「ふーん、てなわけで今は別行動してるのね?」
「今は、じゃない。これからもだ。
勘違いするな」
「素直じゃないやつ。
で、これからどうすんの?
人に奉仕するのは続ける?」
「奉仕じゃなくて利用だけどな」
「あっそ。
わたしは別にここに住んでるから自由にすれば?
ちなみにここ、青の家だからアンタに所有権あるわけじゃないよ」
「わかってる」
「ならいーんじゃない?
わたしとしてはさっさと服着て欲しいけどね。
身だしなみくらいはしっかり欲しいな」
そう言って、去っていく白。
おそらくオレ様は子供に見られているのだろう。
実際、いまのオレ様は夢を語るクソガキと同義だ。
青がいなくなって、首が回らなくなってからも仲直りしたいとなどは思いたくないのだから。
両手の指から太めの糸を出し、右手の糸を左手の糸に絡めていく。
いくらステータスが低くなったといっても技術が低下しているわけじゃない。
オレ様は少しずつ確実に服の形をかたどっていく。
ただ、指を動かす速さが1000分の1ということは作成にかかる時間は1000倍となる。
強度的に普通の糸ならばそうはならないだろうが、神織糸ならそうなってしまう。
オレ様はその日夜まで編み続けて、そのままコトリと眠りに落ちた。
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『ねえ青、コイツいてイライラするんだけど。
あんたの嫌なところ煮詰めたみたいな性格なのがヤダ』
『ごめんって。
確かに私に似て他人の心わからない奴なのも認めるけど、ああ見えて技術力とか研究能力とかはすごいから。
私がいないとホントにダメなやつとは認めるけどさ』
『わたしはそのダメな部分しか関わらないからめんどくさいのよ。
早めに帰ってきてよ?
てかあんた以外にコイツまともに従えられる奴いないんだから』
『わかってる。
今急いでるから待って。
あと、ほっとくんでいいから家からは出さないで』
『オッケー。
じゃあ切るね?』
『おけ』
プチっ。
まずいな。だいぶ白の機嫌が悪い。
口調だけで本気で怒ってるのがわかる。
思ったより電脳のコミュ障が働いてるっぽいからホントにまずい。
あいつ、コミュ障になるとただの嫌な子供でしかないんだよな。
まるで昔の私みたいだ。
お願いだから許してくれ、白。
私とアイツ、共依存だからさ。
どちらかが崩れたらもう崩れちゃうからさ。
だから許して、お願い。
次の瞬間、私の脳内に爆音が響いた。
『おい貴様、さっさと元気になりやがれ!
ドアホ野郎!』
『うるさい!
ゼルギズ、どうしたの?
てか今どこにいるの?』
『今はエルロー大迷宮の中層で療養中だ!
あのなー、話したいことあるんだけどなー?
クイーンのブレスが来た時、なんでアースにお前ごと転移させなかったんだ?』
うん?
どゆこと?
『クイーンのブレス前急いでアース吸収してただろ?
その時お前は危なかったから我は貴様を命懸けで守ったんだ。
なぜ、ブレスが来るってわかった瞬間にアースと共に転移しなかった?』
あ。
『そんな手があったのか!』
『あ、あほか。
いやその時我も気づかなかったからもう言わんけどな?
とりあえず無事なようでよかった。
無事なようでよかったよな?な?』
こっちはこっちでめちゃくちゃ圧かけてくるじゃん。
これは無事じゃないといえない雰囲気にしてるな?
めちゃくちゃ感謝してるけど。
実際彼がいなかったら私死んでたしな。
卵も産むカタツムリだから彼というべきかはわからんけども。
『ありがとう、元気だよ。
そちらの体調はどういう感じ?』
『今ちょうどレベルアップしたから元気だ。
今言ったこと考えて少し病んでたが』
『ホントにありがと。
心から感謝してるし、今度何かしらで恩は返す。
でも、電脳が帰ってくるまでは待ってほしい』
念話から響く素っ頓狂な声。
これは、おそらく私と電脳が分離したこと気付いてないな。
じゃあなんで電脳の方じゃなくこっちに電話くれたのよ。
『電脳とどうしたんだ?』
『あいつが拗ねたのよ。
まー、私も悪かったところあると思うけど。
仲直りできるから気にしないで』
『それならいいが、仲良くしろよ』
優しい口調で話しかけてくるゼルギズ。
だいぶ気をつかっているのかな。
心配かけちゃって申し訳ない。
『で、我にしてほしいこととかあるか?
出来ることはやっておくが』
『うーん、今は特にない。
それこそ電脳が帰ってきたあとお願い』
『よし来た。
無理はすんなよ』
ブチッ。
やっぱり私も子供なんだろうな。
まあいい、今は急いでクイーンを食い殺さなきゃいけないし。
だけどもともとクイーンの捕食なんてモノが3日で終わるわけがない。
私だってクイーンの魂を3日で喰うつもりなんてサラサラなかったしね。
だから少し、私は雑に捕食している。
私が最初考えてたのはスキルとステータスをまとめて捕食すること。
これの場合、自分の大幅強化は可能だけどその分スキルの保護が必要となり2週間はかかってしまう。
そこで考えたのは魂のエネルギーだけを捕食すること。
この場合、スキルは破壊されてしまうけどステータスは吸収できる。
正直クイーン1体のスキルが本当にもったいないけどそれ以上に時間がないからね。
魔王がここまで飛んでくるのにかかる時間はあと6日。
それまでにさっさと食べて電脳を回収する。
これしかわたしが生き残る術はない。
地味にこれ、ピンチでは?