【書籍⑧巻&コミック②巻、7月31日発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる! 作:タカば
「リリアーナ嬢がミセリコルデを動かせた理由を語る前に、まず白銀の鎧の仕様について、ご説明したほうがよろしいでしょうね」
ディーがそう言うと、モニターに白銀の鎧の画像がずらっと並べられた。それぞれ、武装の違う鎧が全部で八体表示されている。
「白銀の鎧は武装の違いはあれど、すべて複座になっています。全体の操作を担当するメインパイロット、補助機能操作を担当するコパイロットの二人一組で操縦する設計です」
白銀の鎧のお腹のハッチが開く。確かに、彼の言葉の通り鎧の中には操縦席が縦に並んでふたつある。それはどの鎧も変わらない。
「コパイロット席は、聖女のために用意されたものでした」
「つまり白銀の鎧とは、聖女と勇士のふたりで動かすものだった?」
「その通りです」
「でもそれっておかしくないかしら」
私は頭に浮かんだ疑問をそのまま口にする。
「聖女は建国王とペアの存在でしょ? 勇士と一緒に鎧に乗る必要なんてない気がするんだけど」
「それは認識の相違ですね。白銀の鎧は、聖女が建国王と結ばれる前に作られたものですので」
「……え?」
私は首をかしげた。
建国神話では、ラブラブな聖女と建国王のために白銀の鎧が作られたとあったからだ。慣れ親しんできた神話の常識との違いに面食らう。
「聖女がその力を顕現した当初、彼女の周りには複数の有力者がおり、そのいずれもが夫候補と目されていました。女神はそれぞれに白銀の鎧を与えて聖女を乗せ、最も相性のよいものを夫とさせたのです」
つまり、建国王夫婦と七人の勇士、ではなく聖女と八人の夫候補、だったわけだ。
「その夫候補バトルを勝ち抜いたのが、建国王のソーディアンだった、ってこと?」
「はい、その通りです」
ディーはそこでドヤ顔になった。
なぜ。
管理AIには関係ない話のはずなんだけど。
「のちの建国神話にこのあたりのことが語られていないのは、国の権威のためでしょうね。建国王以外の者が、興国の祖となる可能性があったなど、歴史に残したくはないでしょうから」
確かに、『〇〇家の祖先が王になる可能性だってあった!』とか言い出されたら、国家権威が揺らいでしまう。国の礎を守るために、当時の恋愛事情は闇に葬られてしまったのだろう。
「建国王が聖女の心を射止め、彼女はソーディアンにしか乗らなくなりました。しかし、操縦席のように重要な箇所は簡単に仕様を変えられません。鎧には聖女を迎えいれる機能がそのまま残され続けることになったのです」
フランがふむ、とうなずく。
「今までの話を総合すると、白銀の鎧とは勇士七家の末裔だけでなく聖女の末裔にも操縦できる。そして、聖女にとって鎧の区別はなく、どの機体でも動かせるということか」
「はい、正確な仕様はそのようになります」
「だがそれでも疑問は残る。……リリィは王族直系の女子ではなくハルバード家の令嬢、つまり聖女ではない。この矛盾点についてはどう説明するつもりだ?」
「なにも矛盾などしておりません」
ふふ、とディーは白いヒゲをふるわせてほほえんだ。
「リリアーナ嬢もまた、聖女の遺伝子を持つ女子なのですから」
「クソゲー悪役令嬢コミカライズ②巻」
「クソゲー悪役令嬢書籍⑧巻」
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