【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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深淵を覗く深淵

「ダンジョンで、モンスターの生態を勉強したとして、それが全部利用できるかどうかは怪しいな」

「何故そう思うんだ?」

 

 婚約者の考えに、クリスはきょとんと首をかしげる。

 

「だって、ここに邪神の親玉と繋がってる奴がいるんだぜ? こいつのことだ、セオリー通りに倒しにいったら足元をすくわれるような罠を仕掛けそうで怖い」

「コカトリスだと思って石化対策だけして戦ってたら、腐食の呪いを使われて全滅するとか、ありそうだよね」

 

 ここまで同行してきて、ユラの根性の悪さは心底理解させられている。私は大きく頷いた。

 

「やだなあ~さすがにモンスターの特性までは変えられないよ。ちょっと行動パターンを変えるくらいで」

「それだけでも迷惑だっての。だいたい、特性は変えられないっていうセリフ自体も罠な可能せいがあるし」

「ひどい誤解だ。僕ほど正直に生きてる男は他にいないよ?」

「嘘しか言ってないじゃん!」

 

 口先三寸と謀略で世界を滅亡に導いてきた男がいまさら正直ぶったところで、誰が信用するか。心の底から迷惑な男である。

 

「とはいえ、目の前のダンジョンは建国神話やサヨコの攻略本の知識が有用なんだろう。出た後のことは、出た後で考えよう」

「クリスの言う通りだな。ダンジョンの中でごちゃごちゃ考えててもしょうがねえ」

「さっきの戦闘で兵装スキルが効果的だってことはわかったし、うまく使っていこう」

 

 ケヴィンがにこりとほほ笑む。

 その笑顔はすごく心が癒されるんだけど。私はあまり素直に頷けない。

 彼らは確かに優秀なんだけど、パーティー全体で見るとちょっとバランスが悪いんだよね。ダンジョンの出入りができない以上、このメンバーで頑張るしかないんだけど。

 

「ふふ……」

 

 私の懸念がわかっているんだろう、ツノつき悪魔がにやにや笑う。それを見てヴァンが目を吊り上げた。

 

「お前、何が言いたい」

「いや別に~? 兵装スキルの活用、いいんじゃない。それでダンジョンを制覇できたらみんな幸せなんだし」

「いやに含みのある言い方だな? 一緒に行動しているんだ、必要な情報は共有しろ」

「隠し立てするほどのことじゃないよ。女神の使徒だって気づいてることだもの」

 

 本当か? とヴァンたちに視線を向けられて私は頷く。

 

「実はちょっと……このメンバーで行動し始めてから気づいたことだから、今まで言わなかったんだけど」

 

 セシリアも気づいていたのか、困り顔で私と一緒に頷く。

 

「どうせ、ボス部屋に行ったら嫌でもわかるよ。あの先にいるのって、マンティコアでしょ?」

「なんでユラがボス情報を知ってるの」

「だって僕が教育用に作るなら、絶対あそこに配置するもの。次の階層のボスがハルピュイアで、更に次のボスはスキュラでしょ」

「ぐっ……」

「おもしろいよね~。自分の手駒を他人に攻略させるとしたら、どう配置するかって考えたらダンジョン設計者の思考が読めるんだもの」

 

 なんという思考の逆転。

 これはリバースエンジニアリングと言っていいんだろうか。

 改めて思う。

 有能な敵キャラなんていらねぇ!




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