【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

193 / 588
報告会

「……って感じで、ケヴィン・モーニングスターと知り合いになったの」

 

 王妃様の素敵な罠パーティーに出席した翌日、私はミセリコルデ宰相邸を訪れていた。突然のピンチでパニックになっていた私を助けてくれたフランに、正式にお礼をするためだ。

 

 メイドさんの案内で手入れの行き届いた庭園を進むと、一人用オープンカフェっぽいスペースがあり、そこでフランが出迎えてくれた。

 同じ庭園のティースペースだけど、王宮のバラ園よりもずっと落ち着いていて、居心地がいい。さすがミセリコルデ家、趣味がいい。

 

 フラン自身も、ハルバード城にいた時よりも若干リラックスした恰好をしている。

 ここにいる彼は、ハルバードの補佐官ではなく、ミセリコルデのご令息だからだろう。

 

「そうか。子供たちだけで集まると聞いていたから心配していたが、うまくしのいだようだな」

「王妃様に比べたら、世間知らずな女の子の集団なんてかわいいものよ」

 

 こっちは大人相手に3年も領主代理をしていたのだ。

 同世代の女の子のしょうもない攻撃で傷つくほどやわじゃない。

 でもその経験と自信を思い出すことができたのは、フランのおかげだ。彼がいなかったら、私はただの小娘として血祭にあげられていただろう。

 

「今回は助かったわ。本当にありがとう」

 

 私が頭をさげると、フランの大きな手がその頭をくしゃくしゃとなでた。

 

「気にするな、と言っただろう。俺は俺として、当然のことをしたまでだ」

「むう……そんな風に甘やかさないでよ。フランがいないと何もできなくなったらどうするの」

「ふっ……それはそれで見てみたい気がするが」

 

 何故そこで鼻で笑われるのか。

 解せぬ。

 

「それで、ケヴィンと話したあとはどうなったんだ?」

「彼が王子様に呼ばれちゃったから、そこで終了。王子たちはともかく、ケヴィンとは早めにお近づきになりたかったんだけどね」

「未来の悲劇か?」

「そう。このまま王立学園入学まで彼を放っておくと、前途ある貴族の女の子が3人も死んじゃうの」

 

 そして、彼自身も大きく傷つくことになる。

 

「彼はねー、女の子に優しい、いわゆるチャラ男キャラなのよね」

「ちゃら……お?」

「チャラチャラして、女の子を何人も侍らせてるタイプ。ほら、彼っておしゃれで話がうまくて、女の子に対して愛想がいいから」

「……ちゃらお」

「彼がそうなったのは、モーニングスターのお家柄が原因ね。あそこって、女性ばっかりでしょ?」

「現在の当主も、女性だしな……」

 

 ハルバードが南の名門なら、モーニングスターは北の名門だ。ハーティア北部諸侯をまとめる大侯爵である。

 温暖な南部と違い、北部はとにかく冬の寒さが厳しい。

 農耕可能な期間が短いこともあり、産業は牧畜と林業がメインだ。北端には海岸線があり、漁業をしている地域もあるんだけど、その恵みをいまいち利用しきれてない。真冬になると海岸線が広範囲で凍っちゃうからだ。そのせいで、貿易拠点としてもカトラスほどは利用されてない。

 

「そういう厳しい土地柄だから、騎士伯家ほどではないけど、強い男性リーダーを当主にする傾向があったんだけどねー」

「だが、人は性別を選んで子を設けることはできないからな」

「親戚も含めて、一族全体で女の子ばっかり生まれたんじゃ、女子を当主にするしかないよね。一応、婿という形で男性を迎え入れることはできるし」

「クレイモアの時のように、アギト国がひそかに男子を抹殺していたんじゃないのか?」

「ううん、これは完全に偶然みたい。攻略本に『偶然』ってはっきり書いてあるし」

「……女神の御言葉なら、信じるしかないか」

「それで、現モーニングスター侯爵の娘が女の子ばかり3人産んで、今世代も女系になるのか、って思われてたところに産まれたのが、ケヴィンなのよ」

 

 周り全部女子ばかりのところに産まれた、久しぶりの男子。

 それが彼の悲劇の始まりだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。