【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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ダンジョンクリーチャーって実際に見ると怖くね?

 女神のダンジョン攻略を始めた私たちは、早速ゲームの設定通りザコ敵と遭遇していた。ケイヴラットと名付けられたそいつは、序盤でプレイヤーに蹴散らされるためだけに配置された敵だ。

 しかし、それはゲーム機の中の話。

 所詮モニターの中の出来事だから、ザコ敵無双ヒャッハー! なんて台詞が吐けるのだ。

 異常にデカい敵意むき出しの獣に睨まれたら、普通に怖い。

 

「……っ」

 

 しかもこっちは一撃いれられたらおしまいの、ザコ敵以下のザコプレイヤーキャラである。

 一歩さがった私の前に、セシリアが立った。彼女はボーナスボックスから手にいれたナイフを手に、しゃんと背筋を伸ばしてケイヴラットを見据えている。

 

「ここは私が」

「その必要はないよ」

 

 パチン、と指を鳴らす音が響くと同時に、こてんと大ネズミはその場に倒れた。その姿はあっと言う間に光の粒となって消え、後には討伐報酬っぽいネズミの牙が残される。

 

「ユラ?」

「まずは僕を頼れって言ったしね。当面の護衛は任せなよ」

 

 そう言ってユラはセシリアに笑いかける。

 あの死にっぷりから察するに、即死魔法っぽいものを使ったらしい。山ほどスキルを持つ彼にとってはネズミ一匹殺すくらい朝飯前だ。

 

「それで? こうやって敵を殺しながら進めばいいの?」

「……まずはそれでいいと思う」

 

 私は大きく深呼吸してから返答した。デカい獣怖いとか言ってられない。ダンジョン脱出のためには、ナビ役の私がしっかりしなきゃ。私はマップと攻略本を見比べながら歩きだす。

 歩く途中、何度か動物の姿をした敵キャラが現れたけど、それらは全てユラの即死魔法で片付けられた。

 

「ラスボスの化身が味方になるとすさまじいな……」

「ふふ、弱体化されてもスキルの数は変わらないからね」

 

 強敵が味方になったらめちゃくちゃ強い、というゲームのお約束が現実になったようなものだ。頼もしいけど素直に喜べない。

 

「ダンジョンを出て、もう一度敵対した時が面倒ですね……」

「敵わないって思ったら、いつでも降参してくれていいよ?」

「しません」

 

 ユラとセシリアの問答は相変わらず不毛だ。否定されるのがわかってるなら言わなきゃいいのに。でもなんかセシリアに拒絶されるのを楽しんでるフシがあるんだよな。

 

「何を考えてるんだか……」

 

 呆れながら首を振った私は、その先に目的のオブジェクトを発見した。

 

「宝箱発見!」

「あの中にスキルアイテムがあるんですね。行きましょう!」

「ええー……」

 

 はしゃぐ私たちとは対照的に、ユラの顔が今日何度目かの困惑顔になる。

 

「岩ばかりの洞窟に唐突に宝箱が置いてあるって……どう考えてもおかしいでしょ」

「そう言われても、そういうお約束だし」

「誰と約束してるの」

「ゲームシステム?」

 

 そこにつっこみをいれていてもしょうがない。ボックスを開けると、キラキラと淡い金色の光を放つ本が出てきた。セシリアに渡すと本は光の粒になってすうっと消えていく。

 

「……セシリア、どんな感じ?」

「ううん、表現し辛いですね。急に感覚が鋭くなったような気がします」

 

 今セシリアが覚えたのは『気配感知』のスキルだ。ゲームではダンジョン内の敵の居場所がマップ内にマーキングされるようになる。試しにマップ画面を開いてみると、今まで通ってきた通り道に赤や黄色のアイコンがいくつも出現していた。

 

「これがスキル取得の効果?」

 

 ユラがマップを覗き込んで首をかしげる。

 

「多分。セシリアが感じてる敵の気配をマップ上に可視化したらこうなった、って感じかな?」

「自分でもなんとなくの気配はわかりますけど、こうやってマップで共有できると便利ですね」

「ダンジョン内でしか使えないスキルだけど、敵が今どこにいるかって情報は大事だからね。うまく使っていこう」

 

 先に進もうとメニュー画面を切り替えようとした私は、情報の一部がおかしいことに気が付いた。

 

「ん?」

 

 これってどういうことだ?

 

 




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