Lostbelt No.? 永続乱世神話 武神□□ 作:未熟なライダー好き
side 藤丸立香
光実くんの決意を聞いた俺たちは上代奏樹の目的について考えていた。
「その黄金の果実の能力に植物を操る能力があってそれを手に入れた後、上代奏樹は何がしたいんだろう?」
「わかりません。けど、奏樹さんは無駄な行動はあまりしないし、果実そのものが目的だとも思えないんですよね。」
光実くんの発言に意外な言葉が含まれていた。
「果実が目的じゃないって、どうしてそう思うの?今までの彼の行動を見る限り果実の入手を目的にしているようにしか思えないけれど…………」
「はい。そこに関しては僕も同意します。
けれどそうだとすると少し妙なんですよ。
果実が欲しいならこうなる前、まだ人類が生存していた時にもチャンスはたくさんあったはずです。
そうでなくても、少なくとも僕が知っている範囲になりますけど、奏樹さんが果実に対して執着を見せたことなんて一度もないんですよ。
果実について聞かれても『僕には荷が重いし人類の命運を背負うだなんてめんどくさいじゃないか。』なんて言っていましたし。
それに、立香さんの話を聞く限り奏樹さんは現状の状態になる事がわかっていたはずです。
それなら僕たちやユグドラシル、カルデアの皆さんに先んじて果実を手に入れたほうがずっと楽ですし確実です。
実際、彼が果実を手に入れるために僕たちに襲い掛かるリスクがあったし、そうでなくても妨害される可能性もあったはずです。
それなのに彼は、果実が僕たちの目の前に現れるまで果実を手にしていません。
この行動の一貫性のなさがどう考えてもおかしいんですよ。」
光実くんから聞いた話を考えると確かにおかしなことだ。
上代奏樹がこの異聞帯にいつから存在していたのかは不明だが黄金の果実というもの存在について知られるようになる前の段階存在していたことは明らかになっている。
この異聞帯の時間がズレていることを考えても果実を手に入れるだけならいくらでも時間があったはずなのだ。
それなのに一定どうして…………
「それに関してはいくつかの推測がある。」
いきなり、ホームズが言い出した。
「可能性としては三つだ。
一つ目は、単純に果実に手出しできなかった可能性だ。
ユグドラシルコーポレーションという巨大な企業が存在し、異聞帯の王というべき存在が発見されずクリプター、上代奏樹にはこの異聞帯での立場がない。
そのような状況で無暗に敵を作らないために敢えて果実に興味がないふりをし、状況が確定するまで手を出さなかった可能性だ。」
「確かに、奏樹さんと紘汰さんが初めて会ったときあの人は記憶喪失を装って紘汰さんに近づいたそうです。いや、その後の彼の行動を見るともしかしたら本当に行き倒れていたのかな?」
いやそんなまさか……、でもそう考えると……、え?もしかして本当に?
新たに出てきた、思いもよらない可能性に光実くんが混乱していると……(もちろん俺も困惑している。というより、あれだけカッコつけておいて一時期ホームレス擬きになっていたのかと考えると少し同情してしまうかもしれない。)
「ふむ、どうやらMr.光実には心当たりがあるようだね。
さて、二つ目の可能性としてはこの異聞帯が異聞帯として成立する前の段階では本当に黄金の果実を欲していなかった、という可能性だ。
これの根拠としては、この異聞帯を確認する限り本来異聞帯の王というのは黄金の果実を手に入れた者がその地位に座る予定だったのだろう。
そして、クリプターとして彼は、この異聞帯の王が誰になるのかを見極めようとし、結果としてこの異聞帯に『異聞帯の王が生まれなかった』ため、今になって慌てて果実を手に入れようとしている可能性だね。」
「ッ!ホームズ、それって!?」
「わかっているとも。この可能性が正しいとした場合この異聞帯には王が存在しないことになる。」
「そんなことがありえるのかね!?」
「あり得ないことではないと考えていますよ。
実際にロシア異聞帯ではイヴァン雷帝が活動らしいことをほとんどしていなかった。それならばある程度の融通は効くと仮定できる。
その証拠と言ってはなんだが、この異聞帯が範囲を広げたのも最近になってからであるという事。
そして、この異聞帯でここまでオーバーロードと呼ばれる存在に我々はまだ遭遇していないからだ。
Mr.光実の話を聞く限り、オーバーロードという存在の戦略的な価値は高い筈だ。
それなのにこれまでで我々が戦闘してきたのはクリプターでありマスターであるはずの上代奏樹、アサシン山の翁。そして下級のインベスだけだ。
下級のインベスはこちらの行動に反応した結果襲ってきたものばかりだ。
聞くところによるとオーバーロードにはインベスに命令することができる筈だ。それなのにそれがないというのはいくらなんでもおかしい。
つまり、【そう言った命令を下す存在がいない】可能性は十分にあり得る。」
確かに、これまでの経験からしてもこの異聞帯での戦闘した敵の種類は明らかに少なすぎる。特異点Fや第一特異点でもシャドウサーヴァントやその他の敵対エネミーは存在していた。
しかし、ここではそれがない。
手数は確かに大切だがそれにしては数も中途半端だ。
「そして、これが3つめなんだが、これはものすごく単純だ。
1つ目と2つ目の説が両方であるという事だ。
先程までの仮説は両方の時間軸が異なる。
1つ目の仮説は、この異聞帯が成立する前の話であり、2つ目の仮説は成立した後、もしくはその直前の出来事だ。
それならばこの2つは矛盾しない。」
以上のことから私は3つ目の仮説が正しいと考えているよ。
そう、ホームズは締め括った。
重苦しい・・・とは少し違う。これまでの経験では考えられない可能性、【カルデア側の戦力が最初から相手よりも大きい】という可能性に思い至った事による困惑感が強くなる。
(これはいいことのはずだ。戦力的に不利な経験はこれまで何度もあったし、これからもたくさんあるだろう。だけれど今回はそれがない。こちらが基本的に有利な筈だ。
それなのに何故?何故、こうも不安になる?不安になる要素なんて一つもないはずなのに。損害が少なく切り抜けられることはいいことのはずなのに?)
形容し難い不安感に悩まされながらも夜は終わる。
朝が来る。
俺たちにとっても。
上代奏樹にとっても。
時間は平等に流れていく。
次の投稿は未定です。もしかしたらIFにするかもしれません。
今回から章ごとに分けてみたのですが今までのほうがいいですか?
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今までのほうがいい
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章ごとに分けられているほうがいい