【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

262 / 588
ケヴィンの騎士道

「久しぶりだね、これから魔法科の授業?」

 

 ケヴィンは左右に女の子を侍らせたまま、にこにこと私に笑いかけてきた。

 え、なんなの。

 これってどういう状況なの。

 っていうか、ケヴィンさん? 女の子と一緒にいるのに他の女の子に声かけて大丈夫?

 みんなずっとにこにこ顔のままだけどさあ!

 

「リリィと一緒にいる子は、初めましてだね。俺はケヴィン・モーニングスター。よろしく」

「せ、セシリア・ラインヘルトです……」

「ラインヘルト! そうか、君が噂の才女だね。かわいくて賢いってすごいな」

「ええええええ私はそんな」

 

 突然ストレートに誉められて、セシリアが真っ赤になる。

 その様子を見ていた女の子たちは、上品な仕草でケヴィンから離れた。

 

「ではケヴィン様、わたくしたちは授業に戻ります」

「うん、またね」

「ごきげんよう」

 

 女の子たちは丁寧にお辞儀すると、笑顔で去っていった。

 うむ、わけがわからん。

 

「どうして婚約者がいたときよりモテてるの?」

「う~ん、あの子たちはモテてるわけじゃないよ」

 

 ケヴィンは苦笑する。

 

「彼女たちが俺と一緒にいるのは、安全だから。俺は正式にゲイだって公表しているから、間違いが起きようがないでしょ?」

「まあ……そうよね」

「でも、周りの男からしてみれば、モーニングスター家の男がそばにいることには変わりない。彼女たちに気があったとしても、強引に手を出すことはできなくなるよね」

「つまり、さっきのアレは彼女たちを守るため?」

 

 ケヴィンなりの騎士道、ということらしい。

 

「そういうこと。ラインヘルト嬢もこっちの授業で何か困ったことがあったら、俺のところに来て。いつでもかばってあげるから」

「はい……ありがとうございます」

「私にはないの?」

 

 つっこんでみると、ケヴィンは笑いだす。

 

「君は最強の護衛を連れてるじゃない。魔法科にだって従者を入学させてるし。下手にかばったら恨まれるから、やらないよ」

「懸命なご判断と思います」

「逆に、フィーアが困っている時は俺のところに来ていいからね。友達の身内は、俺の身内でもあるから」

「お気遣い感謝いたします」

 

 無表情ながら、フィーアが頭をさげる。下心のないストレートな好意はうちの護衛も嬉しいみたいだ。

 

「ふたりは魔法科の授業を受けるんだよね? 俺も受けるから一緒に行こう」

 

 おっと、そういえば授業のためにこっちまで来たんだった。

 ケヴィンに連れられて、私たちも歩き始める。

 

「騎士科のほうはどう? ヴァンとジェイドが一緒なのよね?」

「えーと……」

 

 尋ねると、ケヴィンは微妙な顔になった。端正な顔を歪ませて首をひねる。

 

「落ち着いてるといえば落ち着いてるんだけど……いや、やっぱアレはアレだよなあ……」

「ケヴィン?」

 

 なんだその不穏な言い回しは。

 ケヴィンは疲れたため息をもらす。

 

「ん~なんというか、説明しづらいんだよね。見ればわかるよ」

 

 奥歯にものが挟まったような顔のまま、ケヴィンは講義室のドアをあけた。

 

 そこには、教室の奥の端に仏頂面で座るヴァンと、教室の前の端でヘルムートと一緒に不機嫌そうな顔で座るオリヴァー王子がいた。

 

 うわーこの教室、空気悪ぅ……。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。