幽鬼狩人と騎士猫と隻眼竜人嬢。あるいは飯の話   作:黒モク

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6:貝

 絶景。

 

 陸珊瑚の台地はその一語に尽きる。

 針葉樹のような珊瑚に広葉樹のような珊瑚。シダ類や菌類のような珊瑚。ヒラタケのように平たく広がる珊瑚。藤の花のように胞子帯を垂らす珊瑚。多種多様な珊瑚達は薄桃色や薄橙色、薄紅色に薄緑、薄黄、薄青と淡い色彩を有し、幻想的な光景を描く。

 

 珊瑚達が長い長い時を掛けて幾層にも重なり、連なり、脈々と台地を築き上げたためか、この地域は高低差が凄まじい。台地の最上層は雲上に届き、台地の基盤となっている最下層部は瘴気漂う恐ろしげな谷となっている。

 

 極端に大きな高低差により、台地は常に上昇気流が生じている。最下層から付き上がってくる気流が珊瑚達の放つ色とりどりの卵を大地全体へ散布させていく。さながら粉雪や花弁やタンポポの綿毛が踊っているようだ。

 

 幻想的で、神秘的で、驚異的で、美麗で、恐ろしい。

 

 この特異性の極まった環境にも、ケルピを始めとする見慣れた生物が生息しており、彼らの姿に不思議な安堵を覚える。まあ、台地なのに貝が獲れたりするけれど。

 

 そんな陸珊瑚の台地は、森や密林に特化した幽鬼狩人にとって、活動に適した土地とは言えない。

 

 高低の激しい地勢は山登りに通じる面白みや楽しさがあるし、高所から望む景色は語彙を尽くしても表現しきれない感動がある。素材採取や地形調査を目的に散策するなら、とても楽しい場所だ。

 

 しかし、大自然の脅威――モンスター達と干戈を交える地形としては、あまり好ましくない。地勢や地形が特異的過ぎて、幽鬼狩人の森林戦技術や経験を活かし難かった。

 

 十全に実力を発揮し難い以上、幽鬼狩人は戦闘を避けることを前提に、指名依頼の蘭を求めて探索を始める。

 

 幽鬼狩人は上下左右に意識を注ぎ、美景に注意を乱されぬよう集中力を研ぎ澄ます。足音も装具が擦れる音も発さずに珊瑚達の形成した奇異な大地を進む。時に珊瑚が作った小穴や狭隘な細道を這いずって。

 

 その様は森の幽鬼というより、珊瑚礁の中をこそこそと徘徊する小エビのようである。

 

 

「相棒。もっとガンガン攻めていこうニャ」

 隠密に全振りの浸透潜入染みたやり方に、騎士猫は不満の意を伝えた。

 

 陸珊瑚の台地へ遠征するに際し、騎士猫の新装備が完成していた。男性向けレイアα装備をディフォルメしたような騎士甲冑は、桜火竜の素材を使っているため、ところどころ紅くてとってもオシャレ。

 

「目的の蘭が早くに見つかったら、空いた時間で狩りをしても良い」

 幽鬼狩人は騎士猫の不満を宥める。

 

「流石、相棒ニャ! 話がわっかるーニャッ!」

 騎士猫は機嫌を良くし、元気に歩み始める。

 

 

 

 そうして二時間ほど探索を続けた末、針葉樹みたいな珊瑚が奇怪に絡み合った岸壁の中腹にちょっとした藪を発見。

 

 まあ、藪と言っても古代樹の森みたいに雑多な植物が密集しているわけではなく、どこか海藻みたいな若い珊瑚の集まりだったが。

 

 その藪に幽鬼狩人のプラント・ハンターの勘が刺激された。

「ちょっと行ってみるか。ロープで引き揚げるから、相棒は待っててくれ」

「了解ニャ」

 

 幽鬼狩人は難解な岸壁を注意深く登攀していく。大型モンスターの姿は見えないが、翼竜達が攻撃してくるかもしれないから気は抜けない。

 珊瑚の難解な岸壁を乗り越えていくことが、ロッククライミングみたいでちょっと楽しい。

 

 二十分ほど悪戦苦闘しつつ、幽鬼狩人は目的の藪へ到達。ロープを垂らして騎士猫を引き揚げる。

 

 紫に桃色に薄紅色。見目麗しき若い珊瑚達を掻き分け……

「ツボアワビがあったニャ」

 騎士猫が食材を発見。

 

「晩飯に御馳走が加わったな……あったっ!!」

 目的の蘭も発見。

 

 周囲の紅い珊瑚と同じに見えるが、枝がほとんど無く、枝に細かな葉が生えている様から、珊瑚ではなく植物だと分かる。その姿は開花させていないデンドロビウム種に近いかもしれない。

 

 採取の本番はここからだ。

 陸珊瑚に生息する特異な固有種だけに採取が難しい。適当に根っこから穿れば良いわけではない。そもそも固い硬い堅い珊瑚に生えているのだ。根っこを掘り返すだけでも一苦労。

 

 しかも、蘭は繊細な植物であるから根を傷つけると、枯れる危険性が一気に高くなる。

 

 幽鬼狩人は背中に担いでいた大きな背嚢を下ろし、採取道具を並べていく。

 ガラスとマカライトで作られた円筒型保存容器。ピッケルハンマー。ノミ。タガネ。クサビ。ハンドドリル。ハケ。

 

 幽鬼狩人はピッケルハンマーで蘭の傍を軽く小突く。予想通り相当に堅い。

「さてさて、どれくらいかかることやら」

 

      ●

 

 幽鬼狩人が蘭の周囲を慎重に少しずつ掘削していく中、騎士猫は岸壁の縁に座ってお弁当――肉厚なハムとチーズの丸パンサンドウィッチを齧りながら、空を眺めていた。

 

「流石の某もアレには横入りできないニャ」

 騎士猫の視線の先で、桜火竜ことリオレイア亜種と、風漂竜ことレイギエナが激しい空戦を行っていた。

 

 事の始まりはレイギエナが翼竜達を狩っていたところへ、リオレイア亜種がやってきたことに始まる。桜火竜も風漂竜も縄張りにうるさい性質だ。両者が顔を合わせれば、シマ争いは避けられない。

 

 二匹の竜が熾烈な高機動戦闘を繰り広げる。

 

 リオレイア亜種が炎を放ち、レイギエナが氷を放つ。互いに有利な位置を取ろうと巴戦を繰り広げ、距離を詰めたところで互いの爪牙を剥いて、交差。そして、再び巴戦に移る。

 

 大型の竜達が幻想的な地形の中を縦横無尽に飛び回る様は、いろんな意味で『凄い』の一言に尽きる。

 

「凄いニャー」

 お弁当片手の見物としては最高だろう。

 

 もっとも、とばっちりを受ける周囲はたまったものではない。

 激戦の煽りを受けて破壊された珊瑚の一部がガラガラと下層へ降り注ぐ。大地に生息する翼竜や鳥達が泡食って両者の空戦域から逃げ出し、地を這う者達も迷惑そうに避難していく。

 

 幽鬼狩人は不気味な昆虫面のマスクを外し、水筒を傾けて喉をうねらせる。ふ、と息を吐き空中大決戦を冷ややかに一瞥した。

「好き放題暴れられて羨ましい限りだ」

 

 神経を使う掘削作業はまだまだ終わりそうにない。石工になった気分を抱きつつ、幽鬼狩人は作業を再開する。岸壁を慎重に穿ち、少しずつ砕き、丁寧に削り、細かくした岩石を取り除く。

 

 地味。まったくもって地味だ。

 

 そんな地味な作業に没頭する幽鬼狩人を余所に、竜達の戦いは一層激しさを増す。

 

「おおお。凄いニャ。急上昇から横捻りニャッ!」

 

 地球なる世界の空戦技術で言うところのインメルマンターンを決め、桜火竜が風漂竜の背後を取った。無防備な背中へ向けて一気に襲い掛かる桜火竜。

 

 勝った。

 桜火竜は勝利を確信したのだろう。突撃の勢いがこれまで以上に激しい。

 

 が。

 

 その爪牙が背に迫った瞬間。風漂竜は両翼腕を大きく広げ、進化の過程で獲得した翼膜を最大限に展張した。上昇気流を翼膜で捉えたことで、強烈なエアブレーキが掛かる。

 

「ニャッ!?」観戦していた騎士猫が吃驚を上げる。

 

 レイギエナが完全に空中で静止していたのだ。

 

 突如、空中に静止したレイギエナに対し、突入角が深すぎ、速度が乗り過ぎていたレイア亜種は身を捻って激突を避けざるを得なかった。

 

 風漂竜はすぐさま姿勢を整え、自身を追い越したレイア亜種を猛追。態勢を建て直し中だったレイア亜種の背中へ氷を叩きつけた。

 

 直撃を浴びた桜火竜の悲鳴が響き渡る。

 

 撃墜されて落ちていくレイア亜種へ、トドメを刺そうとレイギエナが急迫する。

 その刹那。

 

 レイア亜種が体を一転させ、その太く長い尾を一閃。リオレイアの御家芸サマーソルトがレイギエナの頭部を打ち抜く。

 大質量が衝突する轟音が空に響き渡った。

 

「ニャアッ!!」再び騎士猫が吃驚を上げた。

 

 頭部への完璧な強打を浴び、レイギエナは白目を剥いて陸珊瑚の山へ墜落していった。大質量の物体が硬い陸珊瑚の岩盤に激突する音色が轟く。

 

 紙一重で勝利したレイア亜種が勝利の竜叫を上げ、悠然と飛び去って行く。

 

 手に汗握りながら空戦を見届け終え、騎士猫は感動のこもった喝采を上げる。

「見事ニャッ!!」

 

 今日は新装備を試したかったが、あれほど見事な決闘を見られたなら、そんなことは些細なものだ。騎士猫が大いなる満足感を抱いていると、

 

「よし、採れたっ!」

 時同じくして、幽鬼狩人も苦労しいしいの末、蘭の根を綺麗に取り出すことに成功した。

 

「見ろ、この完璧な仕事振り。どうだっ!」

 蘭を手に得意顔を向けてくる幽鬼狩人。それはそれで凄い採取技術なのだが……飛竜達の熾烈な決戦を見た後では、なんというか、ねえ?

 

 騎士猫は生暖かい微苦笑と共に頷く。

「ああ、うん。凄いニャ」

 

 その眼は優しかった。

 

        ●

 

 夕暮れ時。陸珊瑚台地のキャンプ・ポイント。

 その年季の入った女性ハンターはフィールド・マスターと呼ばれている。新大陸調査団の一期団員で、ウン十年に渡ってこの地を調査し続けている“筋金入り”だ。

 

「嬢ちゃんと顔を合わせるのも久し振りだねえ」

「子ども扱いはやめてくれ。歳は私の方が上だぞ」

 苦笑いする竜人嬢はポットを傾け、カップに珈琲を注ぐ。

 

「年季の入り具合はこっちが上さね」

 フィールド・マスターは竜人嬢からカップを受け取り、珈琲の香りを楽しむ。

「最近、あいつとは会ったのかい?」

 

「いや全然。あいつも貴女同様、あちこち出向いたままアステラに帰ってこないからな。研究所の連中が貴女のことを待ちわびているぞ」

 竜人嬢は小さく肩を竦め、自分のカップに珈琲を注ぐ。

 

 2人のいう“あいつ”とは、一期団の竜人狩人だ。

 自然との調和を重視する竜人族は、ハンターになる者がほとんどいない。元ハンターの竜人嬢や件の竜人狩人は例外中の例外。否、変わり者と言っても良いだろう。

 

「人間に与えられた時間は短いからね。アステラに帰る時間も惜しいのさ」

 フィールド・マスターは珈琲を口にし、微かに眉をしかめ、そして思い出す。

 この隻眼の麗しき竜人嬢が料理の手並みがビミョーだったことを。

 

 くすりと微笑むフィールド・マスターに、竜人嬢が小首を傾げる。

「どうしたんだ?」

「何でもないよ」とフィールド・マスターは柔らかく笑い「そうだ。不躾だけれど、良かったらいくつか物資を分けてくれないかい?」

「構わないとも」

 竜人嬢は快諾し、フィールド・マスターが求めた物資を用意し始める。

 

「ありがとう。助かるよ」

 物資を受け取り、フィールド・マスターは礼を言いつつ、自身の背嚢からいくつか荷物を取り出した。

「礼という訳じゃないが、これをあげるよ。道中に獲ってね」

 陸珊瑚の台地や瘴気の谷で獲れるツボアワビと大角サザエだった。

 

「ありがたくいただこう」竜人嬢は陸で獲れる貝を受け取り「良かったら夕食を一緒にしないか?」

 

「せっかく誘ってもらって悪いんだけれど、明日は瘴気の谷の先まで行く予定でね。このまま発たせてもらうよ」

 

「残念だ」と本心から残念そうに眉を下げる竜人嬢。「いろいろ話を聞きたかった」

「何。これが今生の別れという訳でも無し。また機会があるさ」

 フィールド・マスターはやたら苦い珈琲を飲み干し、腰を上げた。

 

「それじゃあ、また会おう」

「再会まで壮健で」

 

 竜人嬢がフィールド・マスターを見送ると、入れ替わるようにキャンプの逆側から相棒達が帰ってきた。

 

 何やら不機嫌な様子の幽鬼狩人と、何やらバツの悪そうにしている騎士猫。

 

「御帰り……? 何かあったのか?」

「……なんでもない」とそっぽを向く幽鬼狩人。

「相棒を拗ねさせちゃったニャ」と兜の後頭部を掻く騎士猫。

 

「? ? ?」

 竜人嬢は小首を傾げつつ、2人をねぎらう。

「よく分からないが、ちょうど飲み物を淹れてある。一息つくと良い」

 

「貰う」と幽鬼狩人はうっそりと応じる。

「この匂い、珈琲にゃ? 甘くして欲しいニャ」と騎士猫。

 

 幽鬼狩人はテントの前に置かれた焚き火台の周りに腰を下ろし、飲み干されたばかりのカップや足跡などの痕跡から、この場にいたであろう人物を推測する。

 

「ひょっとして、フィールド・マスターでも来てたのか?」

「君の洞察力は偶に超能力じみていて怖いな」と苦笑いする竜人嬢。

「足跡で人物条件が読み解ける。後はその条件に合う人物を想像するだけだ」

 不気味なマスクを脱ぎつつ、幽鬼狩人は事も無げに言う。

 

 優れたトラッカーは足跡から性別身長体重、正確に体調あれやこれやを読み解く。分からないのはセックスの趣味くらいだ。

 

「ちょっと立ち寄ったそうだ。いくつか物資を分けたら、これをくれたよ」

 竜人嬢がフィールド・マスターから貰ったツボアワビと大角サザエを見せる。

 

「サザエニャッ!」

 陸上で獲れる摩訶不思議な美食を前にし、騎士猫が喝采を上げた。

 

        ●

 

 いつものように竜人嬢が腕を振るおうとした。

 いつもならば無難にその挑戦をいなすところだが、今日の騎士猫は強気だった。

「今日のご飯は某が作るニャっ! サザエは人任せにできないニャッ!」

 

 好物なのだ。

 

「ちなみにツボアワビの方は?」と竜人嬢が問えば。

「そっちは相棒に任せるニャ」

 しれっとのたまう騎士猫。

 

 というわけで料理開始。

 

 騎士猫は焚き火台に金網を敷き、サザエを焼く準備を進めている。好物だけに鼻息が荒い。

 

 その様子を横目にしながら幽鬼狩人は思案し、

「サザエは相棒に任せるとして、ツボアワビはどうするか。酒蒸し……煮物……ステーキ」

 決めた。そもそもキャンプで小難しい料理は作れない。

 

 幽鬼狩人はツボアワビを綺麗に洗い、殻から身を外し、身から肝とクチバシを切り取る。格子状に切れ目を入れ、フライパンへどーん。

 

 一分ほど熱したら白ワインを加えて蓋をし、しばし蒸す。

 

 幽鬼狩人が騎士猫を窺うと、恐ろしく真剣な様子で金網に乗せたサザエを見つめ、入念に火加減を整えていた。ガチだ。

 

「古龍に挑むときより集中してる」と幽鬼狩人が呟けば。

「お静かにするニャッ!」

 叱られてしまった。

 

 小さく肩を竦め、幽鬼狩人はアワビの調理を再開する。

 

 適度に蒸してから蓋を開け、バターを投入し溶けたところへ刻んだアワビの肝を入れる。塩コショウで味を調えつつ、後は絡めるようにじっくりねっとりと火を通す。

 

 アワビを取り出した後、ソースにキノコとみじん切りした玉ねぎを加えて炒め、アワビに掛けて……アワビのステーキが完成。

 美味そうな匂いに味覚が誘惑されて涎が止まらない。

 

 一方、騎士猫はサザエの口がぐつぐつと泡を吹き始めた瞬間を見逃さない。素早く白ワインとバターを少しばかり加えた。サザエを火から下ろし、竜人嬢所有の醤油を適量、そう、適量だ。多すぎても少なすぎてもいけない。適量の醤油を垂らし、余熱で仕上げる。

 

「出来たニャッ!!」

 醤油バターの凶悪すぎる香り。食わずとも美味いと確信できる。

 

 アワビとサザエの料理が完成し、三人の腹がぐうと鳴る。

 腹が、減った。

 

      ●

 

 本日のお品書き。

 アワビのステーキ・肝ソース掛け。付け合わせに茹でアスパラとサラダ菜。サザエの醤油バター壺焼き。焼いたバケット。残った白ワインをどうぞ。

 

「自然の恵みに感謝して」

 竜人嬢の唱和と共に、晩飯スタート。

 

 白ワインで喉を潤して食欲にブーストを掛けた後、三人はそれぞれのアワビを切り分け、口に運ぶ。歯触りの良い柔らかな弾力。噛む度に口腔へ広がる肉汁。仄かに苦みがある肝ソースがアワビの甘味を刺激し、引き立てる。官能的なまでの味わい。

 

「美味しい……」「美味い」「うーまーいーニャーッ!!」

 上品に食した竜人嬢が麗しく微笑み、がぶりと食った幽鬼狩人が満足げに呟き、騎士猫が吠えた。焼いたバケットにステーキのソースを付けて食べる。美味いに決まってるじゃん(ガチギレ)

 

 続いて、騎士猫が全霊を込めて作った壺焼きだ。

 殻からつるりと抜き出されるサザエの身が、なんとも煽情的で口に運ばずにはいられない。

 

「うん」「美味いっ!」「―――――ッ!!」

 品よく口した竜人嬢が心底満足げに頷き、幽鬼狩人が称賛を上げ、騎士猫はもはや言葉もない。

 

 楽しい食事は続く。

 

「それで、レイギエナがギューンてして、レイア亜種がギュワワーって来たニャっ!!」

 騎士猫が身振り手振りを加え、飛竜達の空戦を大いに語る。

 竜人嬢は白ワイン片手に騎士猫の語る話を楽しそうに聞く。

 その傍らで幽鬼狩人がちびちびと白ワインを啜りつつ「俺だっていい仕事したのに」とこぼす。

 

 続いて、竜人嬢がフィールド・マスターとの邂逅について語り、

「私を小娘扱いするから困る」

「若く見られる分には良いのでは?」

「そういうことじゃないぞ、不心得者め」

 女心を解さない幽鬼狩人に御叱りを与える。

 

 夜も更け、楽しい食事の時間は終わりを迎えた。

「明日は朝一で出発。まっすぐアステラに帰ろう。良いな?」

 

「異議なし」「異議なしニャ」

 

 

 今日の冒険は終わった。

 夜が明ければ、明日の冒険が始まる。

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