──我が〈アクルックス〉のメンバーが増えた。
彼女はロンマンガンというウマ娘。
少し、というかかなりクセのある性格だったので不安だったが、ともあれ他のメンバーに受け入れてもらえそうで、オレはホッとした。
「かなり、個性的な
「ああ、オレもそう思う」
トレーナー部屋で相室である巽見 涼子の言葉に、オレは頷いた。
ロンマンガンがチームに入りたいとここを訪れた際には、彼女もいて話を聞いていたのだ。
「少し達観しすぎている感はあるが、それでも自分を冷静に見て分析している……とも思うけどな」
「そうね。過大評価はもちろん、過小評価しすぎてるってわけでも無いように見えるわ」
そう言って、巽見は「うんうん」と頷く。
そして意地悪い笑みを浮かべて付け加えた。
「もっとも……現時点では、という注釈はつくけど」
「そうは言うが、アイツまだデビュー前だぞ」
確かに生まれつきの才能、というものはある。
どこまで伸び代があるかなんて、予想できるはずもない。
(その体言者を、オレはよく知っている……)
それをもっとも身近で見させてもらったんだ。
あり得ないほどのタイムオーバーというドン底からグランプリ制覇という、とびっきりの伸び代を、な。
だから
「な~んか、
「ナントカ再生工場、ってか? オレがそんなに器用じゃないのは、巽見だってよく知ってるだろ」
思わずため息が出る。
ダイユウサクが栄光を掴めたのは、もちろんアイツの才能だ。
諦めずに、ジッと耐えてひたむきに走り続ける。それができたからこそ有馬記念を制覇できたんだ。
心を折られずに、条件戦を走り続ける──その中で腐ることもなく、どこかで達観して上を見るのを止めてしまうこともなく、それを続けるというのは本当に大変なことだ。
そんな彼女の精神力に比べたら、オレの
(それに……)
アイツの、有馬記念制覇は、楽なものじゃなかった。
強敵──現役最強ステイヤーであるメジロマックイーンをねじ伏せた走りの代償は、大きかった。
(この前の大阪杯……)
ダイユウサクの休養朱の復帰戦。
奇しくも骨折からの──ダービー以来の復帰戦となった、トウカイテイオーに話題の全てを持って行かれていた感はあったが、実際レース結果もその通り、トウカイテイオーの独壇場で終わった。
そしてダイユウサクは、レース後にターフに力尽きたように倒れていた。
オレは慌てて駆け寄ったが──
(強がってはいたが、脚に異常があったのは間違いない。それはきっと……)
“
ミラクルバード曰く『火事場の馬鹿力』を発揮したせいで体のどこかを壊してしまったのではないか、ということだった。
(それが治らない限り、ダイユウサクはまともに走れない)
聞けば痛みはなく、怪我もしていない様子だった。
アイツだって今までの積み重ねがある。だから無様なレースはしないだろう。
しかしグランプリウマ娘として、走るレースはもちろん重賞で、それもGⅠ・GⅡクラスになるのは間違いない。
それらの優勝を争うような猛者達を相手にするには、やはりツラい。
(オレが付きっきりになれば、かえってプレッシャーになっちまうしな。どうしたもんか……)
ダイユウサクが心配だが、現状ではその後遺症が消えない内はどうしようもない。
かといってオレが目をかければかけるほど、彼女にはそれがプレッシャーになって、無理をしかねないだろう。
(かといって、オラシオンのデビューはまだまだ先……それはロンマンガンも同じだからな)
メイクデビュー戦が始まるのは夏。
それにオレは二人のデビュー戦に関しては焦っちゃいなかった。特にオラシオンに関しては、そこで焦ったらもったいないようなウマ娘だ。
(アイツはダービーを狙えるウマ娘。ジュニア期こそ焦ることなくじっくり育てるべきだからな)
夏どころか、秋のデビューを考えている。
ロンマンガンに至っては、それよりも後になるだろうとさえ思っていた。
(しかしそうなると──オレが手持ちぶさたになりかねないんだよな)
他のウマ娘を見ていなければ、ダイユウサクを見るしかない。
そうなると、それは逆効果になりかねないわけで……本当にどうしたものか、とオレが悩んでいると──トレーナー部屋の扉が、コンコンとノックされた。
「……最近、来客が多いわね」
それをジト目で見つめながら巽見が言い──オレが返事をして促すと、その来訪者は部屋へと入ってきた。
入ってきたのは──人間だった。
女性だったが耳は頭の上になく、尻尾もない。着ている服もトレセン学園の制服ではなく、スーツといった装い。
典型的ともいえる女性トレーナーの姿だった。
そんな彼女を見てオレは──思わず相部屋の女性トレーナーの方を見る。
ジャージ姿に、手元には竹刀……
「ま、コイツも典型的、ではあるか」
「なに?」
「いや、別に……」
絵に描いたような、典型的な体育教師スタイルだった。
それはともかく──
「あれ?」
やってきた女性トレーナーの姿を見て、巽見が少し驚いた様子だった。
「知り合いか?」
「ええ、まぁ……女性トレーナー同士で顔見知り、程度だけど」
「なるほど」
とはいえ、女性トレーナーもそれなりにいるからな。
東条ハナ先輩や《王子様》こと奈瀬 文乃といった有名どころはもちろん、小宮山さんに桐生院 葵。そしてもちろんそこにいる巽見 涼子、と。
そして入ってきた彼女は、そのどれでもなかった。
「なにか──」
「乾井トレーナー……ですよね?」
「はぁ、まぁ……」
彼女に言われて、オレは戸惑いながら答える。
思わず巽見の方を見るが「やっぱりそっちの客じゃないの」と視線で言われた。
う~ん、確かにオレへの来客の方が多い気がするが……それはチームのメイントレーナーだからじゃないのか?
オレがサブトレだったら来るヤツも少ないだろうし、逆に巽見が独立してチームを持てば、もっと来客も増えるだろう。
(それにしても……巽見はチームを持たないのか?)
オレだって独立して最初に担当してからしばらく経つ。
そんな経験年数はもちろん、
(実際オレも、あの時のアイツのアレがあったから、それを師匠に認められての独立だったわけだし……)
──などと考えに耽っていると、やってきた女性トレーナが話を始めた。
「実は、乾井トレーナーにお願いしたいことがありまして……」
「オレに?」
「はい。実は──」
オレに対する依頼、それも相手はオレよりも年や経験が上の先輩トレーナーだ。オレは思わず身を正してそれを聞く。
そんな彼女の話は──直前にオレが考えていたことが頭から飛ぶほど、驚くものだった。
あ、ども。ちわっす。ロンマンガンです。
おかげさまであっしもチームが決まり、こうして初めて……じゃなくて前回、トレーナーと一緒にきて顔見せしたから2回目、か……ともかく、初めてチームの活動に参加できるわけで。
だから、かなり急いで部屋にやってきたという状況。
え? なんで急いでるかって?
いや、そりゃあそうでしょ。
ウマ娘の競走っていえば、確かにウイニングライブなんて華やかなモンがあるせいで別に見られがちだけど、それで目立つにはレースで上位に入らなきゃいけない。
つまるところ、本質は“
(ま、あまり露骨にライブを軽視すると、お叱りがくるけど……)
それはさておき、つまりこのチームという制度ってのも、その本質は“運動部”みたいなもの。
で、あっしはその“運動部”の一番下の学年で、それも最後発で組織に入ったド新人ってことになる。
ここまで言えば、分かるでしょ?
(そ。悲しき体育会系組織の最下層ってことで、下っ端は色んな雑務を……)
──なんてことを考えながら、たどり着いたチームの部屋のドアに手を伸ばし……
「あれ? 開いてるわ」
鍵がかかっていないのに気がつく。
しまった。誰かに先を越されたか……と、あっしの心の中に戦慄が走った。
(初日からこれじゃあ、先輩方に怒られるわ)
そう思いつつ、若干ビクつきながらドアを開ける。
しかし──
「……で、誰もいないって? まさか、ね」
さすがに不用心過ぎでしょ。
あっしが一番乗りだから、昨日の最後から今まで無締まりだったわけで──
「ん?」
そして出入口のすぐ側に、デーンと居座った大きめのダンボールが目に留まった。
ご丁寧に下には台車があって、運んできてそのままになってます、と雄弁に語ってる。
「なに、これ?」
大きさ的には結構、大きなもの。それこそ家具とか大きめの家電とかが入っていたようなくらいのサイズ。
近くに寄ってよく見ようとしたとき──
「お? 初日から早いね!」
「うひゃあああ!!」
背後から想定外に声をかけられて、思わず甲高い悲鳴があっしの口から飛び出てた。
「……ゴメン。驚かせちゃった?」
「いや、驚いたのは見れば分かるじゃないッスか」
あっしの反応に、すまなそうに車椅子の上で苦笑を浮かべているウマ娘。
思わずあっしは彼女を恨みがましい目で見てしまう。
「……バードパイセン、チーッス」
「やあ、ロンちゃん。こんな時間に来るなんて、さっそく張り切ってるね」
「そりゃあもう……って、ロンちゃん? それ、あっしのことッスよね?」
「うん、もちろん。ロンマンガンだから、ロンちゃん」
いい笑顔でそう言うバード先輩。
「や、別に……まぁ、良いッスけどね……でも、あっしの名前でロンよりも大事なのがあると思うんスけど……」
先輩がつけたあだ名なんだから受け入れるしかない、ってのは体育会系なら当然の
ただ、まぁね……それだと
それどころか役だっていいわけだ。
だからこそあっしとしては後半を大事にして欲しいっていうか……
「こんにちは……さすがミラクルバードさん、今日も早い──あ、ロンマンガンさんもいらしたんですか?」
っと、今度は同級生が現れたけど……いや、アンタはアンタで丁寧すぎでしょ。
ロンマンガンさん──“ん”が多すぎだわ。8音もあるのに2音に1回登場してんじゃん。
「ど~も。でもチームメイトになったんだから、そんなに他人行儀じゃなくていいよ。こっちも肩凝って仕方ないし」
「オーちゃんは、普段からそんな感じだよ?」
オーちゃん? え? このパイセン、誰のこと言って……ってオラシオンだからオーちゃんか。
なんか、この人のことは理解しつつあるわ。
しっかし、さすがにあのオラシオンのことを“オーちゃん”とは呼べんわ……
「シオン、でいい?」
「え? あ、はい。皆さん、だいたいそう呼んでくださりますし」
って、被ったんかい。
まぁ、“オラシ”なんて略すのも変な話だからね。あの“ゴルシ”じゃあるまいし。
スタンダードな発想だったってわけで。ま、無難ってことでいいんじゃない? あっしの考えが突飛じゃないってことの証だし。
「では、よろしくお願いしますね、マンガンさん」
「ちょい待ち」
確かに、さっき“ロン”以外の部分が大事、って思ったけど、これはこれでなんか字面が、ねぇ。
しかも6音で3回“ん”が出てるし。割合がさっきと変わってないし。
なんならその語呂も音数も、フルネームとほぼ変わってないから。
「それ、理科の酸素発生させる実験でオキシドールと一緒に出てきそうだから」
「はい?」
あっしのダメ出しに、目を白黒させて驚いてるオラシオン。
それから「そうですね……」と考え込み──
「では、ロンさん」
「って、あっしは中国人か!?」
彼女の出した答えに思わずツッコんでいた。
つーかバード先輩と発想一緒。もろ被りじゃん。
いや……中国語って考えたら「ロン=龍」なわけで、「カッコいいじゃん」とか思ったわけじゃないけど。
──結局、バード先輩は「ロンちゃん」、シオンは「マンガンさん」と最初に呼んだ呼び方で決まったわけで。
……ま、別にどうでもいいわ。
「で、パイセンとシオンに聞くけど……昨日最後に部屋出たの誰? さすがに不用心すぎ。鍵かかってなかったけど──」
「あぁ、それはボクが来て開けたからだよ。来たときはちゃんと鍵かかってたよ」
「なるほど……って、バード先輩の方が先に来てたってこと!? スンマセン!!」
そう言って、ロンマンガンさんは勢いよくミラクルバードさんに頭を下げました。
対してミラクルバードさんは、少し驚いた様子でそれを見て、それから笑顔でそれを制します。
「そんなにかしこまることないよ。ひょっとして、他のチームとかで“後輩は雑務をやらないといけない”とか言われた?」
「ええ、同級生から。それに学園に入る前にも……」
中等部よりも前の、小学校の世代で各種スポーツをやっていても学年による先輩後輩の上下関係は、競技によっての差はあれども存在している、と聞いています。
もっとも私は、そういうのをやったことがありませんが、そう聞いたことがあります。
「他はともかく、ウチのチームはやらなくていいからね。そういうのをやるためにボクがいるんだから」
「え? でもバード先輩って、先輩なわけだし……」
「競走する
「はぁ……なんか、申し訳ないッス」
やや釈然としない様子でしたが、ロンマンガンさんはミラクルバードさんに頭を下げながら、引き下がりました。
とはいえ、彼女の気持ちも分かるんですよね。
(ミラクルバードさんは、やはり年上の方ですし……)
先輩というのももちろんありますが、やはり事故前の競走ウマ娘としてのイメージも強いのです。それも、有望株として話題になるほどの方でしたし。
それに学園にはいる前から付き合いのある私でさえ恐縮してしまうのですから、まだ出会って間もないマンガンさんから見れば余計にそう感じるでしょう。
ただ、ミラクルバードさんの姿勢にも理由がありまして……
「……なんか、こんなに集まってるのはさすがに慣れないわね」
「ッ!! ダイユウ先輩!?」
入ってくるなり、私たちが集まっているのを見て軽く眉をひそめたのは、ダイユウサクさんでした。そんな彼女にマンガンさんは背筋を伸ばして畏まってます。
〈アクルックス〉の最古参──というよりも、この人とトレーナーのソロチームから始まった──の彼女こそ、ミラクルバードさんが雑務をしてしまう理由です。
(もちろんサポート目的でチームに所属したのも間違いないんですけど、ダイユウサクさんはミラクルバードさんよりもさらに先輩ですからね……)
そしてお二人とトレーナーしかいない時期も長かったですし、それが普通になっていたそうです。
ですから──
「……で、コン助。この邪魔な箱は、なに?」
ミラクルバードさんを“コン助”なんて呼べるのはこの人くらいです、本当に。
「箱? ボクは知らないけど……って、なにこれ!?」
「えっ? あっしが来たときには置いてあったんスけど?」
「ボクが来たときは無かった……と思うけど」
「……覚えてないの? こんなに目立つものなのに」
ダイユウサクさんが、少し呆れたような目でミラクルバードさんを見ています。
「しかし、いったいなにが入っているのでしょうか?」
「う~ん……ロンちゃんが入ったから新しいロッカー、とか?」
「そういう形でもないわよね。ロッカーにしては幅があるというか細長くないというか……」
「ってことは、トレーニング用の器具……スかね?」
ロンマンガンさんの推測に、ダイユウサクさんは首を傾げます。
「アタシは聞いてないけど……コン助はトレーナーからなにか聞いてる?」
「ううん。そんなお金もないと思うよ」
「そうよねぇ……」
「──ってことはコレ、誰もいない不在時に置かれた、不審物ってことじゃないッスか?」
ジト目になってその箱を見て言ったロンマンガンさんの言葉で、私達4人はぎょっとして慌てて距離をとりました。
「……コン助、アンタ中身確かめなさいよ」
「え? イヤだよ。なに入ってるか分からないもん」
「だから開けて確かめるんでしょ?」
「えぇ……そうだ、こういうときこそ後輩の出番じゃないか」
そう言ってミラクルバードさんは笑顔で私とマンガンさんを見ます。
「え? コン助パイセン、さっきあっしらを感動させた台詞、忘れちゃったんですか? こんなのにドーンと居座られたら、あっしら競走組、トレーニングに専念できないんですけど?」
「そ、そうですよね。不審物が置いてあると、さすがに不安ですし……」
私も思わず苦笑して、マンガンさんの意見に同意しました。
「でもこれはさすがにトレーニングとは関係ないじゃん。それにオーちゃん、不安なら開けて中を確かめてみたら?」
「わ、私がですかッ!?」
完全にヤブヘビでした。
若干引きながら、私はその不審物を見つめます。
「あ~、もう……コン助はこれに心当たりないんでしょ?」
「うん」
「アンタに知らされてないってことは、トレーナーが用意した器具ってわけでもないってことよ。ちょうど台車に乗ってるんだし、ゴミ捨て場にでも捨ててきなさい、こんな物──」
ダイユウサクさんが苛立たしげにそう言って、軽く箱を蹴りました。
……あれ?
「だから新入りのアンタ! この台車を押してゴミ捨て場に──」
「は? あっし? いやいや、確かにチーム内の立場は最下級ッスけど、いきなりパワハラかまさないで──」
「あのぅ……」
指名されて慌てるマンガンさんを遮るように、私が声をかけると──
「なによ、シオン? アンタが持って行くの?」
「いえ、そうではなく……今、この箱動きませんでした?」
アタシがそう言うと、ビクッ!! と他の三人が動き、さらに距離をとりました。
……ミラクルバードさんが、車椅子なのに器用な反応をすることに妙に感心してしまいましたが。
「オ、オーちゃん、また冗談が上手いんだから……」
「いや、バードパイセン。動いたのってダイユウパイセンが蹴ったからじゃないッスかね?」
「……なにロンマン。アタシに原因があるとでも?」
「お、新しい呼び方。そういうの待っていたんスよ」
なぜか話を脱線させて喜ぶマンガンさん。
けれども今はそういう場合ではありません。
「いえ、ダイユウサクさんが蹴ってから、ほんの少しだけタイムラグがあったように見えましたが……」
ジリジリと不審物から距離を取ろうとする私達4人。
その視線は、完全にその箱に集中しており──それに耐えかねたように、箱が再びピクッと動いたのです。
「「「「なッ!?」」」」
「ほら、やっぱり動きましたよね?」
「うん。オーちゃんの言うとおりだと思う」
「つーかコレ、中になにか生き物系でも入ってるの確定じゃん?」
「じゃあ生き物系って、具体的になによ?」
ダイユウサクさんの問いに答えられる者なんているはずもなく──4人がゴクリとツバを飲み込みます。
そしてダイユウサクさんはキッとマンガンさんを睨んで、顎で「いけ!」と指示を出します。
それにマンガンさんは「あっしが?」と言わんばかりに自分を指さし──冷酷なまでにハッキリとダイユウサクさんが頷いたのでした。
それにあからさまに肩をガックリと落とすマンガンさん。
しかし彼女はダイユウサクさんを尊敬していらっしゃるようですし、まして大先輩からの指示には逆らえず、恐る恐る箱へと近づいていきます。
そして箱の蓋になっている部分へと手を伸ばし──
「──お前ら、なにやってるんだ?」
「「「「きゃゃああああああッ!!」」」」
背後から聞こえたトレーナーの声で全員飛び上がらんばかりに驚いて悲鳴をあげ──
「ひゃああああああッ!!」
それに驚いて箱から飛び出した人影が悲鳴をあげ──
それにさらに驚いた私達4人がまた悲鳴をあげ──
部屋は隣のチームから注意されるほどの阿鼻叫喚となったのでした。
……隣の皆さん、お騒がせして本当にすみませんでした。
◆解説◆
【“その反抗には理由があります”】
・今回は「馬の祈り」からに戻りました。
・原文は
Don’t think me disobedient should I not follow your orders,
・「指示通りに動かなくても不従順とは思わないで」という意味で、この後は──
と続きます。
・もちろん、今回の言うことを聞かない理由は違うわけで……
・なお、ジェームス・ディーン主演の映画の邦題『理由なき反抗』の逆をとったパロディでもあります。
・ところでその“反抗の理由”になった不審物。中に入っていたのはいったい……
・──ちなみに今までに登場しているキャラでして、その正体は次回で明らかに。
・そんなわけで次回にLet's go!
【ナントカ再生工場】
・野村再生工場のこと。
・2020年に亡くなられた元プロ野球選手で、南海、ヤクルト、阪神、楽天を率いた野村克也監督が監督時代に、他球団で戦力外になった選手を再起させて活躍させたその手腕からそう呼ばれました。
・私的にはヤクルト時代の辻選手や吉井選手、小早川選手なんかが印象強いんですけど……南海の監督時代から言われていたんですね。
・野村監督曰く、「再生工場の本質が何かと言えば、それは自信の回復ですよ」と言っていますが、ターキンの場合はそれが当てはまるかもしれませんね。
・しかし、前もノムさんの格言(──ではなく平戸藩主、松浦静山の言葉でしたが)を出していましたし、乾井トレーナーってひょっとしてノムさんのファン?
【
・麻雀の役ですが、御存じアニメ版ウマ娘の2期に登場したダイユウサク相当のウマ娘の名前でもあります。
・そもそも、なぜロンマンガンという架空馬を本作に出したのかと言えば……『じゃじゃ馬~』の中で妙に気になった馬だったのもありますが、その名前からダイサンゲンネタに絡ませやすいから。
【隣のチーム】
・裏設定ですが、〈アクルックス〉のチーム部屋の隣の一つはチーム〈ミモザ〉になってます。
・その理由は、一等星アクルックスと一等星ミモザは隣り合っているので。
・共に同じみなみじゅうじ座を構成する恒星ですからね。
・〈ミモザ)所属のウマ娘との仲は社交的なミラクルバードのおかげもあって友好で、ダイユウサクも珍しく仲良くしています。(有馬記念制覇の時はお祝いをしてもらった模様)
・そんなわけで──第一章でチラッと出てきたジャケットに描かれた〈アクルックス〉の
・「十」の下端の星を強調した〈アクルックス〉に対し、“左”の星を強調したのが〈ミモザ〉のもの。