Lostbelt No.? 永続乱世神話 武神□□ 作:未熟なライダー好き
今回からまたカルデア視点の物語に戻ります。
それではどうぞ!
side 藤丸立香
はぐれサーヴァントと戦極ドライバーを探す為にこの異聞帯(沢芽市という実験都市だったそうだ。)を探索して、2時間ほど経過した。
成果はよろしくなく、他のサーヴァントがいた形跡はあるのだがそのサーヴァントが見つからず、もしかしたら既に上代奏樹の手によって倒されているのかもしれない。
光実君が何度も戦闘していた影響なのか前まで積極的に襲ってくることがなかったインベスがかなりの頻度で襲ってくるようになっており、2時間で7回ほど戦闘になってその都度対処している事も探索が思ったように進まないことの理由になるだろう。
そして今も、
『ブドウ スカッシュ!』
龍玄の持つブドウを模した銃のトリガーを引きチャージしたエネルギー弾が無数に放たれ、最も数の多いインベス(初級インベスというらしい)を一掃した。
それだけでは止まらず、まるで鹿と和風をモチーフにしたみたいなインベス(これはそのままシカインベスというそうだ)に向けて龍型のエネルギーを放ち倒した。
「ほう、余と戦った者の時も思ったがその鎧凄いなぁ。元はただの人間のはずの小僧が、サーヴァントのそれも中級クラスになっとるぞ。
流石に余のようなトップサーヴァントに劣るとは思うが、これより強いというゲネシスドライバーなるベルトで変身したとなると、勝てるかどうかわからなくなるのぉ。」
「イスカンダルでも負ける可能性があるの?」
正直言って、この発言にはとても驚いた。
昨日の上代奏樹との戦いではマスターがいない状況だったから全力を出せなかった。
それに加えて上代奏樹が何故かイスカンダルの戦闘方法を把握していた故に拮抗したと思っていたからだ。
「いやぁ、あの強さは変身しただけで身につくものじゃないなぁ。あやつは相当な修羅場をくぐり抜けてきたと見える。」
もっともそれはそこの小僧にも言える事だがな。
そう言って視線を光実君に向ける。
「じゃあ、上代奏樹と光実君が戦ったらどっちが勝つと思う?」
単純な疑問から聞いてみる。
どちらも使用するドライバーは同じで、そのドライバーが作られた経緯を考えるとドライバーを所有している時間も同じくらいの筈だ。
「ふむ、そうさなぁ〜。」
少し悩んだ様子を見せるがすぐに結論が出たようで
「恐らく、今すぐに戦うのなら上代奏樹の方が勝つだろうなぁ。」
「それはどうして?やっぱりクリプターとしての経験とか?」
それとも何か別の要因があるのだろうか?
「いや、そんなものではない。
もっと単純にやる気の問題だ。
そりゃあ、気持ちの問題でどうにかできる範囲というものはある。
しかしそれには元々の戦力が圧倒的ではない場合にのみ適応される。
その点で言えば2人の個人的や戦力は相性などを置いておくと同程度だろう。
しかし、そこの小僧の今の気概はなんというのか・・・自暴自棄と言うのかなぁ。
とにかく、明確な目的意識が感じられん。
その点クリプターのやつは大したものだった。
あやつは何か、それこそ世界を滅ぼしてでも成し遂げたい目標がある、そんなふうに感じたんだよなぁ。」
・・・もっともあてになるかは分からんけどな。
そう言ってイスカンダルは話を打ち切った。
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イスカンダルとの会話から何度かの戦闘を行い、夕方に差し掛かろうとした時にそれは起こった。
遠くからかすかに聞こえるこの音は・・・
「少し前にもこんなことがあったな」なんて心のどこかで思いながら
「この音!また、戦闘音!?」
その音の聞こえる方に向かって急ぐ。
そこにいたのは、美しい風貌を持つ2つの槍を両手にそれぞれ持ち巧みに操り周囲にいるインベスを倒していく。
その中には、初級インベス以外にも先程のシカインベスのような強力な種類もいた。
その目元に黒子があるそのサーヴァントは間違いなく、
『輝く貌のディルムッド』 だった。
ディルムッドは手早くインベスたちを倒していくが、その無尽蔵とも言える数に流石に苦戦しているようだった。
「とりあえず加勢しよう。話はそのあとだ!マシュ、行ける?」
「大丈夫です。マシュ・キリエライト、全力でディルムッドさんの支援にあたります!」
「ふむ、まさかランサーのやつががおるとはなぁ・・・数奇なものよのぉ。」
イスカンダルは、そう言いながらも少し離れたところにいるインベスを倒してくれている。
光実君は・・・
「ふっ・・・はぁ!!」
いつの間にか変身しており手に持つ銃を連射し牽制しつつ近づいてきたインベス相手には格闘戦を挑んでいる。
銃を主体にしているのに大丈夫なのかと思ったが、格闘戦もそこまで不得意ではないようでしっかりとインベスの数を減らしている。
元々ディルムッド1人でもある程度は戦えていたのだが、そこへさらに戦力が大きく増えたのだ、結果的にそこまで時間はかからずにインベスはその圧倒的な数を減らしていき、戦闘開始時より8割ほど減ったタイミングでインベスたちは逃走を開始した。
それに追撃することもできただろうが、俺たちはそれを選択しなかった。
余計な殺傷をしたくないという理由はあるのだが、1番の理由は俺自身の魔力や礼装によって変換する生命力などが底をつきそうなことになるのだろう。
「はぁ・・・はぁ・・・、ッごめんね、みんな・・・少し、休めば、大丈夫だから・・・」
そう言うがそれが強がりなことは俺が1番理解している。
(やっぱり俺がもう少しマスターとして優秀なら何か変わったのかなぁ・・・)
そんなどうしょうもない事が頭の中で繰り返される。
俺が休憩している間に、ダ・ヴィンチちゃんやマシュからディルムッドへの現状報告と協力要請は終わったようだ。
「大体の状況は理解いたしました。これより貴方をマスターと認め、このディルムッド、御身の双槍として立ち塞がる敵の悉くを穿ちましょう。」
そういうふうにディルムッドは言ってくれた。
「うん!よろしくね、ディルムッド。まぁ、今はこんなに情けない姿を見せているマスターだけど、支えてくれるとありがたいよ。」
少しだけ困ったような顔をしたディルムッドだったけど、それがこの異聞帯のディルムッドとのファーストコンタクトだった。
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そして、日が暮れてきたことで光実君がいた拠点に帰ることになった。
そこは元々光実君が所属していたダンスチームの拠点だったそうだ。
そして帰ってきた俺たちは驚愕に思わず頭が真っ白になる程驚いた。
拠点の中には女性がいた。
色素の薄い髪に白い服、オッドアイなのか赤い目は右目だけだ。
しかし、俺たちが思わず息を呑んだのはその容姿ではない。
その神々しさに俺たちは声を失ったのだった。
そうして、瞬きするほどの一瞬の時間が過ぎて
「・・・んな」
光実君が何か言ったようだった。
「そんな・・・どうして・・・」
光実君の言葉がハッキリと聞こえてくる
「どうしてここにいるんですか・・・」
舞さん!
はい、いかがでしたでしょうか?
今回のサブタイトルの「出会い」の本命はディルムッドではなく始まりの女である彼女でした。
はい、今回の話で違和感を感じる方もいるのかもしれませんが恐らくその違和感には説明がつく筈ですのでお楽しみにしていてください!
次回の投稿は未定になるので、少しだけお待ちいただけるとありがたいです。
よろしければ、高評価、お気に入り登録、感想などよろしくお願いします!
今回から章ごとに分けてみたのですが今までのほうがいいですか?
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今までのほうがいい
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章ごとに分けられているほうがいい