たくさんのバチュルが生まれ、猿肉を持って旅立っていく。こうやって見るとなんか蟻みたいだな。
『うちらこうやって生まれたのか……』
『いや、前も2000匹いたんだぞ?数的にも大量生産になるって』
『まあまあ、あたしら今実際生きてるし結果オーライよ!』
9割死んでるけどな……。
しばらく経ってついに白が完全に黙ってしまった。俺だって今女子(蜘蛛)に囲まれて苦しんでんだから頑張って欲しい。その前に全長6mある蜘蛛なのにコイツら念話の声が女子すぎるんだよ。確かに産まれてから全然経ってないけどさ。
『自分でいうのはあれなんだけど、お前らどうする?』
『どうしようかしら。宿主殺して来ちゃったし、もともとそろそろやる気ではあったけど』
『なんかすまん』
『気にしないで。エナトロとシアンの2人はちゃんととっくに殺してたから』
『言い方』
猿を食いながら話してるけど、念話は口使わなくていいから便利だわ。地球に生きてた時に使いたかった。
『よし、じゃあ私からはお願いあるんだけどいい?白さんも』
『え、あ、わたし?』
『あ、はい。どうぞ』
『これからどうするの?』
『上層に向かおうと思ってる。いま考えてるのは中層を通って行くルート。ハチの群れにはまだ勝てないと思うし、地龍がいるかもしれないから』
『じゃあその中層から行くルート、私も連れてってくれない?多分過剰戦力になるけど』
『え?まじ?』
『マジで?』
『私、拠点を無くしたから少し不安があるの。あとスキルに関してはあなた方の方が全然知ってるはずよ』
『そうかも知れないけど……。いいのか?』
『いいわ。私も上層に行きたいの。安全だしね』
『白、いいか?』
『大、賛、成』
『じゃあ、よろしく』
『そしたら、子供たちを乗っけて』
『え?』
サヤの背中からわさわさと子供たちが乗り移って――って。あ。
体力減り始めたぞ。なにやってんだお前ら!?
『何で母さんは自動HP回復持ってないのよ。
いま子供たちがHP吸収適度にやってるから必死に食べてあと卵産んで』
鬼だ。
食べ続けること約半日。
『今回は、5011匹か』
《熟練度が一定に達しました。スキル「HP自動回復Lv3」が「HP自動回復Lv4」にレベルアップしました》
地面に寝転がってぐったりする。猫なら可愛いんだろうけど猫サイズの蜘蛛だから、人が見たら間違いなくレッツゴーキゼチュウだ。
『なんかめちゃくちゃ疲れたんだけど』
『あ、あと私も母さんのこと青って呼ぶわね。一応一緒に行動するんだし、母さんって呼ぶのはなんか嫌だわ』
そりゃ冒険に母さんいたら嫌だろ。あれ対義語だぞ。
一方その頃、白も白で陽の者たちに絡まれていた。
『じゃああたしからも1つお願い。毒魔法教えて?』
『あ、エナトロさん、わたし?』
『そうそう白さん。あたしは鑑定で取得出来るのは知ってたんだけど、白さんは種族的に自動で獲得したんじゃない?』
『う、はい』
『いや、ちょっと待て!?なんで鑑定で取得できるスキルわかるんだ?』
『いや、母さんも空間魔法知ってたじゃん』
『それはありそうな魔法連呼したからだぞ』
『てかそもそもスキルポイントから調べたらでるじゃん。たしか、鑑定Lv8でいけるはずだったよ』
『え?』
「鑑定!!」
『タランテスラ Lv4 名前 青
佐野蒼生
ステータス
HP:69/69(緑)
MP:80/80(青)
SP:72/72(黄)
:72/72(赤)
ステータス
平均攻撃能力95
平均防御能力82
平均魔法能力104
平均抵抗能力84
平均速度能力121
「HP吸収Lv7」「HP自動回復Lv4」「蜘蛛糸Lv10」「大奈魔糸Lv2」「操糸Lv9」「糸合成Lv9」「斬糸Lv3」「思考加速Lv1」「命中Lv8」「鑑定Lv8」「探知Lv3」「隠密Lv6」「連鎖斬Lv9」「外道魔法Lv3」「電撃付与Lv10」「雷付与Lv4」「過食Lv8」「暗視Lv10」「視覚領域拡張Lv1」「電気魔法Lv10」「雷魔法Lv4」「雷耐性Lv4」「毒耐性Lv7」「麻痺無効」「石化耐性Lv4」「酸耐性Lv3」「腐蝕耐性Lv3」「外道耐性Lv3」「恐怖耐性Lv5」「苦痛無効」「痛覚軽減Lv5」「剛力Lv2」「堅牢Lv2」「強化産卵Lv10」「小型化Lv10」「共生Lv6」「賢姫Lv3」「怠慢Lv1」「禁忌Lv5」「n%I=W」
スキルポイント:1300』
あ。スキルポイントの下に小さく詳細って書いてある。これか?
詳細っと……。ええ?ヤバ。
「白」
「やべえ」
「すげえ」
獲得できるスキルとその一覧。スキルポイントが足りないのも表示されてるから、これからのスキルポイントの使い方とかも考えられる。
『はじめてか。好きに見てていいよ。それから教えて』
『わかった!』
よしよし……。
邪眼系のスキルは種族の関係で無理と。毒魔法と影魔法は100ポイントで簡単は取得可能だけど他は300ポイント。火魔法の耐性獲得は500ポイントかかるけど。たしかデンチュラの覚える技が電気、悪、毒、虫とかだから反映されてるのか。大罪系はめちゃくちゃスキルポイントがかかる。当たり前だけど、強いスキルほど大量のスキルポイントが必要になる。
「白、どうする?2人で同じスキル一緒にとっても結構無駄になるよ?」
「そうだね。じゃあどうしようか」
あ。あれ俺なんかヤバいスキル持ってない?この怠慢ってやつ。
『怠慢:自分以外の周囲の魔物全ての平均速度能力を低下させる』
バ・ケ・モ・ノ。多分あれなんだろうな。ポケモンでバチュルからデンチュラに進化したら覚える技、ねばねばネット。相手の素早さを一段階下げる罠的な技だったけどこんな形になるか?化け物過ぎんだろ。
『ねぇ。サヤ』
『なに?』
『怠慢ってあるか?』
『あるわ』
あー。これこの種族が使えるチートスキルってことでよさそう。チートばっかやな俺ら。
「白は邪眼系いける?」
「うん。今は無理らしいけど。青はいけないの?」
「ずっと無理らしい」
「なんかこれあれだけどポケモンの限界感じて安心したわ」
大丈夫俺も少し安心した。なんか逆に不安になってたからね。
ま、とりあえず魔法はとっとこう。
《スキルポイントを100使って「影魔法Lv1」を獲得しますか?》
YES。
《スキルポイントを消費。「影魔法Lv1」を獲得しました》
《スキルポイントを100使って「毒魔法Lv1」を獲得しますか?》
いえす。
《スキルポイントを消費。「毒魔法Lv1」を獲得しました》
あと、空間魔法はとっておきたい。上手くいけば転移を覚えられるし、マップ移動が重要なことはポケモン民ならわかること(そらをとぶ)。
《スキルポイントを500使って「空間魔法Lv1」を獲得しますか?》
いえす。
《スキルポイントを消費。「空間魔法Lv1」を獲得しました》
さてと……。
「あ、傲慢って100でいける」
「マジで?」
どこだどこだどこだぁ?あ、あったわ。
『傲慢(100):神へと至らんとするn%の力。取得する経験値と熟練度が大幅に上昇し、各能力成長値が上昇する。また、Wのシステムを凌駕し、MA領域への干渉権を得る』
「「こわ」」
白なんてもん見つけてんだ。破格すぎてワケわからんし。いや、意味は分かるんだけど。
n%にWのシステム、MA領域。鑑定しても、全部『鑑定不能』で遮られる。この世界の理に関わるということ?
ただ怖いけど、今の時点でもっと怖いことは自分が死ぬこと。だからこんな成長の機会は逃したくない。さっきだって足が千切れたし、いつ死んでもおかしくない状況で悔いは残したくないし。なにより、生きなきゃいけない。
「白、決めた?」
「覚悟はできてる」
「いいね、最高だ!いくか?傲慢」
「いこうか青!」
「「来い、傲慢!!」」
《スキル「傲慢」を獲得しました』
《熟練度が一定に達しました。「禁忌Lv5」が「禁忌Lv6」にレベルアップしました》
《条件を達しました。称号『傲慢の支配者』を獲得しました》
《称号『傲慢の支配者』の効果により、スキル「深淵魔法Lv10」「奈落」を獲得しました》
「「は?」」
なんかやっちゃって無いですか?てかなんだお前マジでレベル上げんやな。もう過ぎ去ったことはどうしようも無いけどなぁ。ヤバい不安だぞレベル上げてしまった。あーどっと疲れた。もういい。
「「寝よう」」
しばらくはそのホールで過ごした。白はエナトロに捕まってて、俺は俺でサヤに捕まって鍛えられる毎日で正直辛かった。だってガチで鍛えられるだけだったんだもん。そりゃ辛いて。
『じゃ、シアン。頼むぞ』
そして、中層へ偵察に行ったシアンが帰ってきたから俺たちは出発する。そして何故
かそこの様子はまた教えてくれなかった。娘たちが秘匿癖ひどいです。もういい加減素直に教えてくれ、死ぬから。
賢姫では力技で聞き出せるとは思うけど、まだその時じゃない。今のところは好感度を稼ぐのを優先しよう。
『あ、着いてく。着いたら別れっけど』
なんて言ってエナトロもついてくる。俺たちはまだしも6mくらいの蜘蛛が3匹いるんだぞ。人間がこれ見たら即気絶だろうなぁ。いやこの世界だと案外いるサイズなのか?マザーはめちゃくちゃでかいし食物連鎖の頂点に立ってそう。
『じゃあしばらくお願いします』
白がだいぶ慣れてきたし頑張ってくれ。
『あ、そろそろ着くよ』
え?まだ少ししか経ってないんだが。約3時間?
『じゃ、私たちは帰るわ。3人で頑張って!』
『じゃ!』
『ありがとうございました』
ああやって客観的に見ると、俺ヤバイことしてるな。だって俺たち大量に子供背負ってるんだぜ?パンデミックにもほどがある。虫嫌いな人が見たら気絶しそう。
『ねえ、なにか明るくない?』
『明るいな』
『ねえ、青、さっきから思ってたんだけどこれ共生でリンクつかないの?』
白が人数減って元気になった。やったね。
『まって。やってみる』
《「共生」及び「賢姫」の兼用は可能です。出来ました》
「あ、いけたね」
「共生ってなんなんですか?」
「言っちゃえば経験値分配システムかな。足したら元の経験値より絶対増えてる気がするけど」
「サヤ。青。じゃあ行こうか」
「わかりました」
「おう!」
「「いざ中層!」」
グツグツ!グツグツ!グツグツ!
「はいマグマ!!退却!」
うっそだろおい。
「子供たちどうしようかしら」
そりゃマグマだからな。俺たちはだいぶ進化してるけどまだ全然進化してないやつもいるし、すぐ焼け死んじゃうかも。てかなんで中層マグマ地獄なんだよ。たしかマグマって溶岩になってすぐ固まるよな。なんで固体にならずに流れ続けてるんだよ。なんで?異世界面白ーい、わろた。
「もうここで下層においてきちゃえば?」
「よし、決めたわ。じゃ、ここで3人で山分けして食べましょう」
「「マジで?」」
バチュルやデンチュラがわさわさと俺たちの背中から降りてくる。お前らもそれでいいんか?
「おい、マジで食うのか?」
「もちろん。生き残りやすくなるし2人はレベルも上がるわ」
「でも」
白の言葉に関わらず、サヤはため息をつくようにしてからバチュルを食べ始めた。
「わたしだって場をわきまえてるわ。特に青。あなたはなんだかんだ言って≪オリジン≫なんて始祖の称号持ってるんだから。私たちの種族の産みの親でもあるんだし。一緒に行動出来ること自体に意味があると思ってるの。その思い出作りの一環よ」
「はぁ」
あれ?産みの親って突然変異の俺産んだマザーじゃね?詳しくは言わんけど。
「だから、ちゃんと食べてレベルを上げなさい」
「はい」
娘は強い。多分母さんよりも。
ちなみに、結局レベルは上がらなかった。
禁忌のレベルが上がりまくってる……。これ大丈夫か?
果たしてこの娘、うまく扱えるのか⁉︎
受験があるので不定期更新になります。来年には戻します(そこまで続けば)。あと鑑定の称号部分を削除したり色々かきなおしました。