【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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白銀の鎧『ミセリコルデ』

「リリアーナ……?」

 

 ミセリコルデのコクピットから顔を出した私を見て、フランは呆然とそこに立ち尽くした。気持ちはわかる。いきなり巨大ロボットが登場したかと思ったら、中から私が出てくるなんて予想外だと思う。

 でも、ぼんやりしている時間はない。サブモニターには、『ランス』のステータスが表示されている。

 

「早く乗って! 『ランス』はまだ生きてるわ!」

 

 私はフランに向かって必死に叫んだ。

 

「運ぶだけならともかく、私ひとりでバトルは無理いぃぃ!」

「わかった」

 

 フランはすぐにコクピットへとのぼってきた。私はメイン操縦席から副操縦席に移動する。入れ替わりに、フランがメイン操縦席におさまった。

 ハッチが閉まって、モニターに電源が入る。丸い全方位モニターに外の様子が映し出されて、外の様子を透視しているような感覚になる。

 

「フラン、操縦できるわよね」

「一応な」

 

 もちおに確認してもらったところ、白銀の鎧の操縦シミュレーターにフランがアクセスした記録(ログ)が残っていた。空き時間に操縦方法を確認していたらしい。

 彼にまかせればいけるはず、たぶん。

『ミセリコルデ』は立ち上がると後ろを振り返った。

 飛び蹴りを食らって地面にめり込んでいた『ランス』がゆっくりと体を起こしている。

 

『メインパイロットとコパイロットのペアリングを確認。両者の魔力連携を開始します』

 

 もちおが静かな声でステータスを通知してきた。すぐ目の前の席にいるフランが顔をあげる。

 

「ペアリング?」

「細かい説明はあと! 私ならフランの補助ができるってことだけ、わかってればいいわ」

「……了解。確かに、聞いてる暇はないらしい!」

 

 ぐん、と『ミセリコルデ』の機体が傾いた。ランスからの攻撃を避けたのだ。

 距離をとり、短剣(ミセリコルデ)を構える。

 

『貴様ぁアッ!!』

 

 行く手をふさがれて、『ランス』が吠えた。

 巨大ロボのハッチ越しなのに、叫び声がびりびりと響いてくる。

 

「あれに乗ってるのって、ヘルムートよね? めちゃくちゃキレてるけど、なにがあったの」

「お姫様を盗み出した」

「なるほど? 大事に囲ってたシュゼットを救出されたから、怒ってるのね。もちお、シュゼットの状況は?」

 

 声をかけると、すぐにイケボのレスポンスがあった。

 

『シュゼット様の生存を確認。現在、グラストン様とともに戦場から離れようとしています。同じ集団に、ジェイド様とツヴァイも含まれています』

 

 サブモニターに、固まって走る騎士たちの姿が映し出された。中央に、シュゼットを抱えて走るグラストンの姿がある。その両脇を白いマントを着たジェイドと、黒いフードを被ったツヴァイが並走していた。

 

「グラストンたちが守ってるなら、とりあえずは大丈夫ね。戦闘に集中してよさそう」

「だが、『ランス』の制圧は難しいぞ」

 

 ぎいん、と嫌な音が間近で響いた。

『ミセリコルデ』が、『ランス』の槍をはじいたようだ。

 

 二度、三度と鋭い槍が繰り出される。

 フランはそれらすべてを、短剣を使っていなしてみせた。そしてまた、相手から距離をとる。防戦一方だ。

 

「もしかして、反撃しづらい?」

「機体性能はほぼ同じのようだが、その分リーチの差が痛い」

 

 そういえば、こちらには剣が一本しかなかったんだった。

 しかも『ミセリコルデ』はとどめの剣。刃先は鋭いが、刀身は短い。そもそも戦場でメインウェポンとして使うような武器じゃない。

 

「慌てて出て来たから、武器の換装まではできなかったのよね」

 

 ぎん、とまた『ミセリコルデ』が槍をいなした。

 中で操縦しているのはヘルムート。腐っても王子の護衛役を務めるほどの槍の使い手だ。槍同士ならともかく、小さな剣一本では攻めきれない。

 

「問題はリーチの差……剣の性能自体はいいから、距離を詰められれば可能性はあるわよね」

「考えは間違ってない」

 

 すぐに肯定が返ってきた。この方向で考えてよさそうだ。

 

「じゃあ、私が隙を作るわ」

「何かあるのか?」

 

 フランが振り向かずにたずねてきた。見えないとわかりつつも、私はにやっと笑ってみせる。

 

「とっておきの、奥の手を披露するわ!」




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