特異点の目覚め
『青!回収できた!
これどうすればいいの!?
てかアンタ今どこいんの!?』
『クイーンを削ってる!
3日ぐらいかかりそうだから少し待って!
あと落ちてた機械穴に突っ込んどいて!』
『注文が多い!
わかったけどそっち終わったら全部教えてね!?』
プチっ。
ここで切れる念話。
うん、しっかりと家のところに座標がある。
無事に家まで送ってもらったみたいだ。
あーあ。
アイツ大丈夫かなぁ。
多分私の性格からして、起きたらケロッとしちゃうんだよな。
その後は少し元気になっちゃうだろうしそしたら捕縛は面倒臭いか?
いや行けるか。
ステータス的に完全なる雑魚になってるんだし、別に接触することはできる。
接触できれば私の人格も帰れるんだし主導権も取り返せるからね。
でも馬鹿げたことをやってくれたもんだ、D貴様。
スキル「
おそらくだけどこれがステータスを成人女性くらいまでに下げさせた原因なのだろう。
まあ逆に言って仕舞えば、少女体型なのにあのステータスくれたのは手心あったのか?
いやないなこれ。
単純に0.1%にしただけでしょ。
あれ?
確か吸血赤ちゃんのステータスって10くらいあったよな?
それの4倍くらいっていうとやっぱ少女くらいの力しかないのかマジか。
これは流石にステータス低すぎるなー。
てか電脳がいないから名前思い出せないのモヤモヤする。
だけど、とりあえずこれで私のDに対する評価は最低まで落ちた。
もともとロクな性格のやつではないと考えてたけど、今回の件でもっと落ちた。
やっぱり、世界が破滅したのDのせいなのあるでしょ。
なんならポティマス以上に。
あー、もういい!
今ウダウダ考えたところでどーせ体の所有権ゲットするまで動けないんだから!
さっさと食べて帰ってやる。
でも驚いたなぁ。
まさか死んだ施設でも私が進化するだけのエネルギーが蓄えられていたとは。
こりゃ多分、生きてる施設にあるエネルギーは馬鹿にならん量あるでしょ。
その分、攻略難易度も大幅に高いんだろうけど。
でも私もオリジンかぁ。
現在進行形でバタバタしてはいるけど、たどり着くとこまで辿り着いたものだ。
元々はただの小さな1匹の蜘蛛だった。
それが、アルセウスの力も借りながら白と暴れ続けて進化してきた。
そして、私はいつしか自然と独立した。
独立してからも水龍を狩ったりしてレベルを上げていった。
その間も殺されかけながら、なんとか勝った戦いも何度かあった。
忍耐の食いしばりがないことを考えれば、よくやったんじゃないか。
HP以上の攻撃くらったら即死だったんだし。
そんな蜘蛛は、いつしか目標を達成した。
予想していた通りの能力も手に入れて、Dからの支配からもだいたい解放されたと思っていた。
それがこの結果だよ畜生。
逆にピンチになった。
本当に
なんてことしてくれたんだ。
おかげでいつ死んでもおかしい体になっちゃったじゃないか。
クソッ。
もう最強になってんのにさ。
蜘蛛すらやめて、なんなら新生物になったとまで言えるのに。
金属食べてるし、
それが馬鹿げた神の一手で詰むことになるなんて。
許せない。
てなこと言ってもなぁ。
私今動けるわけじゃないし、少なくとも数日はクイーンの魂の破壊にかかる。
今は電脳が動かないことに賭けるしかない。
お願いだから電脳、無茶しないでね。
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うーん。
オレ様は、なにか夢を見ていた。
それは見たままに記憶から離れていく。
オレ様は、離れた記憶をたぐり寄せる。
失わないように。
知識として消えないように。
けれど、
わずかに寂しさを残して。
ああ、もういつまで寝てんだ。
オレ様は目を擦りながら、うつ伏せになるために手をつく。
なぜか仰向けのまま寝ていたから、危険回避しなければ。
背中はまだしも、腹は獣に襲われると危ない。
目を開ける。
視界に飛び込んできたのは、青と共同で作った家の壁だった。
ぼんやりとしながら不思議に思っていると、身体がコテンと横に倒れた。
は?
横になったまま手足をジタバタと動かしていると、背中の方から響く声。
「電脳、目が覚めた?
そんなにジタバタしても、足8本あるわけじゃないよ」
あん?
と思っていたら、ずきりという痛みが腹に響く。
そこでゆっくりと下を見てみると色白の全身がある。
それでも、地球で見ればなんの違和感もないような人の体ではあるんだが。
どういうことだ?
身体に向かって鑑定をしてみると、そこに浮かび上がったのはオリジンエレテクトの文字。
どうやら、機械と一緒にエネルギーを食ったことで進化したようだ。
レベルアップはできると思っていたが、思ったよりも経験値多かったな。
だがそんなこと今はどうでもいい。
問題は、0.1%になったステータスだ。
これは本当にガキのステータスしかない。
スキルは封じられてないが、階段から落ちれば死ぬといえばそんなものどうでもいいだろう。
人の体ということで外骨格も無くなっているわけだしな。
ステータスも実際の身体もマジで弱くなっている。
「で、アンタ。
青と仲違いしたんでしょ。
わたしは詳しく事情知らないから説明してくれないかな。
お腹の傷、治してあげたんだし。痛みはまだあるかもしれないけどね」
腹の傷お前が作ったもんじゃないのと聞きたくなるが、あいにく今のオレ様には抵抗する権利がない。
力が全てのこの世界で、今現在はただの人族と同じなのだから。
オレ様は、ふらふらと立ち上がってそのまま白の隣へ座り込んだ。