【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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退場劇

「馬鹿な……こんなことが起きるなど……」

 

 ふら、と偽国王がセシリアに向かって歩を進めようとした。その瞬間、いっせいに近衛が動く。どどっと数人がかりで偽国王を床に引き倒して抑え込んだ。

 

「なにをする! 無礼だぞ!」

「無礼はあなたでしょう」

 

 床に押さえつけられている偽国王を、宰相閣下が冷ややかに見降ろした。

 

「あなたの血統は否定された。今のあなた……いや、お前はどこの誰とも知れぬ馬の骨だ。王を偽った罪で、処されるがいい」

「ギュスターヴ!」

「連れていけ」

 

 宰相閣下の指示に従い、近衛たちは偽国王を謁見の間から引きずり出す。

 いれかわりに、オリヴァーが宰相閣下の前に立った。

 

「俺も一緒に行ったほうがいいかな?」

「……オリヴァーは別室で待機を」

「わかりました」

 

 指示を出すと、また別の近衛がオリヴァーを連れていった。

 

「宰相閣下、あの……」

 

 私はおそるおそる声をかけた。でも、王子がこのままでは寝覚めが悪すぎる。

 意図が伝わったのか、宰相閣下は苦笑した。

 

「心配せずとも、大丈夫ですよ。オリヴァーはただ、あのふたりの間に生まれただけです。自ら血統の偽りを告発し、彼らの罪を止めた功績もある。……連座でもろともに罰されるようなことはさせません」

「ありがとうございます」

 

 オリヴァーは勇気をもって出自を告白した。

 いきなり血統が否定された上に、極刑にまで処されるなんて、かわいそうすぎる。なんとか生き残る道を残してあげたい。

 

「いやああっ!」

 

 謁見の間に絹を裂くような金切り声が響いた。今度は元王妃カーミラが近衛に囲まれてヒステリーを起こしていた。彼女も退場すべき罪人だ。

 

「放して! 放しなさいよっ!」

 

 暴れまわるカーミラに、近衛たちがあとずさる。

 男相手ならともかく、ついさっきまで高貴な身分にあったご婦人を抑え込むのは、ためらってしまうらしい。

 

「カーミラ、落ち着いてください」

 

 女は女同士、と判断したのだろうか。ずっと後ろに控えていたマリィお姉さまがカーミラの前に出た。宰相の娘の姿を見て、カーミラがさらにヒートアップする。

 

「あんたなんかに、名前で呼ばれる筋合いはないわよ! どきなさい」

「いいえ、あなたには罪を償っていただきます」

「私の何が悪いのよ!」

 

 カーミラが叫ぶと同時に、マリィお姉さまの動きが止まった。やや間をおいて、つうっとその唇から赤いものがこぼれる。

 

「え……?」

 

 呆然と己の体を見るマリィお姉さまの腹には、何か棒のようなものが刺さっていた。棒を中心に赤いシミが広がっていく。

 

「……あ?」

 

 全員がマリィお姉さまに気を取られたその瞬間、視界が真っ白になった。

 

「な……!」

「煙幕だ!」

「視界を確保しろ!!!」

 

 近衛兵たちの緊迫した声が重なる。

 誰かが風魔法を使って、その場に広がった白い煙を押し流した。

 煙幕の煙が取り除かれたそこには、腹を刺されて床に倒れこむマリィお姉さまの姿があった。

 

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