【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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再会議

「みな、よく集まってくれた」

 

 翌朝、結局王宮に泊まることになった私は、セシリアとともにふたたび王様の前にいた。それだけじゃない、王子に宰相閣下にフランにマリィお姉さまにグラストン、とあの場にいた主要メンバーのほとんどが再集結していた。婚約者を連れたクリスと、相変わらずモーニングスター家のブローチをつけたケヴィンの姿もある。

 いないのは、倒れたランス伯と王妃様くらいだろうか。

 もうひとつ違うことといえば、部屋が大広間から作戦室に変わったことだろうか。

 ギャラリーを集めて行っていた大法廷と違い、関係者だけの会議ということらしい。

 

「昨日発生した、ランス領の反乱について話したいと思う。……ギュスターヴ」

「はっ」

 

 国王陛下の指示を受けて宰相閣下が前に出る。その瞬間、作戦室のドアが乱暴に叩かれた。

 

「誰だ」

「私ですわ、陛下」

 

 入ってきたのは、カーミラ王妃殿下だった。

 優雅な足取りで部屋に入ってきたかと思うと、当然のように作戦室の椅子に座る。

 

「あなたは、逆賊を迎え入れた疑いで告発されています。本件に関わるべきではないと思われますが?」

 

 宰相閣下が王妃をじろりと睨んだ。

 でもその程度でひるむ王妃じゃない。にっこりと優雅に笑い返した。

 

「あら、疑いがもたれただけでしょう? 関わりが立証されたわけじゃないじゃない。国政に責任を持つ王妃として、出席する権利はあるはずだわ」

 

 立件されていない以上、自分は無実と言いたいらしい。

 

「……陛下」

 

 ちら、と宰相閣下が国王を見た。ふう、と国王の口からため息がもれる。

 

「好きにさせろ。どうせ会議の内容はすぐに王宮中に伝わる」

「……わかりました、まずはこちらをご覧ください」

 

 争っても無駄、と諦めたのか宰相閣下は会議を進めた。大きな紙をテーブルに広げる。

 

「なんだこれは」

 

 ひと目見るなり、国王陛下が眉をあげた。それらが非常に異質なモノだったからだ。

 まず紙質がおかしい。大きいのにペラペラのツルツルで、現代日本で見かけるコピー用紙みたいな質感だ。そして紙の表面に描かれた……というか印刷された画像は、どう見ても衛星写真である。遠く離れたランス領の現状を知るために、神の超技術を乱用したっぽい。

 

「ランスの状況を調べるために派遣した、特別な使い魔からの情報です」

「そんな技術の報告は受けていないが?」

「つい最近、ハルバード家との共同研究で実現したばかりの技術です。技術の詳細についはご容赦を」

 

 国王陛下はちらりと王妃を見てから、うなずく。

 彼女が王宮内で暗躍していること自体は、陛下も把握しているんだろう。敵対勢力にこれ以上情報を渡せないという宰相の判断に従う。

 

「使い魔の報告によると、ランス領のほとんどの地域に変化はありません。通常通りの生活が続いています。ただ……」

 

 とん、とランス領の中心を指す。

 

「領主の居城であるランス城が封鎖されています。跳ね橋もあげられ、まるで籠城戦でも始めたかのような様相です」

「なるほど、独立宣言といってもただ城を占拠しただけなのだな。兵力は?」

「不明です。この城の規模ですと……多くて千……」

「おそれながら」

 

 ランス城をよく知るグラストンが口をはさんだ。

 

「あの城は内部に複雑な構造を持っています。うまく運用すれば、二千は兵士をとどめておけます」

「なら、多めに見積もって二千五百程度か。ここにシュゼット姫とヘルムートがとどまっている、というのは本当か?」

「こちらをご覧ください」

 

 宰相閣下が紙を追加した。

 そこにはややぼやけた少女と少年の姿がプリントされていた。こっちはドローンが撮影した写真っぽい。少女の髪色はブロンズ、そして少年の髪色はくすんだ茶に見えた。

 

「使い魔がとらえた映像です。ぼんやりとしていますが、解析させた結果、シュゼット姫とヘルムートで、間違いありませんでした」

「まったく面倒な……どうしてこのようなことに」

 

 国王陛下のぼやきに、回答できる者はいなかった。




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