【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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悪役令嬢の二つの縁談

 父様と母様から伝えられた唐突な縁談に、私は頭を抱えてしまった。ちらりと横を見ると、兄も同じような表情で額に手をあてている。

 

「アレを見て息子と結婚させたい……? 絶対何か裏があるだろ」

 

 うん。私もそう思う。

 

 だって、あんな大騒ぎした自分に王妃としての適性があるとは思えない。

 それに、宰相家の提案も異常だ。息子のフランドール・ミセリコルデは現在17歳。能力が高く、見た目も美しい彼なら、7歳も年下の私を連れてこなくても、つり合いがとれるご令嬢がいくらでもいるはずだ。

 

 この縁談、どっちにも隠された思惑がある。

 断言していい。

 

 まず、王妃様の意図を考えてみよう。

 ゲームで得た知識通りなら、彼女は普通の王妃ではない。国を蝕み、民を虐げ、人を陥れるのが楽しみ、という非常に迷惑な人物だ。

 要するに、とんでもなく性格が悪い。

 現在のハーティア国社交界が、めちゃくちゃにギスギスしていて、謀略が横行しているのは彼女が原因である。最高権力者の妻が率先して貴族社会に嫌がらせしてるんだもん、そりゃそうなるよね。

 

 そんな彼女が私に声をかけたのは……都合のいいおもちゃを見つけた、と思ったんだろうなあ。

 南部に絶大な影響力をもつハルバード侯爵家のご令嬢、しかも世間知らずでワガママなんてキャラ、社交界に放り込んだらトラブルを起こしまくるに決まってるもん。

 

 だとすると宰相家からの縁談は、王妃様へのカウンターかな?

 彼女の操り人形になる前に、自分のところに取り込んでしまおう、と思っているのかもしれない。

 

「末は王妃か宰相の妻か。うちの娘はなんてすごいんだ」

「ふふふ、将来が楽しみね」

 

 父様と母様は、状況を全く理解していないらしい。

 同時にふたつも舞い込んできた娘の縁談に、喜んでしまっている。

 

「お前……どっちか受ける気か?」

 

 兄が探るように私を見てきた。私は天井を仰ぎ見る。

 ゲームの中のリリアーナ、つまり小夜子が来る前までの彼女ならどうしていただろうか。

 

 ……きっと、ここで王妃様の手を取ったんだろうなあ。

 

 最高権力者である王の妻か、王を支える宰相の妻か。ときかれたら、やっぱり王の妻のほうが身分が上で凄そうだもんね。

 

 そして、王子の婚約者になり王妃のお気に入りの座に座ったリリアーナは、宮廷の悪しき価値観を植え付けられ、最低最悪の悪役令嬢になっていったのだろう。

 だとしたら、私が選ぶべき道は……。

 

「どちらもお断りするわ」

 

 逃げで!!

 

 王子と婚約して、社交界で暗躍するのもアリかな、って思ったんだけどねー。でもどう考えても今以上の無理ゲーでしょ。

 相手は、十年以上も社交界を操ってひっかきまわしている女狐だ。今の私が元のリリアーナより精神年齢が上っていっても、病院暮らしで半分引きこもりみたいな生活をしていた小娘じゃ太刀打ちできない。

 将来的に戦う必要はあるけど、何か対抗できる武器を手に入れるまでは、距離を取ったほうがいいと思う。

 

 宰相の息子であるフランドールとの婚約も却下。

 兄が敬愛しまくってる先輩に結婚を迫ったりしたら、兄弟関係がこじれまくるに決まっている。

 

 というわけで、ここはどちらからのお話も断って、兄との関係修復に集中しよ……あれ?

 

 そこで私は家族が絶句しているのに気が付いた。

 全員、宇宙人でも見るような目で私を見ている。

 

 あれー?

 何かやらかした?

 

 

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