コスモは、メジロアルダンと話しているユウ──ダイユウサクを見つけた。
あの日から、お互いに生活を離したから、見かけるのは本当に久しぶり。
そしてコスモの視線に気が付いたユウはこっちを見て──
(──ッ!?)
ちょっとだけコスモは驚いた。
以前のユウだったら親しげに笑みを浮かべていたはず。
もっと前──入学直後だったら、コスモの顔を見てほっとしたように安心したような顔をしたはず。
でも、今のユウは──勝ち気な笑みを浮かべて、コスモに強い視線を向けていた。
「なるほど……」
思わず口の中でつぶやく。
ユウは、変わっていた。
完全に──競走ウマ娘へと変わっていたんだ。
だからコスモに向けてきた目は、友を見る目でも、味方を見る目でもない。競うべき相手──ライバルを見る目だった。
(もちろん、受けて立つよ。昨年の“樫の女王”として……いや、違う)
そんな肩書きだって要らない。
だってユウは、そんな看板を見ているわけじゃないから。
(一人の競走ウマ娘、コスモドリームとして──ダイユウサク、キミと真っ向勝負する!!)
ダイユウサクの視線にコスモも応じ──
「……あの、コスモドリーム?」
──ようとしたら、なんかすぐ近くから呼びかけられた。
幾分肩すかしを食らいつつ、そちらを見ると……なんだか不安そうな顔をした、「夢」と書かれた鉢巻きをしたウマ娘──バンブーメモリーが、微妙な表情でコスモを見ている。
「一応、訊くっスけど……アナタがいるってことは、やっぱりあのトレーナーも要るってことっスか?」
「それはもちろん……」
「ギャーッ!!」
コスモが答えかけると、答え終わっていないのにバンブーメモリーは悲鳴を上げて、駆け去っていった。
う~ん、涼子さん……
高松宮杯の出走が刻一刻と迫っていた。
すでにゲートの中で待っているアタシは──心を落ち着けていた。
(天気は曇り……バ場は稍重って言ったところかしら)
足元を見ながら確認して、この状態をもたらした空を見上げる。
空は完全に雲に覆われていて、日を見ることはできなくて──アタシは小さくため息をついた。
(やっぱり汚れるから、晴れている方がいいのよね……)
たとえ先頭を走ったとしても、その気持ちは変わらない。
先頭じゃないと、前が蹴り上げた泥が飛んできたりしてもっとひどいけど。
そして──さっき、トレーナーに指摘された過度な緊張は、もう無い。
確かにG2なんていうアタシが経験したこと無い舞台だけど、アルダンというクラスメートがいたり、シヨノロマンやコスモドリームという親戚がいたり、と普段のレースみたいに知らない娘ばかりってわけじゃないんだから。
そんな知り合いを応援する中にはもちろん知りあいも多い。
さらに言えば、今回はコースさえも味方なのよね。
左回りの中京レース場芝2000メートル。それだけ見れば前走の御嶽特別と全く一緒なんだから。
(肩書きが違うだけで、やることは一緒……)
そう、一番早くゴール板を駆け抜ければいい。
突き詰めればそれであり、それ以外は蛇足でしかない。
アタシは集中力を高め──「ガコン」という音とともに、ゲートが開く。
同時に、アタシはゲートを飛び出していた。
ゲートが開いて、コスモは飛び出す。
うぅ、やっぱりちょっと苦手だよね。
徹底的に練習したから、デビューからの3連続出遅れたときみたいな失敗は少なくなったけど──それでもやっはり苦手意識は消えない。
(こればっかりは、ユウに勝てないんだよね……)
コスモの従姉妹のダイユウサクは、スタートを得意にしてる。
出遅れたのなんてほとんど見たことないし、練習でもすんなり反応してる。
前にコツを聞いたことあったけど──
「ゲートが開いたら、その瞬間に出るだけよ?」
不思議そうな顔をした彼女に、全然参考にならないという、とてもありがたいアドバイスをいただいた。
そしてそんなユウは今日もスタートを成功させると、先頭に立って──さらに加速した。
(あれ……?)
ちょっと意外だった。
最近のユウは“逃げ”というよりは“先行”でレースを組み立ててるように見えたから。
この前、あんなこと言われて挑戦状叩きつけられたけど──その日のレースなんて先行の理想的な展開。
逃げを牽制しつつスタミナを使わせ、その一方で自分はスタミナを残して差し・追い込みを有利にもさせず──そして見事に勝ってる。
(あそこまで立派なレースの組立ができたのに──作戦を変えてきた?)
疑問に思ったけど──なんとなく分かった。
彼女は格上挑戦しているんだ。
だから、自分の実力ではこのレースにでているウマ娘たちと互角にやり合うだけの実力がないと割り切ったんじゃないかな。
さらに言えば──駆け引きでは勝てない、と判断したって言える。
「……それには、コスモも賛成したくなる、よ」
思わず口をついて出る言葉。
それが示すように──レースは、コスモがその得意な差しのために、ついていけるペースのギリギリ。
ううん、足のことを考えたら──
「このペースを……ユウがつくっているの?」
先頭で逃げるウマ娘がペースを握るのは当然のこと。
だとしたら、本当に──
「やっぱり、ユウは強いじゃないか……」
誇らしく思いつつ──徐々に足から響くものに、少し顔をしかめた。
──レースも中盤に差し掛かった。
それでも現在、アタシは先頭を走っていた。
誰かに主導権を握られて、その上でレースを制することは──今のアタシの実力と出走メンバーを見れば、それが不可能なのはあらかじめ分かってた。
だからこそ、
その思惑は成功していた──はずなのに……ついに横に並ばれた。
「──ッ!!」
視線を一瞬だけ向ける。
(シヨノ…ロマンッ!!)
普段は絶対に見せない、彼女のイメージとはかけ離れた厳しい表情。
それが並ぶ──ことなく一気に抜かれる。
「く……」
やっぱり、強い!
でも──負けるわけには……
「甘いですね、ダイユウサクさん……」
気がつけばさらに一人──今度は隣を併走しているウマ娘がいた。
淡い色の長い髪。彼女は──
「メジロ、アルダン……ッ!」
アタシの逃げをものともせずに、あっさり追いつかれていた。
くッ……アタシの足が、通用しない!!
レースのレベルが、違いすぎる。
(これが……オープンクラスってこと!?)
アタシもデビューが遅くて未勝利戦なんかはほとんど無くなってたけど──それでも前のクラスで勝利を重ね、今のクラスでも入賞し、1位もとって自信になった。
だというのに──
「逃げがもっとも得意な戦術ではないのでしょう?」
「なッ──」
「貴方のもっとも優れたその武器を生かせるのは、この走り方ではありませんよ──」
少し残念そうな表情を浮かべた彼女。
そんな余裕がある──そこまで力に差があるってこと!?
「こんなッ……負けられ──」
「いいえ、お先に……いかせていただきます──」
言うや、アルダンはグンと加速する。
そしてアタシはそれに──ついていけない。
ここまで精一杯走り続けたアタシの足には、そこまでの力が残ってなかった。
──少なくともこの時は。
──レースはいよいよ佳境へ入った。
第3、第4コーナーを周り──ユウが完全に集団に追いつかれたのが見えた。
後ろを走っていたからこそ、それがハッキリと分かったんだけど
(やっぱり今のユウだとこうなるよね)
悪いけど──やっぱりオープンクラスが出てくる重賞では、ユウの逃げは通じない。
むしろここまで前を維持したことに、ちょっとだけ驚いた。
(強く、なったよね……)
あの2戦連続タイムオーバーのウマ娘が、このレベルのレースの最終盤まで前の方を走っているなんて……あのころ、誰が予想しただろう。
(乾井トレーナーに感謝だよ。ユウを……コスモの従姉妹をここまで育ててくれたんだから)
一時は辞めるといっていた競走。
そんなユウをつなぎ止めてくれたのは、あの人だ。
(でも──負けられないんだ!!)
コスモにはプライドがある。
オークスを制した、“樫の女王”として、格上挑戦しているようなウマ娘に負けるわけにはいかない。
それは歴代のウマ娘達や、共に競ったあのレースに参加した彼女たちにのことを考えれば、“この程度の実力”となめられるわけにはいかないんだ!!
けれど──
「く……」
足が──
前のレースと同じように足の痛みが出ていた。
それも中盤からとっくに。前のレースよりも痛み出すのが早い。
前走に比べればある程度覚悟していたし、レースのレベルも劣る。そのおかげで中段は維持できていたけど──
(ここから、挽回するのは……)
厳しい。
足先の感覚が麻痺するほどに──
「「コスモーッ!!」」
そのとき、大きな声が耳に聞こえた。
伏せそうになっていた頭の上の耳がそちらをピクッと振り向く。
目をそちらに向けると──チームメイトのみんながいた。
その中にいる──ひときわ目立つ、背の高いウマ娘。
葦毛の長髪を全部後ろに流したオールバックスタイルの髪型のその人は、チームメイトの中心で、腕を組み仁王立ちになってこちらをじっと見ていた。
「─────先輩!?」
そこに目を移した瞬間──
「コスモドリーム!! あのときの走りをもう一度見せてみろ!!」
その人が怒鳴るように声を張り上げた。
あのときの走り? コスモが実感する最高の走りっていったら、あのオークスの……
その後のトレーニングで先輩から直接声をかけてもらったことが脳裏に浮かぶ。
「──この前の走り、見事だったぞ。コスモ」
「ありがとうございますッ! 先輩!!」
「うむ……あの走り、あの力こそ我がチームの目指すものだからな。お前はそこに至れた一人になったというわけだ」
「あの……先輩、あれってどういうものなんですか? あの後、トレーニングで再現しようとしてもうまくいかなくて……」
「あれを練習レベルで再現できるほど使いこなせている者などほとんどいないぞ。レース本番の高揚感や周囲との本気の
そう言って先輩は──「ハッハッハ……」と腕を組んで豪快に笑っていた。
結局、どうやったらその力が引き出せるのか、よくわからなかったけど。
その後は何度か発動したこともあった。
けど……肝心なレースで発動しないこともあった。
そんな経験からなんとなくだけど予兆はわかる。あの力が沸き上がりそうな雰囲気というものだが。
だからこそ、それがわかるから言える……今日は無理だよ。
そんな気配はないし、しかも中でも最高潮だったオークスの時の走りだなんて。
あのときと違ってコスモの足は──もう痛みが感じられないくらいに感覚が……
『──コスモ! 奇跡をおこせ!!』
響き渡ったのは、チーム《アルデバラン》全員の声。
「あ……」
あのとき……オークスを見に来てくれた先輩達。
それだけじゃない。チーフトレーナーについてる、同級生のウマ娘達。
さらには──この前も見に来てくれていた
それに普段、見守ってくれているチーフトレーナーと──その前に立つ、コスモに親身になってくれる涼子さん。
チームのみんなが、コスモを応援してくれているんだ。
心が震えた。
だからコスモは、その気持ちに──
「聞こえる……先輩の声が……チームメイトの声が……トレーナーの声が……みんなの声が、コスモに響いてくる……」
コスモを支えてくれたのは、血を分けた従姉妹だけじゃない。それ以外のみんなだってコスモを心配して、支えて、力になってくれていたんだ!!
その声に──応えなければいけない!
勝利のために──いや、たとえこのレースの勝利へ届かずとも……
痛みという体の感覚を忘れるほどに集中したコスモは──ついに、あの感覚へと至った。
星が無数に輝くあの闇夜の空間。
そこに両足でしっかり立ったコスモドリーム。
勝負服に身を包んだコスモは──その体から光の粒子を立ち上らせ、そして体の前で手が揺れるように動く。
あのプロテクターは、金色の光を放っていた。
「コスモの心よ、今こそ究極まで燃え上がれ!!」
そして今こそ──勝利を掴む!!
揺らした手を体の前に高く掲げ、そして──力を爆発させる。
──現実に戻った時には、コスモは一気に加速してた。
(この感覚は間違いなくオークスの時の……いや、それ以上の速さ!)
そして目に飛び込んできたのは──前を走る11番のゼッケン。
それをつけているのは──
「ダイユウサクううぅぅぅッ!!」
「──来た!!」
後ろを振り返らなくても分かる、ものすごい気配。
その強大な気配──ハッキリ言えば、先頭争いをしている前のウマ娘達よりも、よほど強い気迫だった──に振り返りそうになるけど……でも、それが誰なのか分かっている以上は、振り返る必要がなかった。
(この感覚──覚えてるわよ。あのときはレースを走ってさえいなかったけど、それでもすぐ近くで見ていたんだからわかる!!)
コスモの最高の走り。オークスの時の怒濤のような末脚。
それをコスモは発揮したんだ。
背筋が冷たくなる。
だって彼女はきっと──アタシに勝つためにその力を使ったんだから。
まさに“樫の女王”の本気。
(でも──)
負けたくない。
負けるわけにはいかない。
だって──もしも、ここでアタシが負けてしまえば……アタシが出た意味がなくなる。
(アタシが勝って──コスモの新たな目標になる!!)
そうすればコスモはレースを止めない。足を止めないはず。
彼女をこんなところで立ち止まらせるわけにはいかないから──
さらなる高みを二人で目指すためにも──
「
アタシの集中力が高まり、そして──足はより強く地を蹴り、腕はより強く空気を掻くように力強く振られ、一段下げた姿勢で頭は風を切り──加速する。
「コスモドリームううぅぅぅぅッ!!」
その瞬間──
「「────ッ!?」」
この競走を見ていた二人のウマ娘が──思わず、振り向いた。
……もちろん、レース中のウマ娘たちはそんなことに気がつくはずもない。
「ば、バカな……」
突然、顔を上げた先輩が驚愕した様子で声を上げたので、思わずそっちを見た。
普段から泰然としていて凛としているその先輩が見せた表情には、こっちもビックリさせられた。
「ど、どうしたんだ? ……アルデバラン先輩」
腕を組み、悠然と仁王立ちするのが似合い、今もその姿勢になっているそのウマ娘。
彼女こそ、自分の名前をチーム名にしたソロチームで始め、今やサブトレーナーが必要なほどに大きくなった我らのチーム《アルデバラン》の創始者、ウマ娘のアルデバランなのだ。
「コスモ先輩の走り?」
先輩が驚いているのはそっちだと思って言ったけど、先輩は少し震えながら首を横に振る。
「いいや、違う……コスモの前を走っている、あの11番だ……」
「え? ……ああ、ダイユウサクのこと?」
「だ、ダイユウサク……? 彼女の名前はそう言うのか……」
名前を聞いて困惑している様子の先輩。
「今、あのウマ娘もまたコスモと同じ
「……え?」
見れば──確かにその人も、先頭を逃げ続けてバテていたのが嘘のように、急に再加速していた。
まるで、コスモ先輩に呼応するように。
「だから、コスモ先輩に負けないくらいに加速してるってことか。でも──きっと、ううん、先輩なら絶対に勝てる! ですよね? アルデ先輩……」
まさにオークスの時の走りを思い出させるその加速は、誰にも負けないと確信できる。
ただ、少し加速が遅かったから、上位に入るのは難しいと思う。
でも──コスモ先輩が1位をとるために加速したんじゃないことは、見ていて分かる。
あの11番に──ダイユウサク先輩に勝つために、力を振り絞ったんだ。
「──違う。あの力……あのウマ娘のアレは単に自分を加速させるだけものじゃないんだ」
「え? あれを……先輩は知っているのか?」
「いや、実際に見た訳じゃない。だが……この身に宿った魂が、アレの危険さを教えてくれる」
えっと……ウマ娘って、一説によれば異世界の競走する獣の魂を受け継いでいる、って言われるけど、それが──ってことかな?
でも……
「え? ダイユウサク……まるでコスモ先輩みたいな……」
「そうだ。“アレ”は競う相手の力に呼応して、自分にもその力に応じた能力を
そんな!? じゃあ、発動したら相手の力を加算して発揮できるってこと?
そんなの反則だと思いつつ、改めて──ダイユウサクとコスモ先輩の走る姿に目を戻る。
そしてアルデバラン先輩は、戦慄が走ったままの様子でそのレースを見ていた。
目の前を走るウマ娘がつけたゼッケンがグングンと近づいてくる。
そこに書かれた「11」の数字の下に書かれた「ダイユウサク」の文字。
(抜ける! 勝った!!)
加速した自分の速度と、相手の速度……さらには残り距離、それらを考えれば自然とその答えは導き出された。
そうコスモが確信した瞬間──ダイユウサクから光の粒子が立ち昇った。
(え? 今のは……)
戸惑う。
だって、そんな姿──ユウどころか、他のウマ娘でも見たことがない。
唯一の例外は、《
そして次の瞬間──
「なッ──!?」
ダイユウサクは──再加速した。
え? だって……今までユウは逃げて先頭を走ってきたんだよね? このレース。
そして逃げきれずにここまで下がってきたのに──
(なんでここから末脚が発揮できるの!?)
信じられなかった。
でも──目の前で起きていることだから、信じるしかない。現実から目を背けても、勝つことはできないんだから。
(まるで奇跡──)
と思って、ふと自嘲的に笑みを浮かべる。
なんでこんな──下位争いで、奇跡を起こすのさ。
そんな“奇跡の無駄遣い”には苦笑するしかない。
でも──
(それでも、負けられないッ!!)
全力で走る──でも差は縮まらない。
必死に走る──むしろ逆に、少しだけ差が開く。
死力を尽くし──コスモ達の前を走っていたウマ娘が、争いに巻き込まれ……
ゴール板を通過した。
「──くっそおおおぉぉぉぉッ!!」
……勝てなかった。
コスモの順位は──9位。
間に最後に巻き込まれてユウに抜かれた人がいて、ダイユウサクは7位。
ゴールして……コスモは足の痛みを思い出して、止まる。
しばらく動けなかった。うずくまり、足をかばう仕草をしながら──
「──っ、ぅぅ……っ、ぁぁ~~ッ」
嗚咽が口をついて出る。
正直、悔しかった。
今まで常に後ろにあると思っていた、その背に──コスモは追いつくことができなかったんだ。
そして、あのとき──入学してしばらくしてからあったユウへの“コネ入学”という誹謗中傷にさらされる彼女を見て決意したことを思い出す。
彼女を守ろうと心に誓い、誰にも文句を言わせないほどの強いウマ娘になろうと心に決めた、あの日。
そして、今日……9位という自分の順位と現実を突きつけられ──
ユウはもうコスモに守られないといけないほど弱いウマ娘じゃないんだ、と思い知らされて──
だから、コスモは………………決意したんだ。
◆解説◆
【圧倒する力、究極のコスモ】
・「圧倒する力」は、主人公の名前が「コスモ」な『伝説巨神イデオン』の劇場版で使われたBGMの一つから。スパロボでも戦闘用BGMにも使われていますね。
・ちなみに作曲者はドラクエのBGMでも有名なすぎやまこういち氏。
・「究極のコスモ」の方は、『聖闘士星矢』から。第6感のさらに先の感覚で「セブンセンシズ」と作中では呼ばれています。
・そう、この好待遇が示すように……高松宮杯がコスモドリームのラストランでした。
【高松宮杯】
・今回のレースの元ネタは、ダイユウサクの第11走目にして初めての重賞──第19回高松宮杯。
・前年はオグリキャプが優勝し、コスモドリームが3位だった──シンデレラグレイでは一コマで飛ばされたあの高松宮杯です。
・とはいえ、順位はともかく展開やペースなんかは史実と違うところが大分ありますので御容赦を。
・ちなみに──当時はG2だった高松宮杯、現在はG1で『高松宮記念』という名前になっています。
・元々は──『中京大賞典』という名前で1967年に創設されたレースがその前身。ちなみに砂(ダートではない)で2000メートルのレースでした。
・1971年にそのレースを、高松宮殿下が優勝杯を賜ったのを機に、『高松宮杯』へと改称。芝の2000メートルになる。
・1982年、グレード制導入でG2レースに指定される。
・1996年に距離が1200に、開催日も5月になった上、G1に昇格。ちなみに中京競馬場では初のG1レース。
・1998年に、名前が『高松宮記念』に変更。2000年に3月開催に変更になり、現在の形に。
・そのためゲームでは、3月末に開催される“数少ない短距離のG1”のイメージが強い。
・本作ではシンデレラグレイに準拠し、名前も『高松宮杯』、当時の時期でのレースということになっています
・ちなみに──名前になっている高松宮殿下とは、高松宮宣仁親王のこと。
・この方は、大正天皇の第3皇男子。つまり昭和天皇の御弟君であらせられました。
・なので上皇陛下(平成天皇)の叔父、今上天皇から見ると祖父の弟なので
・1987年2月3日に肺がんのため薨去。82歳でした。
【貴方のもっとも優れたその武器】
・ダイユウサクの武器は──天性の才能と言われたゲートセンス……もですが
・本作では最大の武器は“末脚”としています。
・今までもそれでレースを制してきていますので、アルダンのように気がついている人もいます。
【チームのみんな】
・ここは、コスモの正念場と見て、チーム《アルデバラン》が総出でやってきています。
・その“友情”に応えるため、今まではダイユウサクにしか感応しなかった彼女の固有スキルが発動しました。
【アルデバラン先輩】
・オリジナルウマ娘で、チーム《アルデバラン》のリーダー。
・長い葦毛の髪をオールバックにして後ろに流している髪型で、切れ長な鋭い目をしたウマ娘。
・元々、《アルデバラン》は彼女のソロチームで、そのために自分の名前をチーム名にしていた。
・実力があり、面倒見のいい彼女を慕ってウマ娘たちが集い、今のチームにまで育った。
・厳しい反面、面倒見がいい。アルデ姉さま、アルデ姐さんと形を変えて慕われている。
・そんな彼女の元ネタは、もちろん
・本当の元ネタは非実在系の競走馬で、漫画『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』に登場する、主役馬ともいえるストライクイーグルのライバルの中の一頭だった「アルデバラン」。
・弥生賞を1位で制し、皐月賞1位、ダービー2位、京都新聞杯1位、菊花賞5位と、クラシック戦線を駆け、その年の有馬記念1位。
・翌年も日経賞1位。天皇賞(春)こそ5位だったものの、毎日王冠1位を経て、天皇賞(秋)を制して春の無念を晴らし──引退レースの有馬記念では2位。
・と、非実在系とはいえ、かなり優秀な成績を誇る馬。
・もっとも、ストライクイーグルのライバルとしては──どっちかといえば、その立場はヤシロハイネスのイメージが強い。
・そして、本作のウマ娘としてのキャラ的なイメージは、その名前から上記の黄金聖闘士。
・性別の違いこそあれど、大柄・腕組み・仁王立ち・長髪オールバック等々はそこからです。
・ただ、牡牛座のアルデバランは原作では明るい色(白か銀)の髪で、『じゃじゃ馬~』のアルデバランは“葦毛”という奇跡のような共通点が。
・それでこのウマ娘・アルデバランが爆誕し、このようなキャラになりました。
・「ソロチームで自分の名前がチーム名」というのは使いたくて考えていて……実在馬の「ベガ」かな、と思っていたのですが、「これだ!」と思い、こちらで使うことに。
・そんな感じで、後進の育成や面倒見の良さという面も出ましたが、これは原作のアルデバランというよりは『THE LOST CANVAS』の方の冥王神話に出てきたアルデバラン「ハスガード」のイメージです。
・ちなみに、コスモがオークスで優勝したときに遅れてやってきたのは彼女。
・あの時は解説で「あとの章で紹介するから」と解説しなかったのですが……
非実在系ウマ娘の名前がすでに出てしまったこと
このペースだとその解説がいつになるかわからないこと
それまでこのネタ温めておくのも面倒だと思ったこと
といった理由で、今回出しました。
・なかなか濃いキャラに仕上がりましたがご安心を。レギュラーでも準レギュラーでもなく、ほぼ一発キャラですので。(笑)
・以前出たときに、「ダイユウサクを苦手にしている」と説明したのですが──
【この身に宿った魂が、アレの危険さを教えてくれる】
・──それが↑の理由。
・元ネタになった非実在系競走馬のアルデバランですが──その『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』では上記のように引退レースに有馬記念を選んで出走。
・圧倒的強さでそのレースを駆ける姿は、元ネタはオグリキャップかトウカイテイオーか──と思っていたら、最後に大穴馬ナンバショットに差されて2着に。まるで1991年の有馬記念での誰かさんのように。
・そのナンバショット──有馬記念という舞台や、直前までノーマークな上に「なんとビックリ、ナンバショットだっ!!」の実況でわかるように、おそらく元ネタの馬は……
・そのため、ダイユウサクの固有スキルは、彼女の受け継いだ魂にとっては
・その気配を感じて反応したうちの一人は──彼女でした。
・内容さえ知っていたのは、本当に警戒していたから。
・ダイユウサクの名前を聞いて戸惑っていたのは、それを使ったのはてっきりナンバショットのウマ娘だと思ったため。
・……ちなみにこのシーンでアルデバランと話しているのは、宝塚記念のあとにダイユウサクと一緒に新幹線で帰ってきたウマ娘。
・そんなわけで、名前こそ出しませんでしたが、イメージしているのはビコーペガサスです。
・とはいえ、ビコーペガサスは基本誰でも呼び捨てのようなのですが、本作の彼女は上下関係の厳しい《アルデバラン》というチームに所属しているのでその辺りは強く指導された、ということで「~先輩」と呼びます。
・それと、関係ないことなのでこんな解説で言うのもなんですが──『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』の渡会四姉妹では断トツにたづな推しです。正直、主人公がひびきに行ったのが分からないくらいに。
・最初に嫌われたのは主人公が悪いわけだし、それ以後はすごく健気だったし……あの作品のどうしても納得できないところです。