【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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耳うどん

 イヤホンマイクを入手したことで、いちいちスマホの画面を見なくても通話できるようになった私たちだけど、今度は別の問題に直面することになった。

『ファンタジー世界で耳にイヤホンつけて歩いてたら、結構目立つよね?』問題である。

 ある日突然上司、それも宰相や騎士団長が耳に謎のアクセサリーをつっこんで仕事し始めたらやばい。少なくとも私は、耳の異常事態が気になって、仕事に手がつかなくなる自信がある。

 イヤホンはスピーカータイプでも骨伝導タイプでも耳に音を届ける都合上、サイズの圧縮に限界がある。

そこで行われたのがマリィお姉さま発案の、木を隠すには森の中『なんか流行りのアクセサリーってことにしよう』作戦である。

ちょうど父様が被災地を飛び回っていたのを利用し、妻が夫の無事を願ってプレゼントしたアクセサリーである、と侯爵夫妻のラブラブエピソード演出したところ社交界で大ヒット。

王宮はイヤホンマイクっぽい耳飾りをつけた男女であふれかえっている。

 超アイテムを隠すためとはいえ、娘の私は苦笑いするしかない。

 いいのかなあコレ。

 絶対、ハーティアファッション史で、謎のオーパーツ扱いされるヤツだと思うんだけど。

 

「でしたら、こちらの伊達眼鏡はいかがでしょう」

「目元を知的に彩るアイテムとして、最新トレンドにあがっていますわ」

 

 留学生たちが小箱から眼鏡を取り出す。金と透明度の高いガラスでできたそれは、視力矯正アイテムというよりは、やっぱり宝飾品に見える。

 このトレンドの黒幕も、宰相家だ。

 宰相家の美形姉弟がそろってスマートグラスをかけるようになったのを見て、「かっこいい」と社交界の貴族子女が褒めそやしたのが発端である。本人たちがおしゃれを楽しんでいる風を装った結果、王宮の眼鏡キャラ人口が増加した。

 この伊達眼鏡も、ハーティアファッション史オーパーツになりそう。

 

「耳飾りと眼鏡のどっちがオススメか、って話ならまだ眼鏡を推すかなあ。こっちなら、ブームが去ったあとも、使えると思うし」

「キラウェア宮廷でも、受け入れられやすいアイテムですわよね」

 

 それを聞いて、耳飾りを推していた留学生が口をとがらせる。

 

「でも、それじゃ面白みがないでしょう。お土産にするなら、この国でしか手に入らない品でなくては」

 

 異国情緒というやつだろうか。

 海外のお土産に、その辺のコンビニで売ってるお菓子をプレゼントされてもうれしくないのと同じ感覚だろう。

 確かに、この耳飾りは今のハーティア王宮でしか、お目にかかれないけど。異国情緒たっぷりすぎて、趣味の合わない人形もらってもうれしくない、という話もあるしなあ。

 

(イヤホンをごまかすデザインのせいで、耳飾りはちょっとダサいんだよねえ……)

 

 止めるべきか勧めるべきか。

 迷って天井を見上げた時だった。

 パァン! という派手な破裂音が響いた。

 




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