【書籍⑧巻&コミック②巻、7月31日発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

593 / 593
姫君の思惑

 あっけにとられる私達の前で、シュゼットは早口に話を進める。

 

「ハーティアの王が正式に認めた縁談なら、キラウェアのお父様も無下にはできません。一度話し合いのテーブルにつかせさえすれば、あとはこっちのもの。ありとあらゆる手段を使って結婚してみせますわ」

「グラストンとのことは、フランからちょっと聞いてたけど、本当に本気だったんだ」

「もちろん。グラストン様こそ理想の夫ですの」

 

 おだやかにほほ笑んでいるようで、その目だけは笑っていない。ヘルムートに監禁されていた間に、何があったというんだろうか。

 

「えっと、野暮な気はするんだけど、理由をきいてもいい?」

 

 なにしろランス家は勇士七家にありながら、身内から反逆者を出した問題伯爵家だ。ヘルムート討伐戦に加わったおかげでなんとか面目を保っているけど、いつ取り潰しになってもおかしくない。

 それに、ここ数代失策が続いたおかげで財政状況もよくない。邪神の呪いのせいで長年の忠臣の多くも失っている。

 隣国の由緒正しい姫君が嫁いでくるメリットが一切見当たらないのだ。

 シュゼットをランス城から助け出したのはグラストンだと聞いているし、その間に吊り橋効果的なドラマチックなアレコレがあったのだ、と考えられなくもないけど。

 愛や恋を理由にするのは、ハーティアとの外交がやりたいからと、留学してきたシュゼットらしくない気がするんだよね。

 

「だって、グラストン様と結婚したら、ランス伯爵夫人になれるじゃないですか!」

「理由そこなの!?」

 

 まさか地位目当ての結婚だったとは。

 私が声をあげると、シュゼットはむっと頬を膨らませた。

 

「そこ呼ばわりは失礼でしてよ。ランスといえば、キラウェアとハーティアを繋ぐ要所ではありませんか。ランス家に嫁ぐということはつまり、両国の外交に携われるということではありませんか」

 

 あ、めちゃくちゃシュゼットらしい理由だった。

 この期に及んで、初志を貫こうとする彼女の姿勢には、いっそすがすがしいものがある。

 

「外交のためにご結婚されるのですか」

 

 これにはAIユキヒョウも驚いたみたいで、アイスブルーの瞳をぱちぱちと瞬かせている。

 

「もちろん、それだけではありませんわ。私が嫁げばランス家はキラウェア、ハーティア、両国から復興支援を受けられます。ランス家に騎士伯でいてほしい方々にとっては、利のある婚姻のはずです」

 

 それはうちの国にとってのメリットだ。外国人のシュゼットに背負わせていい問題ではないような気もするのだけど。

 

「それになにより!」

 

 シュゼットはさらに続ける。

 

「リリィやセシリアたちと交遊を持ち続けられますわ!」

「理由そこなの!?」

 

 同じツッコミが口をついて出てしまった。

 

「だから、『そこ』程度じゃありませんの! 誘拐騒ぎに巻き込まれておいて、何の対策もせずに母国に戻ったら、もう二度と国外に出してもらえませんわ! あなたがたと二度と会えなくなるなんて、絶対に嫌ですの!」

「えええ……」

 

 確かに、シュゼットの立場と経緯を考えたら、あり得る事態だけどさ。

 

「友情や外交を理由に、好きでもない人と結婚するのはさすがに……」

「すっ……好きでもない、とは、言ってませんわ」

 

 さっきまであれほど饒舌だったシュゼットの声が、あからさまに上ずった。みるみるうちに白い顔が赤くなっていく。そのすぐ後ろで、グラストンの顔も同じように赤く染まっていった。

 ふーん?

 へー?

 ほー?

 そういう理由もちゃんとあったんだ?

 やっぱり私達の知らないどこかで、ドラマチックな何かがあったらしい。

 

「恐れながら!」

 

 生暖かい空気にみたされた応接室に、突然グラストンの声が響いた。

 騎士は女王セシリアの前に跪く。

 

「私はシュゼット姫を救い出すために突入したランス城で、逆に姫君の気高さに救われました。夫として、シュゼット姫を一生お守りすることをお許しください!」

 

 まさに、一世一代の告白だった。

 




「クソゲー悪役令嬢コミカライズ②巻」
「クソゲー悪役令嬢書籍⑧巻」

2026年7月31日に2冊同時発売されます!


コミックも小説もめちゃくちゃ面白いので、よろしくお願いします!

コミック版はすでに予約がはじまっています!
できれば予約して、買って!!

詳細は活動報告に!



皆さまの応援が作品の寿命を延ばします!!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

起きたらマ・クベだったんだがジオンはもうダメかもしれない(作者:Reppu)(原作:機動戦士ガンダム)

朝起きたらマ・クベだった。▼そんなお話▼2019/07/20 追記▼色々と考えました結果、その他につきまして外伝として独立させることにしました。▼ご不便おかけしまして申し訳ありません。▼


総合評価:85404/評価:9.3/完結:181話/更新日時:2020年12月06日(日) 12:55 小説情報

七囚人『災厄の狐』(成り代わり転生者)(作者:百合って良いよねって思う)(原作:ブルーアーカイブ)

七囚人『災厄の狐』狐坂ワカモに成り代わったブルアカユーザーが、色々破壊しつつ頑張ってキヴォトスが滅ぶのを阻止する話。▼なお、若干二名ほどは彼女が先生であった時の記憶がある模様。▼一部、年齢や神秘などに関して独自設定・独自解釈があります。▼途中からガッツリ百合要素入って来る予定なので注意です。▼ほぼないも同然ですが性転換要素があります。▼また、「先生に惚れてな…


総合評価:9179/評価:8.81/連載:14話/更新日時:2026年06月19日(金) 18:00 小説情報

陸八魔アルに転生しました(作者:黒ヶ谷・ユーリ・メリディエス)(原作:ブルーアーカイブ)

そして失敗して反転して嚮導者になりました▼2026年05月03日(日) 18:00 本筋完結しました▼2026年05月08日(木) 18:00 嚮導者の後日談完結しました▼2026年05月16日(土) 18:00 絆ストーリー完結しました▼2026年06月07日(日) 18:00 あまねく奇跡を目指して完結しました▼匿名設定解除に合わせてPixivにも投稿し…


総合評価:15141/評価:8.93/完結:45話/更新日時:2026年06月14日(日) 18:00 小説情報

悪役令嬢の腰巾着に転生した俺、「流石はお嬢様!」と煽てながら全力で生き残る(作者:延暦寺)(オリジナルファンタジー/コメディ)

現代日本、ダンジョン攻略が国力を左右する世界。▼九条財閥の従者の家に生まれた俺は、▼幼い頃の顔合わせの最中、ここが前世でやり込んだRPGの世界であることを思い出す。▼目の前にいるのは、金髪縦ロールを揺らし高笑いする、仕えるべき主――悪役令嬢・九条葵。▼原作の彼女は、突如現れた原作主人公に負け、最後には魔人に堕ちて討伐される、哀れな噛ませ犬だ。▼当然、その横に…


総合評価:8512/評価:7.55/完結:25話/更新日時:2026年06月06日(土) 12:28 小説情報

【完結】ヘイズさん、結婚してください!(作者:ねをんゆう)(原作:ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか)

ヘイズさん最高!ヘイズさんLOVE!愛してる!結婚して!▼美少女治療師ヘイズ・ベルベットに出会ってしまった少年は、今日も今日とて彼女の元へと直走る。▼好き好き大好きヘイズさん!▼384回振られても諦めない彼と、流石にあしらい慣れてきた彼女。▼そんな2人がイチャイチャ(?)してるだけの話。


総合評価:17036/評価:9.16/連載:25話/更新日時:2026年07月03日(金) 00:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>