それをアタシは、実家で過ごしていた。
「ユウ! ぼーっとしてないで、少しは家のことを手伝いなさい!」
母──ウマ娘であるその人に言われ、アタシは台所へ向かう。
お重にはお節料理が並べられ、準備万端だった。これに関しては年が明ける前から準備されていたんだから当然。
それで、母はといえば──お雑煮の準備の真っ最中。
「ほら、お重を並べたり、お皿を並べたりするくらいなら、アンタでもできるでしょ?」
「なによ。アタシでも、って……」
「料理できないことくらい、お母さん、ちゃんと分かってるわよ。まったく……寮生活って言ったって、三食ともおかわり自由の食堂があるんだもの。料理が上達するわけないものね」
「え~、え~、そうですよ。だいたい、トレセン学園はそういう為の学校じゃないんだから──」
「ふ~ん……いざってときに他の料理できる
皮肉気に笑みを浮かべる母。
そして──それに心当たりがないこともない。
あのトレーナーの胃袋を、あのトリ娘が──
「あら、図星?」
「そんなこと無いわよ!!」
「あらあら、ムキになるところがまたアヤシいわね♪」
ニコニコ──いや、ニヤニヤと笑みを浮かべる母に、アタシは口を開こうと──
「何ッ!? 聞き捨てなら無いぞ、ユウ! お前、いったいどこの──」
「お父さんは黙ってて!!」
母へ向けようとした声を思わずそちらへ向けて──父は、なぜかしょんぼりしていた。
まったく──こんなことなら実家に戻ってこなければよかったわ。
しばらく休みだし、せっかくの年末年始だから帰省して来いって言われなかったら──
で、それを言い出したアイツはどこで何をしているのかしら、ね。
──それよりも少し前のこと。
オレは
1月1日。
そう、初日の出である。
これを拝むためにわざわざこの千葉の東の端っこまでやってきたのだ。
え? ここまでどうやってきたのかって?
もちろん、愛車に乗ってだ。
東京の府中から千葉の銚子まで、遠いところご苦労様?
はっはっは……それほどまでじゃあないさ。だって──途中、あるだろ? 高速道路が。
圏央道を使って、
フッフッフ……今年のオレは去年までの高速道路を走れないオレとは違う。
そう! 冬のボーナスのおかげで、バイクを買うことができたのだ。
おかげで高速道路も走ることができる──このNC750Xならなッ!!
なにしろ排気量もおよそ6倍!
おかげでこうして初日の出だって余裕で拝められるし、そのまま初詣だって行っちゃうぞ!!
さぁ、行こうか。我が新たなる愛車よ──
「──で、初日の出暴走してきたってわけ?」
「失礼なことを言うな」
新年二日目──やることのないオレは、トレセン学園のトレーナー部屋に行ったら、そこにいた巽見と出くわした。
新年の挨拶をお互いに済ませるなり飛び出したのが今の会話だ。
「ま、千葉だからな。初日の出
「会長に言ってあげなさい。きっと爆笑してくれるわよ」
にべもなく受け流される洒落。
酒癖悪かったり、体育会系だったり、変なところでオッサンくさいくせに、こういうところだけは──
「……なにか?」
「別に? オレ、何も言ってないよな?」
「そう? なにか言いたそうに見えたんだけど……」
「気のせいだろ」
しかも、妙なところで勘が鋭い。
「まぁ、そこから鹿島神宮、香取神宮と初詣と勝利祈願へ行ってきたってわけだ」
「ふ~ん、先輩って意外とマメなのね。てっきり人も多いしメンドくせぇって諦めるかと思ったけど」
──やっぱり鋭いなぁ。
正直、人手が多くて帰ろうかと思ったさ。
さすが、どちらも全国各地にある鹿島神社・香取神社の総本山なだけはあるわ。しかも近くにあるから参拝客が分散するとかそういう訳じゃないし。
しかし鹿島神宮も香取神宮も、戦いの神を祀っているんだから、勝負事に身を置いている身としては参拝しないわけにはいかない。
そんな鹿島神宮には、毎年地元のプロサッカーチームが必勝祈願に来て、しかもそのチームは一度も2部に落ちたことがないというんだから、霊験あらたかだ。
「でも、鹿島と香取の神宮なら、私も行きたかったわ」
と、巽見は残念そうに言う。
元武道少女としては、やはり興味のあるところなのだろう。
そんな巽見を見ながらオレは──
「新年早々、お前、ジャージなのな」
思わずそんなことを言っていた。
いや、だって仕方ないだろ。
初日の出もだけど、特に初詣なんかはそんな格好で来ている人なんていなかったわけだし。
昨日の人出に揉まれたせいで、やっぱりそれが気になっちまったんだから。
そしてそんなオレの言葉に──巽見はジト目を向けてきた。
「なに? 振り袖でも着て来た方がよかった?」
確かに、このトレセン学園は汚れる要素が多すぎる。だから避けるのは分かるんだが──しかしジャージは……やっぱり色気なさ過ぎだろ。
思わずオレがため息をつきかけた、そんなところへ──
「……乾井トレーナー、います?」
トレーナー部屋の戸がノックされ、控えめに開くとそんな声が聞こえた。
「ああ、いるが……」
誰だろうか、と疑問が浮かぶ。
たしかダイユウサクは先月から休養させているので、学園が冬休みに入るなり実家に帰っているはず。
あとはこの部屋に入ってくるのなんて、巽見が担当しているコスモドリームくらいだが、オレの名前を出したのはハッキリと聞こえていた。
「失礼します……」
そんな声がして、出入口の引き戸が開く。
タイムラグがあって、人影が入ってくる。
歩いている人よりも低い位置に見えた顔は──車椅子のミラクルバードだった。
「お……」
思わず声が出る。
彼女は──振り袖姿だった。
「あけましておめでとう、乾井トレーナー!」
満面の笑顔で挨拶して頭を下げ──そして隣の席にいる巽見に気がついて、今度は少し落ち着いた様子で「あけましておめでとうございます。巽見トレーナー」と改めて頭を下げた。
「あけましておめでとう。だが……なんか、オレの方が挨拶が雑じゃないか?」
「そんなことないよ! 普段お世話になってる分、親しみは込めたけど」
悪びれもなくそう言って、笑みを浮かべた。
改めて彼女を見る。
イメージカラーとも言うべき黄色い振り袖──正直、振り袖に目の周辺を覆う
「その服装……大変だったんじゃないか?」
「うん。去年着たものだったんだけど。シヨノ先輩がせっかくだから、と着付けしてくれて……」
大和撫子シヨノロマンは、着物の着付け──それも足が不自由な相手にもそれができるほどに和服に精通しているらしい。
そんな意外な特技に驚きながら──
「そうか。似合ってるぞ」
「そ、そうかな? ありがとう、乾井トレーナー! 今年もよろしくね」
オレが言うと、ミラクルバードは笑みを浮かべて喜びをアピールし──両手の袖をバタバタと振る姿は、まるで鳥のようだった。
そんなオレとミラクルバードを見ながら──
「……ダイユウサク、実家に帰ってる場合じゃないわよ……」
巽見がなにやら呟いていたが、オレの耳には聞こえなかった。
──その後は、ミラクルバードが持ってきたお節料理を、巽見や後からやってきたコスモドリームと一緒にご馳走になったのだが……かなり美味かった。
聞けば、なんと寮の台所を使わせてもらって自作したらしい。
実家が料理屋で鍛えられているから、とミラクルバードは謙遜していたが、さすが栄養士やそちらの方面へ向かおうと考えているだけはあるな、と感心させられた。
「トレーナー、あけましておめでとう!」
1月4日。三が日を終えたその日、トレセン学園へ戻ってきたダイユウサクが、オレのいるトレーナー部屋へとやってきた。
そして来るなり、オレに新年の挨拶をしたんだが……
「おう、おめでとうダイユウサク。それはともかく──」
オレは訝しがるような目をダイユウサクに向ける。
「──お前、なんで勝負服着ているんだ?」
そう、なぜかダイユウサクはウイニングライブでも、G1レースでもないのに勝負服を着て、やってきたのだ。
オレが言うと、ビクッと肩を震わせ──そしてなぜか恨めしげな目でオレを睨んだ。
「なんで……って、人を不思議そうに見る前に言う言葉があるんじゃない?」
「……は?」
コイツは突然、なにを言っているんだろうか?
新年早々、勝負服を着てきたウマ娘に対してなんと言えば正解なんだろうか……オレは心の中で首を捻っていた。
(似合ってる、なんていまさらだからなぁ……)
ウマ娘それぞれに合わせたオンリーワンの衣装なんだから、それも当然だ。
そんな当然のことを言っても仕方がない、と判断した。
(だとすると、年初の決意表明──今年はG1出走しますってことか? そうなると……気合い入ってるな、が正解か? いや、待て。G1じゃなくてウイニングライブかもしれん──)
オレはダイユウサクをジッと見つめ、そして──
「じゃあ、一曲頼む」
「誰が歌うか!!」
オレの顔面に、その辺りにあったマイクが直撃した。
──もちろん、マイクを投げつけられたオレとダイユウサクは喧嘩を始めたわけだが、やってきたミラクルバードが「まぁまぁ……」と間に入ってきたので、とりあえずオレは矛を収めた。
さすがに怪我人を間に挟んで喧嘩はできないからな。
オレがジロッとダイユウサクを見ると、あっちは「フン」とそっぽを向いた。
アイツめ……
「トレーナー」
そんなオレの心境を読んだのか、ミラクルバードが責めるような目でオレを見る。
まぁ、コイツに免じて今日のところはこれで勘弁してやろう……というか、まだマイク投げつけられた痕は痛いんだぞ。
ともあれ──オレは色んな感情を大きなため息で吐き出し──そして気を取り直して、今年最初のミーティングを始めることにした。
「さて、今年の目標だが……ダイユウサク、なにかあるか?」
オレが話を降ると、ダイユウサクはチラッとミラクルバードに一瞬だけ視線をやり──
「別に……」
と、人見知りを発動させる。
あのなぁ……まだ慣れてないのかよ。9月からだから3ヶ月も経ったんだぞ。いくらチーム外とはいえ、チーム部屋に入り浸っているんだし、いい加減に少しくらいは打ち解けて欲しいと思うんだがな。
「なにかあるだろ。出たいレースとか……」
「いきなり言われたって思い浮かばないわよ! だいたい、レースのことを考えるなって言ったのはアンタでしょ!?」
あ~、確かに。
長期の休養をするから、レースのことは考えずに体を休めろ、とは言った。
しかし、時と場合というものがあるだろ?
今は年始の目標やら一年の計画を考えようというんだから、対象外だ。
「そもそも、レース云々よりも、今のアタシの目標は一刻も早くオープンクラスに上がること。どのレースに出るかなんてそれからじゃないと決めようがないわ」
「それは確かに、な」
「……早くオープンクラスになってトリ娘も追い出したいし」
「──んん?」
ダイユウサクが小声でボソッとなにかを言ったが、聞き取れなかった。
「なにか、言ったか?」
「別に……早くオープンクラスにならないと、って言っただけよ」
なるほどな。
去年の秋に理事長から聞かされた「1チームにオープンクラス1人以上」という新ルール。その適用時期は未だに発表されていないが、春の新年度からというのが一番あやしい。
それを考えれば、それまでにオープンクラスになっておきたいところだが……
オレがそれを考え込んでいると、微妙な顔で苦笑しているミラクルバードが目に入る。
「……どうかしたか?」
「あはは……いやまぁ、ちょっと、ね」
耳をピクッと動かし、ミラクルバードは誤魔化すように笑った。
う~む、しかし春──4月までにオープンか……
「ミラクルバードはどう思う? 4月までにオープンクラス入りについて」
「えっと……正直な話をしていいの?」
彼女の言葉でオレはチラッとダイユウサクを見た。
視線こそ向けていないが、しっかり耳は向いている。
「構わない。年初の今年の計画作りだ。忌憚のない意見が聞きたい」
というのも、オレはミラクルバードの目や勘を信用しているからだ。
明るく楽観的な雰囲気で、軽い言動から頭が良く見られていないような節がある彼女だが、実は競走に関しては間違いなく勘が冴えているし、驚くほどにクレバーだ。
その知識や勘は、確かにスタッフ育成科でも十分に役に立つと思える。
だからこそ、彼女の意見が聞きたいと思った。
「……うん、わかった。じゃあ言うけど──4月までに昇級するどころか、半年くらい休むべきだと思う」
「なッ!?」
驚いて声を上げたのはダイユウサクだった。
思わずミラクルバードの方を見て──その表情が見る見る険しくなる。
「なに言ってるのよ!! それじゃあ間に合わない可能性が高いでしょ!!」
「うん。でもね……やっぱり去年の負担は体に響いているんだよ。理想は半年くらい体を休めて、負傷に至っていない体のダメージを癒してから、準オープンを勝ち抜いてオープンを目指すべきだとボクは思う」
やはり、クレバーだと思った。
それは、オレの考えていた理想的な計画も同じだったからだが……ダイユウサクは納得しないだろうと思っていた。
そして案の定、ダイユウサクは不満を爆発させている。
「分かってるの? いつチームに1人はオープンクラスが必須になるか、わからないのよ? 少なくとも、春までには絶対に動きがあるはずよ。それに間に合わない──」
「春戦線の頭に復帰したところで、今の成績からだと4月にオープンクラスになるのには間に合わないよ。それならいっそ半年体を休ませ、秋の重賞戦線までにオープンを目指す方がいいと思う」
まさに忌憚のない意見を言うミラクルバード。
そしてそれはダイユウサクの心を深くえぐる。
「そんなの……アンタがウチのチームに入りたいだけじゃないの!」
「バカにするなッ!!」
苦し紛れにダイユウサクが言った言葉に、ミラクルバードは苛烈な反応を見せた。
「ボクは確かに一度のレースの失敗で怪我をしてこんな有様だよ。でも──いや、だからこそどんな経緯であっても怪我をして、夢をあきらめるようなウマ娘を生みたくはないんだ。それはもちろんダイユウサク……キミもそうだ」
そう言ってダイユウサクを見つめるミラクルバードの目は悲しげだった。
「それなのにキミは──キミの目標はこの《アクルックス》をソロチームとして持続させることだけなのかい!? だとしたらなんて狭い了見なんだ。見損なったよ、正直……」
それから彼女はオレへチラッと視線を向ける。
釣られてダイユウサクもオレを見るが──ミラクルバードが話を続けた。
「少なくともトレーナーはもっと先を見ている。ボクはそれがわかる。だからこそ、そんなつまらないことにこだわるのが信じられないんだ。トレーナーと同じものが見られないのだとしたら……キミは乾井トレーナーに相応しくない。キミこそチームを去りなよ!!」
「なッ!? アンタ!! 言わせておけば──」
「止めろ、ダイユウサク! ミラクルバードも言い過ぎだ!!」
車椅子のミラクルバードにつかみかかろうとするダイユウサクを、オレは慌てて間に入って止める。
ご存知のように、ウマ娘の方が人間の男よりも身体能力が高い。
そのため、彼女を止めるのには非常に苦労し……一歩も引こうとしない態度を貫き続け、けっして謝らないミラクルバードの頑なさにも困惑しつつ、オレはどうにかダイユウサクを止めるので精一杯だった。
「いい? これからオープンに上がるのは4ヶ月じゃ無理。これは覆せない。それならどうするかを──」
「覆してやろうじゃないのよ! オープンクラスになってやるわよ!!」
「違う。覆すのはそっちじゃない……」
ミラクルバードは首を横に振る。
そして言った。
「1チームにオープンクラスが1人以上必要になるっていう方を覆すのなら、4ヶ月あれば何とかなるかもしれないと思うけど?」
そんなミラクルバードは、不適な笑みを浮かべている。
それを──オレとダイユウサクは驚いた顔で見ていた。
◆解説◆
【年のはじめの……】
・正月にテレビをつけているとだいたい流れる歌詞。
・「一月一日」という曲の歌いだし部分です。
・なお「年のはじめのためしとて」の「ためし」は「
・ですので「正月から挑戦してやるぜッ!」という野心的な歌詞ではなく、「毎年恒例の──」という意味。
・なお、「曙光」は夜明けの太陽光のこと。また「前途に見えはじめた明るい兆し」という意味でもあります。
・そして、史実的には1990年の年の始まりとなります。
【イナリワンが制し】
・1989年の有馬記念を制したイナリワン。
・その勝ち時計はレコードタイムで、2分31秒7を出しての優勝でした。
・それが破られる前の記録は2分32秒8。これを出したのは……1984年のシンボリルドルフ。さすが会長。
・5年間破られなかった記録でしたが──今回の記録は翌々年に破られます。
・そしてその記録は12年間破られなかった大記録ですが、それを出したのは……本作を読む方なら皆さんご存じかと思います。
【
・千葉県銚子市にある、関東平野最東端の岬。
・岬には犬吠埼灯台があり、高台なために絶壁の上にある。
・ちなみに日本本土の最東端は北海道の納沙布岬。
・島も含めた日本の最東端は南鳥島。東京都なので関東の最東端とするとやっぱりここになってしまう。
・本州の最東端となると、こちらは岩手県宮古市の
・犬吠埼がなぜ初日の出のメッカになっているかといえば、高地を除いた日本本土で最も早く日の出を迎えるから。
・納沙布岬は東経145°49′で犬吠埼(東経140°42′)よりもだいぶ東にあるものの、南にある関係で犬吠埼の方が日の出が早い。
・一番といっても──東京に比べて4分だけですけどね。
・ちなみに納沙布岬の日の出は千葉市と同じくらいで、犬吠埼とは3分差。
・もちろん南鳥島の方が初日の出の時刻は早く、なんと50分近くも早いんですが──南鳥島は一般人の立入禁止で、普通の人が一番早くみられる場所は母島(東京都)。
・豆知識ですが──東映の映画の最初に流れる、岩に波が打ち付けて「東映」の文字がバーンと出るあのロゴですが、あの撮影場所は犬吠埼だそうです。
【NC750X】
・ホンダの大型バイクで、NCシリーズの一つ。排気量は745CC。
・NC750シリーズはクロスオーバータイプの「X」とネイキッド型の「S」があり、それ以外に「L」がある。
・実はこのNC750シリーズ、最近になって大型自動二輪免許をとった人は乗った経験のある人の割合が意外と多い。
・というのも──さっきの「L」型というのが教習車仕様だから。ホンダとしてはCB750Lの後継で、書いてる人も教習所でもお世話になりました。
・NC750Lに乗った感想としては「ギヤがニュートラルにとにかく入らない」という印象でしたけどね。全然入らなくて、エンジン切ってからギヤ操作してニュートラルにするのが常態化してました。
・実は、NCシリーズはもともとNC700シリーズがあったのですが、この教習車仕様車のためにNC750シリーズに変わったという経緯があったりします。
・大型自動二輪教習用の車両は「排気量が0.7リットル以上」という規定があったため、排気量を669CCだったのを745CCにするため、NC750シリーズが生まれたのです。
・さて、そのクロスオーバー型であるNC750Xを乾井トレーナーが選んだ理由は次の通り。
・まず、大型にしてはリーズナブルな価格。
・新車販売価格の希望小売価格が100万を切っています。モデルチェンジでなくなってしまっているネイキッドのS型に至っては、フルカウルの250CCと同じくらいだったほど。
・そして低燃費。
・WMTCモード値で28.3㎞/ℓ。実際に乗っていても信号が少なかったり速度次第ですが30㎞/ℓくらいになることもあったりします。
・そして一番の理由は──なぜかあるメットイン。
・乾井トレーナーがハンターカブをトレーニングで使い、ダイユウサクの長距離走の随走したとき、帰り道に疲れたダイユサクが強引に乗ろうとして「メットがねえから乗れねえだろ!」と却下したことがありました。
・おかげでダイユウサクは新しいバイクに「アタシのヘルメットも乗せなさい!」と我儘を言っていました。
・とはいえ──普通、メットインがあるのはスクーター型。しかしスクーター型は好きではない……というわけで、メットインのあるバイクであるNC750が選ばれました。
・なお、通常のバイクは燃料タンクの部分がメットインになっているので、給油口が後部座席を上げたところにあるという変わった仕様になっています。
・その中で、アドベンチャー型のバイクが好きな乾井トレーナーは「S」ではなくクロスオーバータイプの「X」を選んだのです。
【鹿島神宮】
・茨城県鹿嶋市にある、全国に散らばる鹿島神社の総本社。
・「鹿島市じゃないの? オイオイ、誤字じゃないか」と思った皆さま、残念ながら鹿
・「そうはいってもアントラーズだって“鹿島”じゃん」と思いそうですが──
・鹿嶋市というのは1995年に鹿島郡鹿島町と大野村が合併で誕生したのですが、市町村名のうち市の名前だけは原則重複不可で、例外として既存の市の許可があれば重複OKだそうなんですけど……
・その時点で佐賀県に鹿島市があったので、「鹿島市」の使用を打診したところ「間違える可能性があるのでダメ」と、隣接どころか九州と関東でどう間違えるんだ!?という理解しがたい理由で却下されました。
・ひらがなやカタカナでの市名も考慮しましたが文献に「鹿嶋」の使用例がある、ということで、若干、無理矢理に「鹿嶋市」が誕生しました。
・佐賀県の鹿島神社は全部名乗ることを許さずに「鹿嶋神社」に改名させればいいのに、と思うほどに、個人的には憤っているポイントです。
・さて、肝心の鹿島神宮ですが、主祭神は
・正面の大鳥居から境内に入ると、すぐに楼門、そして社殿とあります。駐車場からだとかなり近いです。
・その社殿は、徳川秀忠の命で造営されたもの。
・社殿の奥には雰囲気のある鎮守の森を抜けた先に“奥宮”や“要石”があります。
・奥宮は関ヶ原の戦いに際して必勝祈願し、実際に勝利したので、そのお礼として本殿を奉納したのを、秀忠の代で社殿を新しくしたので、現在の位置に遷したもの。
・ちなみに──鎮守の森には金網に囲まれた施設があり、そこには鹿園があります。
・この鹿──古代からこの地にいまして、奈良公園の鹿は春日大社を建立する際に、祭神を同じくするこの鹿島神宮から神使として連れて行った鹿の子孫だそうな。
・神宝として「
【香取神宮】
・千葉県香取市にある、全国に散らばる鹿島神社の総本社。
・主祭神は
・ここにも“要石”があり、地震を起こす大鯰を、鹿島神宮のそれと合わせ、頭と尻尾をおさえているんだとか。
・どちらの要石も、掘り起こそうとしたけど埋まっている先が見えなくて掘り起こせなかった、というエピソードが残っています。
【地元のプロサッカーチーム】
・言わずと知れた『鹿島アントラーズ』のこと。
・数多いJリーグのクラブの中でも、創設時からの加盟チームであるオリジナル10の一つ。前身は住友金属工業蹴球団。
・茨城県の南西部、
・……え? 水戸ホーリーホック? J1で待ってるから早く上がってきてくれ。
・というように、オリジナル10の中でも(2021年現在まで)一度もJ2に落ちたことがないチームの一つでもあります。
・今でこそ、そのような強いチームですが──唯一のJSL2部からの参加となったために、Jリーグ創設時には弱小チーム扱いされていました。
・それどころか──Jリーグ発足する前の準備期間にはJSL2部所属で天皇杯優勝経験もなかったために川渕チェアマンから鹿島町長や住金幹部は「住友金属さんが加盟できる確率はほとんどゼロなのです。99.9999%無理ですよ」と言われてしまう。
・しかしそれにチーム関係者は──「じゃあ、0.0001%あるんですね!」と返す。
・川渕チェアマンは、当時の日本にはなかった観客席に屋根の付いた1万5千人収容のサッカー専用競技場の建設を条件に出し、諦めてもらおうと思ったら──
・──なんと茨城県が建ててしまった。これが現在の茨城県立カシマサッカースタジアムである。
・それが決定的となり、鹿島アントラーズはどうにかオリジナル10に滑り込むことができたのでした。
・なお、このスタジアムは日韓ワールドカップでも東京オリンピックでも使用されました。
・どうにかJリーグ開幕に入ったアントラーズですが、下馬評は最悪。予想では最下位──優勝はヴェルディ川崎(当時)か浦和レッズだと言われていたのですが……
・ブラジルからやってきた英雄、ジーコのおかげで意識改革や実力の向上があり、見事に開幕シリーズである1993年の1stステージを制覇という二度目の奇跡を起こしたのです。
・……ちなみにその下馬評が高かった浦和レッズが最下位に……Jリーグ初期の浦和は今では考えられないほど成績悪かったんです。
・後期を制したヴェルディに負けて、初代年間王者はヴェルディだったのですが……こちらは逆に、今では考えられないくらいに低迷中。
・一方、アントラーズはこの開幕直後の盛り上がりによって「鹿島=サッカーの町」として定着し、鹿島アントラーズも日本代表に選ばれる選手を抱えるような、現在の強いチームになっていったのでした。
・なお、鹿嶋市のイオンにはジーコの像が建立されています。
・なんか100年後くらいには「サッカーの神様」として鹿島神宮に合祀されて、祀られていそうですけど。
【ミラクルバードの目や勘を信用している】
・ミラクルバードは優れた成績を残して、強くもあったのですが……レースについて目端がきくという、スタッフ向きの能力も持っています。
・というのも原作では──主戦騎手が若く未熟でロクに勝てなかったのが、ミラクルバードに騎乗するようになってから勝てるようになり、その騎手は「ミラクルバードに育てられた」と言われ、実際に本人もその自覚があったとなっています。
・そこから、自分が競走するだけでなく、育てる才能を持ったウマ娘という設定になっています。
・秋以降、補佐をしてくれているのでトレーナーはそのことに気がついており、彼女を信用しているのです。
・ただ実際には、原作の主戦騎手は同期で活躍している騎手を見て、それに感化されてより真摯に競馬に向かい合い、研究熱心になったという側面も大きいようです。
・それも含めて、ウマ娘のミラクルバードも研究熱心な性格になっており、やはりサポート向きの能力になってます。