【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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避難生活の朝

 翌朝、私たちを叩き起こしたのは、スマホの振動音だった。

 もちおから報告をもらった私とクリスはすぐに身支度を整えて、フィーアを連れて外に出る。門に向かって歩いていると、ヴァンとケヴィンの銀髪コンビがやってきた。

 

「ふたりも、スマホに起こされたとこ?」

 

 尋ねたら、ケヴィンは首をすくめた。

 

「そんなところだね」

「いきなり枕元で音がするとびっくりするのな……」

 

 ヴァンがしかめっつらで首を振る。

 スマホ目覚ましは現代日本人にとって割とよくある日常だけど、ファンタジー育ちのふたりには完全な非日常だ。驚くのも無理はない。

 

「そのうち慣れるわよ。そういえば、フランとジェイドは?」

 

 スマホが支給されているのは彼らも同じだ。連絡を受けた彼らが、そのままじっとしているとは思えない。

 

「あのふたりは先に門に向かってる。俺たちはリリィたちと合流しておけって」

「わかったわ、行きましょ」

 

 私たちは並んで門に向かう。

 門へ向かう理由は昨日と同じ。学園に何者かが近づいてきている、ともちおから報告を受けたからだ。

 同じ訪問者の接近にも関わらず、のんびり対応してるのは、彼らが見知った相手だからだ。

 

「フラン!」

 

 城門の裏側から、物見やぐらに声をかける。

 黒髪に黒衣の青年がさっとこちらを振り向いた。彼の隣には白いマントを羽織った黒髪の青年の姿もちゃんとある。

 

「状況は?」

「もうすぐ到着しそうだ。お前たちも確認するか?」

「はーい」

 

 私たちはぞろぞろと物見やぐらを上がっていく。

 

「わ……本当に来てる」

 

 王立学園と王都を結ぶ街道には多くの人影があった。

 整然と歩を進める騎馬と歩兵。そして物資を乗せた荷馬車たち。その規律正しい様子を見るだけで、彼らが正式に訓練を受けた騎士たちだということがわかる。

 ハーティア王国騎士団、正規兵だ。

 宰相閣下の『救援を送る』という約束が、早くも実現したらしい。

 

「まさか、一晩で援軍が来るなんて思わなかったわ」

 

 驚く私を見てフランが苦笑する。

 

「ここにいるのは重要人物ばかりだからな。それに、指揮官自身がいてもたってもいられなかったんだろう」

「指揮官?」

「先頭の騎士をよく見てみろ」

 

 フランに促されて、騎士たちの隊列に目をこらす。

 彼らの先頭はひときわ雄々しい黒毛の軍馬だった。跨っているのは立派な騎士服を着た美丈夫だ。指揮官らしいその騎士の立ち姿には見覚えがある。ここからは黒髪までしか確認できないけど、きっと間近で見たら瞳の色は私と同じ赤なんだろう。

 

「お、お父様……?!」

 

 この忙しい時に、第一師団長が何やってるのよ?!

 

「ここにはハーティア唯一の跡取王子と、隣国の王女がいる。第一師団長がわざわざ迎えに来ても不思議はないんじゃないか」

「おかしくはないけどね?」

 

 絶対半分くらいは私情だと思うの!

 

 




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