【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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仁義なき女子バトル

 女子寮に入るなり、女の子同士の喧嘩に出くわした私は人垣の前で立ち止まった。

 この騒ぎを避けようにも、彼女たちが上のフロアに通じる階段を塞いでしまっているので、迂回できない。

 

 それに3人とも知らない間柄でもないので、無視できなかった。

 

 ひとりは、元ケヴィンの婚約者のツンデレお嬢様ライラ・リッキネン。北の食材流通を一手に引き受ける大商人、リッキネン商会の娘だ。

 そしてあとのふたりはゲーム内で悪役令嬢リリアーナの腰巾着として活躍していたアイリス・メイフィールド伯爵令嬢と、ゾフィー・オクタヴィア伯爵令嬢だ。私がゲームに反して王妃と距離をとった結果、彼女たち自身が王妃の手下に収まっていたはずだ。

 

 3人の様子を見て私はこっそり首をかしげる。

 私の記憶では彼女たちに接点はなかったはず。というか出会う前にライラが『血のお茶会事件』で死んでいたはずだ。

 運命を捻じ曲げ、ライラが生き残ったことで接点ができたのだろうか。

 

「聞こえなかったのかしら。そこをどいてくれないと、部屋に行けないんだけど」

 

 ライラが不機嫌そうに言う。しかし、アイリスとゾフィーはにやっと、実にいやらしい笑顔になった。

 

「あら、この先は貴族専用のフロアですのよ」

「あなたのような爵位もないお家の方の部屋なんて、あるのかしら」

「はぁ?!」

 

 なんて絵に描いたようないびり。

 王妃様のもとで、女子同士の権力闘争とは何たるかを学んだ彼女たちは、まず最初のターゲットにライラを選んだらしい。

 

 確かに三階は中堅から高位貴族むけのフロアだけど、女子寮の部屋割りにはもうひとつルールがある。それが寄付金の額だ。

 ライラの実家リッキネン商会は、娘を侯爵家の婚約者に推せるほどの大商会である。

 そこらの貴族より、よっぽど格式が高いし裕福だ。

 本来はそう簡単に下に見れる相手じゃない。

 

 でも……。

 

「そもそも、よく学園に入学できましたわね?」

 

 クスクスとアイリスが笑う。それを聞いてゾフィーも笑う。

 

「だって、婚約者にふられたんでしょう? しかも、恋愛対象に見れないからって……」

「ふふ、私だったら恥ずかしくて外にも出られませんわ」

 

 今のライラには、格好の攻撃材料がある。

 ちょうどいいカモ、というわけだ。

 

「そんなの、あなたたちに関係ないでしょ」

「私たちは、令嬢としてのふるまいを語っているだけですわ」

 

 クスクス、クスクス。

 アイリスとゾフィーが笑うたびに、少女たちの間に嫌な空気が流れる。

 

 私は一歩、前に踏み出した。

 

 ダメだ。

 これは何かダメだ。 

 そのままにしちゃいけない。

 みすごしたらダメなことだ。

 

「ごめんなさい、フィーア。早速だけど騒動に首を突っ込むわ」

「謝罪は不要です。周囲の警戒はおまかせを」

「助かるわ」

 

 私はずいっと少女たちの人垣に割り込んだ。ライラとアイリスたちの前に立つ。

 

「あなたたち、何を騒いでるの?」

 

 彼女たちの視線が、一斉に私たちに向けられた。

 

 

 

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