【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

204 / 588
モーニングスター侯爵

「おばあ様、ご機嫌うるわしゅう」

 

 ケヴィンが祖母に向かってお辞儀した。同時に3人の婚約者たちも頭をさげる。私も一緒になって、頭を下げた。

 

「みんな元気そうで何より。ケヴィンも……それからあなたたちも」

 

 モーニングスター侯爵は、私たちに笑いかける。

 

「あら、あなたは初めて見る顔ね」

「リリアーナ・ハルバードと申します。本日はお招きありがとうございます、お目にかかれて光栄です」

「ハルバード……あなたが侯爵家の……」

 

 侯爵様は目を見開いた。

 貴族特有の、探ったり値踏みしたりする見詰め方じゃない。

 何かとんでもないものを見つけた時のような、驚き混じりの視線だった。

 

 はて。

 何かそんなに驚くようなことやったっけ?

 ……色々心当たりはあるけど、多すぎてわからない。

 

「おばあ様?」

 

 ケヴィンも祖母の態度を不審に思ったみたいで、不思議そうに声をかけた。

 それを聞いて侯爵様は、はっと我に返る。

 

「ねえ……ケヴィン、楽しくおしゃべりしていた所に申し訳ないんだけど、リリアーナ嬢をお借りしていいかしら?」

「え」

「少しだけ、ふたりでお話したいの」

 

 何故に。

 ケヴィンはともかく、モーニングスター侯爵と私に接点はない。

 私にも、侯爵にも、特別話す用事なんてなかったはずだけど。

 

 まさか、ケヴィンの第四の婚約者候補作戦を察知してお説教コース?!

 

 内心パニックだけど、この場で侯爵様の誘いを断るという選択肢はない。私はひきつった顔で笑い返すしかなかった。

 

「侯爵様と直接お話ができるなんて光栄ですわ。貴重な機会に感謝いたします」

「いい子ね。ついていらっしゃい」

 

 侯爵はにっこり笑うと優雅に踵を返した。

 すたすたと歩いていく後ろに、私は慌ててついていく。

 

 いやマジで全然用件がわかんないんだけど!

 

 パーティーの場で、ホストとお客が個別に話すのはよくあることだ。

 でも、場所を変えてふたりっきり、なんてことはまずない。それは他のお客をないがしろにすることになるからだ。

 でも、そんな異例の扱いをしてまで、私と話したいってことって何だろう。

 

 私があわあわしているうちにも、侯爵様はどんどん屋敷の奥へと進んでいく。

 

「ここから先はプライベートエリアなの。護衛の子は遠慮してちょうだい」

 

 こっそり後ろからついてきていたフィーアを振り返って、侯爵様はほほ笑んだ。顔は笑っているけど、有無を言わせない迫力がある。

 

「ご主人様……」

「大丈夫よフィーア、外で待ってて」

 

 私が命令すると、フィーアは引き下がった。

 

「ごめんなさいね、どうしても完全なふたりきりで話したかったのよ」

 

 そう言って、侯爵様は自分の護衛も退席させる。

 シンプルなつくりの客間で、私と侯爵様はふたりだけになった。

 

「お話とは、何なのでしょうか?」

 

 困惑している私の前で侯爵様は居住まいを正す。

 そして、深々と頭を下げた。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。