──12月の頭。
オレ達チーム《アクルックス》は京都に来ていた。
京都レース場、1600メートルで争われる飛鳥ステークス。このレースには有力なウマ娘の姿はなかった。
おかげで──ダイユウサクでも1番人気に推されている。
「前走から中二週で出走……」
隣の車椅子のウマ娘が少し不安げにつぶやく。
(まぁ、確かに……な。一般的なオープンクラスのウマ娘にしたら、出走間隔が短いが……)
まるで去年のオープンクラスを目指して走っていたころを思い出すような間隔だが──もちろん理由がある。
(このレースに勝てたのなら次のステップを目指す。これはそのための試金石……)
そして……ゲートは開かれ、飛鳥ステークスは始まった。
アタシは今回、先行策を採らなかった。
中段──5番目くらいの位置で、前の様子を伺いつつ、後ろの警戒も忘れない。
『今日もお前の好きなように走れ。重賞常連のようなヤツもいないし、お前の実力なら勝てる』
レース前にトレーナーに言われた言葉が頭をよぎる。
(そう言われたら……負けられ無いじゃないの!!)
周りは気にするような強敵はいないから自由に走れ──アタシが勝つのを信じてるって言えば聞こえはいいけど……勝てなかったらその期待を裏切るってことじゃない。
(結構、イジワルよね。トレーナーって……)
走りながら、心の中で苦笑する。
だから期待に応えるためにも、頭の中でレース展開を考えたわ。
(今日のレースは距離1600のマイル戦……アタシの場合、これまで短距離か中距離のレースが多かった)
経験数なら圧倒的に短距離戦が多いけど、勝ちきれなかったレースが多い。
逆に中距離は出走数は劣るけど、結果を出してる。
そしてマイルはその中間の距離。
(つまり、短距離戦ではアタシにとって距離が短すぎるってことよ)
でも、アタシは短距離が全然ダメってわけじゃないし、それに1200メートルと言えば阪神レース場のレコードを出したことがある。
もちろん勝ったわけだけど。でも、あのときは──
(──あのとき、アタシは先行じゃなくて末脚勝負の差しになってた)
短距離を先行で安定して勝てる
でも、アタシの末脚なら──それを生かせる差しならば、経験の少ないマイル戦でも通じるはず。
そう考えて、アタシは中盤を押さえ気味にして、足を溜めることにした、
──そして、終盤へと差し掛かり。
「こ・こ・だああぁぁぁぁぁ!!」
アタシは自分で見極めた勝負所で、一段姿勢を低くして──強く芝を蹴る。
グン! と加速したアタシは、風の壁をものともせずに一気に加速して……
「よくやったな、ダイユウサク」
チーム《アクルックス》全員──と言っても、オレとダイユウサク、それにミラクルバードの3人だが──がチームの部屋へと集まると、オレは開口一番にダイユウサクを誉めた。
「飛鳥ステークス1着。重賞でこそなかったが、オープン特別クラスのレースを圧勝できたのは、お前がそれだけ強くなったってことだ」
「なによ、急に……誉めたって、何も出ないわよ……」
オレの素直な賞賛に、少し恥ずかしそうに目をそらしながら、ダイユウサクはつぶやいていた。
それをもう一人のメンバー、車椅子に腰掛けたミラクルバードが笑みを浮かべて見ている。
「謙遜しなくていいってば。レース展開もバッチリ。末脚もスゴかったし、2位を3バ身も離したぶっちぎりだったもん」
車椅子に座っているのでわかるように、彼女は負傷の影響で現在走るどころか立つこともできず、それ以前は競走ウマ娘だったが、今ではサポート役としてチームに所属している。
そんな彼女自身には悪気はないのだろうが──チーム唯一の競走ウマ娘であるダイユウサクからすると冷やかしているように見えたらしい。
ミラクルバードに対しては不満げな様子を見せ──
「……連戦連勝だったアンタに言われても、なんか誉められた気がしないんだけど」
「もう。素直じゃないな、ダイユウ先輩は」
「先輩って言うのなら、ちゃんと先輩扱いしなさいよね」
笑みを浮かべてからかうようなミラクルバードの態度に、ダイユウサクはくってかかる。
(まったく、どっちが先輩なんだか……)
これを言えば矛先がこちらに向かってくるのが明らかなので、口には出さずに内心に留めていた。
すると、車椅子のために容易には逃げられず、問いつめられていたミラクルバードが救いを求めるように、オレに話を振ってきた。
「そ、そういえばトレーナー。今日はなんのミーティング? 祝勝会? それならボクも準備しないと……串打ちとか、ね」
ミラクルバードの実家は、彼女の地元の神戸では名店と知られている焼鳥屋である。
そこで育ち、父親直伝の技術を持つ彼女の焼鳥はとても美味く、食欲旺盛で舌の肥えたウマ娘達からの評判もいいのだった。
「それもだが……とりあえず別の件だ」
そう言い放ち、オレは腕を組む。
「お前ら、この時期……年末と言えば、いったいなんだ?」
「「有馬記念」」
URAという組織に所属するものとして模範的な回答が飛んできた。
「それは、まぁ、そうだろうな。確かにウマ娘ならそうなるのも納得する」
オレは二人の言葉に一応、うなずいておく。
だが──そんな国内最高峰のレースに、今のオレ達は縁がない。
それに今年は、正直「ちょっと見に行くか」という雰囲気でも無い──そもそも東京レース場と違い、中山レース場は首都圏といっても府中から離れているから「ちょっと」という距離でもない。
「なにしろ、アイツの引退レースで世間は大盛り上がりだしな」
国民的アイドルウマ娘──オグリキャップのラストラン。
今月末に開催される有馬記念を最後に、彼女は引退すると言われている。
(ダイユウサクも走った秋の天皇賞の6位もだが、それよりもジャパンカップの惨敗がデカかったな……)
外国から有力ウマ娘が来日して走るジャパンカップ。
彼女達に負けるのはまぁ、仕方ないにしても……国内のウマ娘たちにも負けてのこの順位に、世間は「オグリキャップは終わった」と言われてしまうほどだった。
(一方的に担ぎ上げておいて、少し負けが込めばたたき落とす……その姿勢には思うところもあるけどな)
ブームの煽り手であったマスコミ──中でもウマ娘
ともあれ──六平トレーナーはじめ、オグリキャップ陣営も彼女の限界を感じているのは確からしく、有馬での“引退”を表明したのだ。
その影響は大きく早くも話題になっており──
「ねぇ、トレーナー! 見に行くの!?」
「アタシも、オグリキャップの最後のレースなら、見たい……かな」
興味津々なミラクルバードに対し、ダイユウサクは寂しげだった。
無理もない。
彼女はオグリキャップの同級生だし、
「……なんか、ものすごくヒドいこと考えてなかった?」
「とんでもない」
オレの顔を見て何か感じたのか、ダイユウサクがジト目を向けてきたが誤魔化した。
「気持ちは分かるが、行かないぞ?」
「「えぇー!?」」
「不満そうに言ってもダメだ……あのなぁ、お前達……国民的ウマドルをなめてるだろ?」
「なめてないよ! オグリ先輩はすごく強かったし、地方レース出身なのに──」
「実力じゃない。人気を、だ」
「「人気?」」
オレが言うと、二人は首を傾げた。
「断言する。中山はメチャクチャ混むぞ。有馬記念だけ見ようとして行けば、入れないくらいにな」
「ホントに? 根拠は何よ?」
懐疑的な目でオレを見るダイユウサク。
「お前も、この前の天皇賞のスタンド見ただろ。復帰レースであれだったんだぞ? 見納めのラストランになれば……アレを遥かに越える観客が集まるのは明らかだ」
……間違いなくマスコミが煽るしな。
と、心の中で付け加える。
実際、専門紙じゃないスポーツ新聞はもちろん、昼間にやっている情報番組でも取り上げられている。
そんな熱狂を目にしているからこそ、二人も「あ……そっか」と納得した様子だった。
「……ボクのこと、気にしないで二人で見に行ってきていいよ?」
ちょっと寂しげな笑みを浮かべて、そんな健気なことを言ったのはミラクルバードだった。
彼女の場合、車椅子なのでそういう混雑したところには、どうしても行けなくなってしまう。
それに気を使ったんだろうが──
「いや、そんな混んでるところには行きたくないからな、オレは」
あっさりと本音で断った。
…………なにか、ダイユウサクが言いたそうにオレにジト目を向けているが。
う~ん、そんなにオグリのラストランを
「それに、そこで丸一日潰せるヒマも余裕もない」
「ヒマ? 余裕って……?」
「どういうことよ? 今年の
「今年は、な」
そこで言葉を切り、オレはニヤリと笑みを浮かべる。
「来年の最初のレースに出る。年始の重賞レースに、な」
「ひょっとして、金杯!?」
オレの言葉にピンときたミラクルバードが声を上げた。
「その通りだ」
「そっか! で、どっちの?」
「どっち……?」
ミラクルバードが興奮する一方で──ダイユウサクはピンとこない様子で頭の上に「?」マークを浮かべていた。
「例年1月に入ってすぐ──1月5日にGⅢの重賞、金杯が開催される」
「ええ、話には聞いたことがあったけど……」
「で、その金杯は中山と京都、東西2ヶ所で同日に開催されるんだ」
「へぇ~、珍しいわね」
ダイユウサクの言うとおり、同じ名前のレースが年2回開催されるのなんて珍しいもので、他には天皇賞くらいだろう。
あちらも京都と東京という東西の2ヶ所開催だが、春と秋で時期がまるで違う。同日開催の金杯は唯一無二の特徴と言える。
「しかも距離も同じだ」
「え……?」
ダイユウサクが呆気にとられる。
「ど、どっちかがダートで、どっちかが芝、とか……?」
「いや、どっちも芝だぞ。純粋に開催場所が違うだけだ」
「な、なによそれ~!?」
呆れたように、ダイユウサクは言い放ち、オレへと詰め寄ってきた。
「同じ日に、同じグレードで、芝の同じ距離で競うレースが、なんで二つもあるのよ!? しかも同じ名前で!!」
「そんなこと、オレに文句言われてもな……」
実際、どうしようもないので詰め寄られても困る。
オレは困惑しながら頬を掻く。
「同じなら、絶対に近い方がいいに決まってるわよ。正月からわざわざ京都になんて行ってられないもの」
「いや、京都だぞ」
「……はい?」
オレに言われてキョトンとしたダイユウサクだったが──なぜかミラクルバードをギロッと一睨みしてから、再び俺に詰め寄ってきた。
「アンタ、まさか……コン助の実家から近いから、なんて理由で決めてるんじゃないでしょうね? 正月はそっちで過ごして、なんて……」
「そんなわけあるか!」
返しつつ、思わず苦笑してしまう。
もっと根本的な理由だぞ。
「あのなぁ、ダイユウサク。お前、栗東寮だろ?」
「そうよ? それがどうしたっていうのよ?」
「栗東寮のウマ娘は、金杯は京都の方に出るって決まってるんだよ。慣例的に」
「「え……」」
ミラクルバードも知らなかったらしく、ウマ娘二人が驚いていた。
「寮長に訊いてみろ。ちゃんと説明してくれるから」
「で、でもなんで……」
「別に出走条件に入ってるわけじゃないが、やっぱり学園が府中にあるし、時期的に正月で遠出もしたくないからな。中山の方に人気が偏り過ぎて、寮で区分けする慣例ができたらしい」
まぁ、実はその分、京都に行くメンバーは宿泊費が学園持ちになるんだが、それは黙っておこう。
……京都選んだ理由がバレるからな。
「今回は、是が非でも取りにいきたいところだしな」
「金杯を?」
「そうだ。前走、前々走と連勝したから今の
もともと、このレースへの知識がとぼしく半信半疑なダイユウサクに、オレは力強くうなずいた。
「なんと言ってもGⅢだからな。重賞制覇、挑戦したくないか?」
今まで、重賞挑戦はGⅠ以外だと3回。
一昨年の高松宮杯に、去年のCBC賞とセントウルステークス。
掲示板にのったことはあるが、優勝にはまだ届いていなかった。
(ダイユウサクには言えないが、金杯はGⅢというのもあるが、今まで走った重賞に出てきたような有力ウマ娘は出てこない確率が高い)
金杯は年始──例年1月5日に行われる。
なにしろ直前にはその年の総決算ともいうべき有馬記念という大レースがあり、業界内でもそれで一区切りという認識が強い。
(まぁ、わざわざ正月から働きたいってのも少ないからな)
有力ウマ娘達は秋の重賞の連戦での疲れを癒すために、次のGⅠまで空くのを考慮して休みに入る者も多いし、重賞常連の有力チームが正月くらい休みたいので、正月早々に行うので正月休みがぶっ飛ぶのこのレースに出たがらないのだ。
近年で出走した有名なウマ娘と言えば、連勝中に出走して見事に勝ち、重賞6連勝の一つに組み込んだタマモクロスくらいだろうか。
去年はバンブーメモリーが出るはずだったが、回避しているし……
(正月から走りたがってるのは、この金杯に出るウマ娘達と、ニューイヤー駅伝や箱根駅伝に出るヒトの長距離ランナーくらいだろ)
あちらは本当に元日と、その翌日からの2日間だからな。それが終わってから正月気分ってところだろうが。
そんなオレのズルい考えなど気づかずに──“重賞制覇”という言葉に目を輝かせるダイユウサク。
彼女は力強く頷くと──
「ええ、もちろんよ」
勝ち気で不適な笑みを浮かべた。
その様子に、ミラクルバードもにっこりと笑みを浮かべる。
「よし、話は決まった。これから《アクルックス》は金杯制覇のために年末年始もフル稼働だからな」
「「おー!」」
オレの言葉に、ダイユウサクとミラクルバードは腕を突き上げる。
その二人を見ていたオレは──急に表情を変える。
「で、二人ともさっきオレの『年末と言えば?』って質問に、迷い無く『有馬記念』って答えていたけど……やらなきゃいけない大事なことがあるだろ」
変えた表情──呆れきった目で二人を見ながら、オレは盛大にため息をついた。
「……なに、あの目」
「なんか人をバカにしてるようで、感じ悪いよね……」
ダイユウサクの言葉にうなずくミラクルバード。
人をバカにしているのはお前達の方じゃないのか。
オレはゴホンと咳払いをし──
「今日は部屋の大掃除を行う」
と、宣言した。
二人から「「え~」」という不満の声が挙がる。
「もっと落ち着いてからでも……」
「そうだよ。トレーニングは続くんだし、どうせまた汚れるよ」
「レース本番は来年なんだから、落ち着くのも来年だ。今年の汚れは今年のうちに──それとも正月にレース走って、その後に大掃除やりたいか?」
「「う……」」
さすがにそれはイヤなようで、二人は表情を歪める。
こうして──早めの大掃除を行い、オレ達は年始のレースに備えることにしたのだった。
「──あ、お母さん? 年末年始のことなんだけど……」
今後の予定を聞いたアタシは、実家に連絡を入れた。
だって、年始めに
去年は休養中だったから、実家でのんびりできたけど──今年はそういうわけにはいかないものね。
アタシがその説明をすると──
『ええ、わかったわ。アンタはレース、ガンバりなさいよ。去年の秋の天皇杯とか、大きなレースに出られるくらいにまでなったんだから……』
母さんはそう言ってアタシを応援してくれた。
ホントに……家族ってありがたいわよね。
『……それに、去年は実家に帰ってたせいで
「おくれ? なにそれ?」
『決まってるじゃないの。トレーナーさんのことだよ』
「ハア!? な、何言ってるのよ!?」
『アンタが余裕見せて実家になんて帰ってくるから、チームの手伝いしてるウマ娘が披露したり、おせち作って胃袋捕まれたりして、出し抜かれたんでしょ?』
「い、いったい何の話よ!? そもそも、どこからそんな情報が……」
『え? もちろんコスモちゃんよ』
「な……」
『いい? アンタ栗東寮なんだから京都でしょ? そこできっちり……』
「お母さんッ!!」
まったく、母さんってば娘相手に突然何を言い出すのよ!! まったく、信じられない。
(それに……コスモドリームぅぅぅぅ!!)
アタシはキッチリと母に事情を説明して、誤解を解き──コスモドリームをとっちめた。
アタシの話を聞いているときの母の「はいはい、分かってるわよ」と言わんばかりの態度には、正直、思うところがあるけど。
◆解説◆
【
・昔(1997年~2006年)に日テレ系で放送されていたバラエティ番組、『どっちの料理ショー』から。
・まぁ、金杯って当時は(東)(西)という表記だったので。
・しかし、元ネタの番組名は台湾で放送されたときのタイトルだと「料理東西軍」とホントに「東西」が入っていたりします。
【飛鳥ステークス】
・ゲーム版では採用されていないものの、1990年から始まり、現在も残っているレース。
・今年(2021年)を除いて京都競馬場の芝というのは変わらず。
・開催時期は、最初は12月開催だったものの第2回からは1月末か2月に変更。その変更のために第2回目の開催が翌年ではなく翌々年の1992年になっています。
・おまけに最初こそオープン特別だったのに、第2回からは準オープンに格下げ。
・距離も1800で始まったものの、第2回目からは1600に短くなり、2000年から2004年までは2000に変更。2005年からは原点回帰して1800に戻され、現在に至ります。
【1着】
・今回のレースのモデルは90年の飛鳥ステークスでした。
・ん? 飛鳥ステークスの第1回ってたしか……
・……そう、現在も続く飛鳥ステークスの第1回の優勝馬はダイユウサクだったのです。
・2回目から準オープンに落ちたけど……
・開催日は1990年の12月8日(土)。天候は晴れ、馬場は良。
・ダイユウサクは10頭立ての1番人気でした。
・なお他の出走馬にウマ娘に実装されていたり、実装されそうな知名度の馬はいませんでした。
【府中から離れている】
・中山レース場──中山競馬場があるのは千葉県船橋市。
・よく言われているのは、JR武蔵野線で東京競馬場(府中)と中山競馬場(船橋)が繋がれていること。
・だいたい1時間15分くらいかかりますね。往復で2時間半。確かに“ちょっと見に行く”感覚ではありませんね。
・武蔵野線は大きく弧を描いているのですが……2つの競馬場の直線距離を図ってみたら約43キロでした。
【メチャクチャ混む】
・90年有馬記念が行われた中山競馬場の観客数は17万7779人。
・これは中山競馬場の最多観客数のレコード。
・JRA最多となると、同じ年(1990年)開催の第57回日本ダービーが開催された5月27日の東京競馬場で、19万6517人でした。
・同じ第二次競馬ブームでのことで、今のようにネットで馬券が買える時代でもありませんし、バブル経済で景気が良かったというのもありますね。
【情報番組】
・一応、作中の情報番組は当時昼間にやっていて主婦層を視聴層にしたワイドショーを想定してます。
・しかし、このころはフジテレビの平日昼の定番だった『笑っていいとも!』が放送されていた時期でした。
・そのときに曜日レギュラーの明石家さんまが、オグリキャップのことをものすごく応援していたんです。
・それは有馬記念よりも前からだったんですが、引退レースということで有馬記念は特に熱く語っていました。
・それで、まったく競馬に興味のなかった層にも「オグリキャップ」という競走馬の名前や、「有馬記念」というレースの名前が広く浸透することに一役買いました。
【金杯】
・本文中にあるように、金杯は主に1月5日に開催され、中山と京都でそれぞれ行われる重賞レース。
・どちらもGⅢで──モデルの91年当時はどちらも金杯で、中山は「日刊スポーツ賞金杯」、京都は「スポーツニッポン賞金杯」という正式名称があり、略称は「金杯(東)」「金杯(西)」でした。
・さすがに紛らわしいと思ったのかどうかはわかりませんが、1995年よりそれぞれを「日刊スポーツ賞 中山金杯」、「スポーツニッポン賞 京都金杯」に変更し、略称も「中山金杯」、「京都金杯」とわかりやすくなりました。
・中山金杯の歴史は、1952年に「金盃」という名前で5歳(当時表記)以上の中山2600メートルで開始。
・1966年にレース名の頭に「日刊スポーツ賞」が付き、1971年から「金杯」と現在と同じ「杯」表記に。
・で、京都の方は……もともとは1963年に同じく5歳(当時表記)で京都2000メートルのレースを「迎春賞」という名前で創設したのが最初。
・1966年に中山の方が「日刊スポーツ賞 金盃」になったのに合わせたのか、同年「スポーツニッポン賞 金盃」に変更。
・それで親しみを覚えたのか、それとも対抗心を燃やしたのか、中山の方が2600から2000メートルに距離を変更して同じ距離に。
・そうしたら、1970年に京都が「金盃」を「金杯」に変更。中山が71年に「金杯」にしたのはそれに併せたからなのか……
・その後はグレード制採用時には仲良くGⅢの指定を受けました。
・なお、本編では「同じ距離」としていますが、2000年に京都金杯の距離が1600になって現在では2つの金杯は距離が違っていますので、お間違いないように。
【栗東寮のウマ娘は、金杯は京都の方に出る】
・2000年まで距離も開催日も同じだった金杯。じゃあ、どうやってどっちに出るか決めたかと言えば……
・調教師の東西──つまりは関西馬か関東馬か、の違いでどっちに出るかがほとんど決まっていたようです。
・まぁ、正月ですし、地元に近い方に出たいですよね。そりゃあ……
・でもトレセン学園は東西にあるわけではなく──と本気で困ったんですが、よく考えたら寮が美浦寮と栗東寮に分かれていたな、と思い出して、こんな設定になりました。
・ダイユウサクが出た1991年ころは綺麗に東西の出走は分かれていたようですが、距離が変わる2000年近くになると、関東馬でも京都金杯に出ている馬もいたようで……
・現在ではもちろん、距離が違うのでその距離に合わせて選んでいるので関東馬、関西馬関係なく、どちらにも出てきますね。
・なお……ゲームのウマ娘は現在の設定なので、距離が違います。
・──私も、最初は距離が違っていたのだと勘違いしてました。
・ですのでこのような設定は必要なく、当時の再現をしている『シンデレラグレイ』ではオグリキャップも出ませんし、金杯の描写はありませんので──このような設定は本作独自となります。
・タマモクロスは出走経験があるんですけどね……