【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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声を大にして叫びたい

「リリアーナ!」

 

 開け放たれた城門をくぐり、学園内に入ってきたお父様は私の姿を見るなり、馬を降りて駆け寄ってきた。

 待って最強騎士。

 指揮官がいきなり隊列から離れて家族のもとに走ってくるんじゃありません。

 応えていいものかどうか迷っていたら、父様の部下らしい王国騎士たちは苦笑いしながらそれぞれうなずく。どうやら、父様のフリーダムな気質は部下全員わかっているらしい。

 それはいいことなのか悪いことなのか。

 

「お父様」

 

 とはいえ、私を迎えに来てくれた父様を無碍にするわけにはいかない。

 私も駆け寄ると、父様は笑顔でぎゅっと抱きしめてくれた。

 

「お前が無事でよかった」

「私もお父様に会えてうれしい」

 

 なんだかんだ言っても、やっぱり家族に会えるとほっとする。みんな被災してるなかひとりだけズルしちゃって悪いかな、と思うけど安心してしまうのは止められなかった。

 父様も私の無事を確認して安心したのか、ほっと息を吐いた。

 私から体を離して顔をあげると、私の後ろにいる同級生たちを見た。

 

「君たちにも、怪我はないようだな。オリヴァー王子と、シュゼット姫は?」

 

 王国騎士として、王族の保護を真っ先に考えるのは、当然の優先順位だ。

 ヴァンが男子生徒を代表して一歩前に出る。

 

「オリヴァーは問題ありません。現在はヘルムートの護衛のもと、寮の部屋で寝ています」

 

 女子生徒の安否報告は私の仕事だ。

 

「シュゼット姫にもお怪我はありません。避難所の部屋で休んでいただいています。あちらも同級の女子生徒がついているので、安全は確保できています」

「ありがとう。彼らが無事なのは、きっと君たちが頑張ってくれたおかげだな」

 

 父様は騎士団長の顔でほほえむ。

 

「ここからの安全確保は私たちにまかせてくれ。誰か、二名ずつ別れてオリヴァー王子とシュゼット姫を保護しろ」

 

 指示を出されて、騎士数名が隊列から離れた。それを見てジェイドとフィーアが動き出す。

 

「案内します」

「よろしくお願いします」

 

 男子寮はともかく、女子寮生徒が今どこで寝てるかなんて、わからないもんね。部屋にいきなり騎士が入ってきたら怖いだろうし。女子のフィーアが付きそうのが無難だと思う。

 彼らが去っていくのを見送ってから、私は改めて父様を見上げた。

 

「ありがとう、お父様。こんなに早く、助けにきてくれると思わなかったわ」

「宰相閣下と連携しやすくなったからな。避難誘導がスムーズにできた」

 

 父様はいたずらっぽく笑うと、右耳をトントンと軽くたたいた。そこには、明らかに異質なものがついている。イヤーカフみたいなアクセサリーを装ってるけど、それはどう見ても片耳用イヤホンマイクだ。

 

(マリィお姉さま、配達成功してたんだ)

 

 よかった。

 この世界ではスマホもドローンも再現不可能な超オーパーツだ。そう何個も壊されるわけにはいかない。

 

「ハルバードのお屋敷はどうなってるの? お母様は怪我してない?」

「屋敷はほぼ無傷だ。レティシアがびっくりして転んだ拍子に、少しすりむいたくらいで問題は起きてない」

「よかった……」

 

 私がほっとしていると、今度は父様が心配そうな顔になった。

 

「女子寮が倒壊した、と報告を受けたが……本当に?」

「ええ。一階から四階まで全部潰れて、ぺしゃんこよ」

「住む場所がないのは、困ったな……」

「屋敷は無傷なんでしょ? だったら、私と、ついでにシュゼットやクリスも泊めてあげられない? それで、落ち着くまでハルバード城で……」

「ダメだ」

 

 私のウキウキハルバード留学計画は、ダメの一言で終了した。

 父様はものすごく嫌そうな顔で、私に説明する。

 

「最重要護衛対象として、オリヴァー王子とシュゼット姫、クリスティーヌ姫を王宮で直接保護することになった」

「え」

 

 国として王族を重要視するのは当たり前の話だけどさ。

 

「……また、王子の婚約者であるお前も、王族に準ずる立場として王宮で保護されることになる」

「ええええ……」

 

 つまりなんですか?

 計画がダメになった上、私まで王宮で暮らさないといけなくなったと。

 

「こういう時って、下手に被災地にとどまるより地方に逃がしたほうがいいんじゃないの」

「数年前から宰相閣下の提言で大規模な補修工事と食料の備蓄が進んでいたんだ。おかげで、今この地域で一番安全な場所は王宮なんだ」

 

 そうですねー。

 王宮が無事なら下手に地方に移動させないほうがいいですよねー。

 

「不本意だと思うが、我慢してくれ」

 

 今日こそ声を大にして叫びたい。

 王子との婚約関係、破棄させてくれませんかねえぇぇー!!

 

 

 

 

 

 

 

 




何故か墓穴につながるファインプレー!
さすがの宰相閣下もこの事態は予想してなかったでしょう。

というわけで、クソゲー悪役令嬢地震災害編これにて完結です!
気になるところで終わってますが、続きをお楽しみに、ということで!

しばらくプロット作成のために更新をお休みさせていただきます。
再開までしばらくお待ちを!!!



いつも読んでくださってありがとうございます!
よければレビュー、評価よろしくお願いします!!
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