【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

515 / 588
ローゼリアの主張

 かつて、王妃づきだった侍女らしく、ローゼリアは背筋を伸ばして発言を続けた。

 

「私は、私の意志により侯爵令嬢を襲いました。すべては私ひとりで計画し、私ひとりで実行いたしました……王妃様は関係ありません」

「それはありえない」

 

 宰相閣下は彼女の言葉を真向から否定する。

 

「貴様がクリスティーヌ殿下とリリアーナ嬢に手をかけるには、いくつもの条件をクリアしなければならない」

 

 宰相閣下は、ゆっくりと一本ずつ指をたて始めた。

 

「まず王妃づきの侍女として雇われること、それが最低条件だな。そして、魔力式給湯器から火が出るよう細工するため、王宮全エリアに出入りする権限を得る」

「出世の努力を……しただけです」

「離宮の火事と橋の爆破には特殊な薬剤が使われていた。危険物の入手ルートも必要だな」

 

 離宮をあっという間に火の海にし、頑丈な橋を壊したのだ。

 真っ当な手段で手に入れた燃料じゃこうはならない。

 そして、と宰相閣下はまた指を立てる。

 

「留学生の脅迫手段も必要だな」

「なんだそれは?」

 

 突然降ってわいた言葉に、ランス伯が食いつく。

 宰相閣下は息をついて彼に目を向けた。

 

「さきほど、リリアーナ嬢の発言にあったでしょう。キラウェアからの留学生の荷物から火が出たようだと。ローゼリアは卑劣にも留学生を脅し、彼女の荷物の中に発火物を仕込んだのですよ」

 

 すっとフランが横から書類を一枚出した。

 

「彼女からはすでに、ローゼリアの罠にかけられ脅されたと証言を得ています。留学生の名誉を守るため、ここでは細かい脅迫内容については、伏せさせていただきます」

 

 証拠として受領するためだろう。

 この書類も文官のもとへと手から手へと運ばれていった。

 火の気のないリビングで、どうしていきなり火柱があがったのか不思議だった。しかし、そういうからくりがあったのなら納得がいく。

 

「ただ、留学生を陥れる罠はこの王宮で行われていました。ここでそれなりに人を動かす権限がなければ、実行できません」

 

 人を使う権限を持つ者。

 それは侍女ではない。王妃だ。

 

「そして、これが一番重要なのですが……王家の抜け道を知っていること」

「なぜそんなことが……いや、クリスティーヌ殿下が襲われたのは、抜け道の中だったか」

「まずローゼリアは留学生の荷物に発火物を忍ばせました。その後、抜け道を通って離宮に侵入し、侍女のタニアを殴打。留学生の荷物から出火し、殿下たちが避難し始めたのを見計らって橋を爆破しました。そして抜け道に戻り、殿下たちが避難してきたところを、ナイフで襲った。起きた事象をもとに組み立てた順序ですが、おおむね誤りはないでしょう」

「王家の抜け道を知っていなければ、実行不可能だな」

「抜け道の秘密は、王族と彼らの安全を守る近衛の一部しか知りません。だとすれば……」

 

 観客の視線が王妃に集まる。

 王妃づきの侍女だったローゼリアが接触できる王族は、王妃ただひとりだ。彼女以外、ローゼリアに手を貸せた者はいない、ってことなんだろう。

 あれ? それでいいんだっけ?

 ひっかかりを感じて、私は宰相閣下を見た。

 彼は薄く笑っている。

 

「お、お待ちください!」

 

 ローゼリアが声をあげた。

 

「違います! 王妃様は無関係! 無関係なのです!!!」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。