【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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令嬢たちの婚約事情

「王立学園の授業を受けるのに、どうして婚約者が必要なんです?」

「男あさりが目的でないと証明するためね」

「……はぁ?!」

 

 なんだその理由!!

 

「王立学園が地方貴族たちの貴重なお見合いの場になっていることは、知っているわね?」

「……はい」

 

 私は頷いた。ゲームもそういうイベントがメインだったしね。

 

「だから学園内では男女の交流がそれなりに認められているし、騎士科と女子部の合同授業もあるわ。でも、それだけじゃ足りないっていう女子がいてね……」

「女子部以外の授業にもぐりこんで、男子生徒に声をかけた?」

「それだけならよかったんだけどね。うっかり高位貴族の男子を口説き落とすことに成功しちゃって、大問題になったのよ」

 

 なんて迷惑な。

 

「それ以来、婚約者のいない女子が外部科目を申請しても、断られるようになったの」

「ううう……学校側の言いたいことはわかりますけど、面倒くさい……。男でも女でも、好きな科目を勉強すればいいじゃないの~……!」

 

 私は思わず頭を抱えてしまった。

 男女の教育格差がつらい。

 でも、血統と婚姻が重視されるこの世界では、学校の懸念もわかるので、横暴だと抗議するわけにもいかない。

 

「申し訳ありません。姉上が当たり前のように他学部の授業を受けていたので、事情がわかりませんでした」

「あのころは私にもキールがいたからね。男子がこっちの裏事情を知らないのは仕方ないわ。社交にあわせて、リリィちゃんの縁談のことも考えていきましょう」

 

 マリィお姉さまはにっこりとフランに笑いかける。

 

「ね~フラン、あなたも相談に乗ってくれるわよね」

「……そういうことは、自分が婚約してから言ってください」

 

 ばちり、となぜか姉と弟の間で火花が散った。

 ええええ、今のやりとりのどこに喧嘩するポイントがあったの?

 ミセリコルデ家ワカラナイ。

 

「キールが死んでもう3年になります。婚約者不在の理由が理由ですから、今まで口出しする者はいませんでした。しかし、そろそろ決めないと面倒な親戚が介入してきますよ」

 

 現在のマリアンヌさんは、フランよりひとつ上の22歳。

 貴族の一般的な感覚であれば、結婚していてもおかしくない、というかあと数年で行き遅れと呼ばれてしまう年齢だ。しかし、彼女には婚約者すらいない。

 3年前の宰相暗殺未遂事件の時に婚約者が殺害されてしまったからだ。

 

「はいはい、わかってるわよ。女宰相になるためには、男性の配偶者が必要だし。でも条件のあう相手がいないのはしょうがないじゃない」

「ええっ、マリィさん、モテそうなのに?!」

「ありがとう。でもモテるだけじゃダメなのよ。私の夫はあくまで宰相の配偶者。結婚したら宰相になれると勘違いしている男じゃ困るの」

 

 男尊女卑な階級社会だもんね。

 女子が家を継ぐって言ってても、婿に入ったら好きにできると思う男性は多いよね。

 

「能力の高い男に限って、自分が主導権を握りたがるのよね……。かといって、こっちに寄りかかってくる無能も遠慮したいし」

「そう考えると、見つけるのは難しいですね」

 

 宰相家にまで入って、野望のひとつも持たずにいられる男性は少数派だろう。

 

「はあ……どこかに、能力が高くて家柄がよくて次男坊以下で、前に出ず私のことを一番に支えてくれる可愛げのある男っていないかしら」

「条件をひとつかふたつ変更したら、いるんじゃないですか」

 

 フランがため息まじりにつっこむ。

 

「変更できないから困ってるんじゃない。特に可愛げについては絶対妥協しないわよ」

 

 最重要ポイントはそこなのか。

 それでいいのか宰相家。

 

「私のことはいいのよ。リリィちゃんは気になる男の子はいないの?」

「でしたら、先日お茶会でお見掛けしたケヴィン・モーニングスター様がかっこいいな、って思います」

「……え」

 

 マリィお姉さまは言葉を失ったあと、フランを見て私を見て、それからもう一度フランを見た。

 なんだその視線移動。

 意味がわからん。

 

「そうなの?」

「はい!」

 

 私が笑顔で答えると、マリィお姉さまも笑い出した。

 

「わかったわ。じゃあ、モーニングスター家のお茶会にも出られるようにしてあげる。楽しみにしててね」

「はーい!」

 

 お姉さま大好きっ!

 

 

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