【書籍⑧巻&コミック②巻、7月31日発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる! 作:タカば
白銀の鎧に乗り込んだ私たちは、モニターに映し出されるマーカーに従って、森の中を進んでいった。毒沼とガスに満たされた森に生き物の気配は少ない。
黒々とした木々をかき分けた先に、ひときわ異彩を放つ巨木がそびえたっていた。巨大なミセリコルデより、さらに大きい。鎧五体くらいで両手を広げて、やっと幹を一周できるくらいの、桁違いの太さだ。身をよじるようにして伸びた幹から、さらにねじれた枝が四方八方に向けて伸びている。巨木のあまりに異様な姿に、一瞬息をのんでしまう。
でも、この光景には見覚えがあった。
「うわーイベントスチルの背景通り。本当にこんな木が生えてたのね」
「それは小夜子の記憶か?」
「正確には小夜子がプレイしたゲームの記憶ね。師匠のディッツを失って闇落ちしたジェイドが、この巨木を中心にゾンビだらけのアンデッドパラダイスを築いてたのよ」
死霊術師な攻略対象が初見でヒロインの心臓をえぐろうと襲ってくる、なかなかホラーなルートである。
「ジェイドが死霊術師か。俺にはいまいちぴんとこない光景だが」
「フランはジェイドが医療魔法使いとして頑張ってる姿しか見てないもんね」
私にとっても、ゲーム内のジェイドは、従者のジェイドとは別人という感覚が強い。ディッツが元気に生きている今では、ありえない未来、起きなかった出来事だ。
「彼が魔の森を拠点にしていたのは、森の毒沼がアンデッドづくりに便利だったからってことだったけど、実は運命的なものだったのかも」
「ここには血族の遺産が眠っているからな」
ミセリコルデが巨木の幹に手を当てる。当たった箇所が鎧に呼応するかのように発光した。
「ここで当たりね。もちお、セシリア陛下に申請。聖女の権限で、プロテクト解除コードを発行してもらって」
『かしこまりました』
すぐに空中母艦『乙女の心臓』からコードが送られてくる。
ミセリコルデが幹を通して解除コードを送ると、巨木自体が金色に輝いた。見ているうちに、幹の中央に縦にまっすぐ亀裂が走る。幹を覆っていた木の皮が、ぎいっと観音開きに外側へと開いた。
「うわあ……」
幹の内側は異次元の世界が広がっていた。
外側はどう見ても苔むした自然の木の幹だというのに、内側は明らかな人工物だった。鋼鉄製の壁とフレーム、整備用のクレーンや小型エレベーター。大型工具も並んでいる。その中央に据えられているのは、ミセリコルデと同型の白銀の鎧だった。
巨木は、自然物に偽装した白銀の鎧の格納庫だったのだ。
「コントロールルーム、目標を発見した!」
フランが通信をオンにして報告する。
鎧の装備は投擲用の短剣。
白銀の鎧『ダガー』。断絶寸前のダガー伯爵家の生き残り、ジェイドが受け継ぐべき機体だ。
「クソゲー悪役令嬢コミカライズ②巻」
「クソゲー悪役令嬢書籍⑧巻」
2026年7月31日に2冊同時発売されます!
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