

 

 

 

というのは嘘で!!

外道魔法の幻夢です!

で、外道魔法が使えるということは?

 

 

 

私、レベルアップで完全復活!!

クククッ、私はアンタの真上にいるんだよ!

残念だったなクイーン!

 

鎌に魂を込めて振りかぶってーー。

 

クイーンの頭にそーい!!!

 

 

 

びよーん。

ーーは?

 

脚が動かない。

身体が動かない。

鎌が動かない。

下を見ると、ブレスを貯めてるクイーンがいる。

そして、脚を見ると絡まった糸が。

そのさらに糸の先には空間機動の足場。

 

 

 

ウッソでしょ?

頭良すぎない?

私が上から攻撃すること予想してたの?

あと空間機動って足場の維持ってMP的にすごいキツいはずなんだけど。

まあでも、別にいいや。

2秒で終わらせるから。

ステータスがほぼ同じでも、私とあんたじゃ見てる世界が違う。

 

雷光魔法最高火力の雷光界の魔法陣をとりあえず5つほど、小さめにしてクイーンの空間機動の足場の上に展開。

小さめって言っても5mあるから十分大きいけど。

もとが200mくらいあるからミニサイズにしても無駄に大きい。

まあいいや、ほいドーン!

魔法陣を展開してから一瞬で発射。

もちろんクイーンは新しい足場を作って対抗しようとしてるけど、そこにもドーン!

 

ここで完全に私に対する糸の拘束が外れて、身体が動くようになる。

やりたいのは魂の破壊だけど、元気な状態で近づくのも嫌だから削っておこう。

 

『電脳、ギリ死なないように加減するとなるとあの魔法、魔法陣何枚でいける?』

『10枚だな。

 それで瀕死になるんじゃねーか?

 少なくとも耐えるラインはそこだ。11発以上の火力だと生存の保証はできねー』

『おけ!じゃ、撃ったらその後はよろしく!

 私はクイーンのスキル奪うから近くいてね!

 魔王来ると困るし!』

『オッケー。

 さっさとしとめていくぞ』

 

 

私が繰り出すのは、今まで私が作った中で最も構築が難しい魔法。

そして、おそらく誰一人成し遂げたことがないであろう偉業。

 

 

 

最高だ。

どうせだし、詠唱でもしておこう。

別にいらないけど。

 

「神よ、この世界を救いたまえ。

 このか弱き蜘蛛を許したまえ。

 我は御力の根源を欲す!

 世界を変えろ!

 

 ”星幽破滅”アストラルカタストルフィ!!!

 

 

 

私が起こす美しい直径200mの広域殲滅攻撃。

魂を破壊することのみは敵わないが、火力だけなら深淵魔法を軽く上回る文字通りの世界最強破滅魔法。

10枚の魔法陣が高さ2kmにわたり縦に連なり、それぞれが連動し一つの巨大なコイルのようなものが浮かび上がる。

末端からも放電がほとばしり、それが掠るだけでも地面が抉れていく。

植物はもう無く、わずか一瞬で炭化した。

まさしく天災。

 

 

いや、天災どころではない。

神話。

まさしく神話だ。

私が言うのもアレだけど、なんだろうこれ。

ラグナロクだね。

 

 

転移能力の持たない蜘蛛は一瞬で炭化し、そのまま炎上。

アースたちとゼルギズは転移させてたから無事だけどね。

 

ただ、顕現しただけ。

まだ魔法は発動していない。

だけど今、この瞬間発動させる。

 

 

 

轟音と共に白い閃光が天から魔法陣内部に流れ込み、電磁砲のように堕とされる。

そしてそのままこの星を抉っていく。

閃光はクイーンタラテクトを押しながら掘削を続けていき、最終的にはフェクト大迷宮を最下層よりも深く削った末に消滅した。

 

 

 

 

待って?

これ生きてるの?

クイーン。

 

『ほら万里眼で見てみろ。

 生きてる』

 

うわまじだ。

なんで生きてるのよ。

残り体力200で黒焦げなのに、ほんとになんで生きてんの?

 

 

 

雷光魔法最高攻撃力を持つ雷光界。

ただこれ一回だけなら別に寝ながらでも撃てる。

というか、電脳の演算能力でこれだけだったら勿体無い。

 

だから10枚重ねた。

それだけ。

だけど雷光魔法の源である雷は闇とか水とは違って大きな収束力があって、相乗効果で超破壊力になったのだ。

てか深さ3kmの穴とか、どんなもの作るのよこの魔法。

これに耐えるクイーンもおかしいし。

 

 

 

 

 

だって地面もう黒焦げだよ。

空だって暗くなってるんだし。

いや待て。

 

私の10秒の魔法で黒い雲と雷発生しとる。

私自身はなにもしてないし、システム上の電気しか動かしてないのに。

もうわけわからないから後に電脳に調べてもらおう。

私がクイーン喰う間にでもやって貰えばいいかな。

 

 

『じゃあ、食べるから降りよう』

『おう』

 

私は落下してその勢いのまま鎌をクイーンに突き刺す。

そして私は鎌をつたって侵入して魂を食う。

早めに食べないと、クイーン倒したの察知した魔王来ちゃうし急ごう。

 

 

『ねえ、電脳?いつ頃魔王来る?』

 

 

 

 

 

『ねえ?』

私の探知から、もといた体が一瞬で消え去っていた。






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