【書籍⑧巻&コミック②巻、7月31日発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

622 / 633
女子会

「セシリア国内一周お疲れ様アンド、シュゼット送り出し女子会、はっじまっるよー!」

 

 巨大空中母艦『乙女の心臓』の中心部、女王専用居室のリビングで、私は女子会の開催を宣言した。

 現在母艦はハーティア北西部、キラウェアとの国境手前に停泊している。二か月の期間を経て行われた女王国内一周行脚の最終目的地だ。二日後にキラウェア側から使節団が到着し、シュゼットをセシリアの親書とともに送り出す予定だ。国内の主要都市を巡り、キラウェアとの外交もこなし、やっと私達は王都に戻る。

 

「お忙しいのに、素敵なイベントを企画してくださってありがとうございます、リリィ」

 

 部屋の主であるセシリアがおっとり笑う。その横で、シュゼットもまた上品なロイヤルスマイルを浮かべて笑った。

 

「リビングに部屋着で集まるなんて、こんなフランクな集まり初めてです」

「まさか、女子寮でやってたみたいな集まりを、女神様のお城でやるとは思いませんでしたわ」

 

 つい先日、カトラス侯爵夫人となることが決定したリッキネン商会のお嬢様、ライラが呆れ顔になる。『乙女の心臓』の常駐乗組員ではない彼女が、なぜここにいるかというと、つい数時間前に、セシリアから結婚の許しをもらおうとダリオと一緒に白銀の鎧で乗りつけてきたからだ。その日のうちに帰るというふたりと引き留めて、無理やり女子会に引っ張り込んだのである。

 これから侯爵夫人になるにあたって、女王、キラウェア王女兼ランス伯爵夫人(予定)、次期如宰相、次期ハルバード女侯爵と親睦を深めておいて損はないと思うし。これはお互いwin-winのお誘いなのである。

 久しぶりに会った友達と話したかったのも本音だけど。

 

「いいではないですか、これぞ無礼講というものです! 今日は私もみなさんをリリィ様、シュゼット様、と呼ばせていただきますわ!」

「そっち方向に無礼講なの!?」

 

 即位してからずっと禁止されていた『様』呼びを復活させたセシリアに思わず声が出る。そんな私達を見て、マリィお姉さまが笑い出した。

 

「ふふ……楽しいわね。私も女子寮時代を思い出すわ」

「お姉さまも、王立学園では特別室組だったんですよね?」

 

 王族と勇士七家の女子は、王立学園に入って淑女教育を受けるのがきまりだ。アルヴィン兄様とマリィお姉さまが知り合ったのも、学園つながりだったと聞いている。学生時代のお姉さま、さぞかし凛々しくてかっこよかったんだろうなあ。

 

「私が入学した時期は、同世代に七家の女子が他にいなかったのよね」

「ええ? あの広い特別室にひとり?」

 

 私が目を丸くすると、マリィお姉さまは笑い出す。

 

「私ひとりだけだと、さすがに生活しづらいだろうからって、特別に何人か貴族女子を選抜して、最上階に入ってもらっていたの」

「ライラやセシリアが特別室に入っていたのと似た状況ですね」

 

 マリィお姉さまはフランのひとつ上、私達から見ると八歳年上だ。女神もたらした運命のせいか、勇士の末裔にセシリアと同世代が多い反面、それ以外の年代はぽっかりあいている。

 

「モーニングスター家の三姉妹とも、入学年が重ならなかったし」

「ケヴィンのお姉さんたちですね」

 

 末っ子長男のケヴィンには、三人の姉がいる。彼女たちは、私たちが入学するのと入れ替わりに卒業を迎えていたので、私たちにとっても直接接点はなかった。

 

「みなさん、とても素敵な方ですよ」

 

 お茶を飲みながら、ライラが付け加える。おっと、そういえばライラは学園以外の場所でモーニングスター家と繋がりがあったんだった。

 

「ケヴィン様との婚約が破談になったあとも、何かと気にかけて親切にしてくださいます」

 

 元婚約者とその家族。複雑な想いがあるだろうに、今も両家の交流は続いているらしい。よほど彼女たちの人間ができているのか、よほどライラが気に入られているのか。両方の可能性もあるけど。

 

「私達の三つか四つ上なのですよね。ちょうどご婚約やご結婚をされる時期と思いますけど、準聖女として参加されたりはしないのでしょうか?」

 

 シュゼットが疑問を口にする。勇士七家の末裔の女子は、確かな血筋をもつ有力な準聖女候補だ。人手不足の中、彼女たち三姉妹は真っ先にスカウト候補にあがっていた。

 しかし、私とマリィお姉さまはそろって渋い顔になってしまう。

 

「一応、打診はしたんだけどね……」

「何かありましたの?」

「これは他言無用でお願いしたいんだけど、三人とも準聖女の資格が得られなかったの」

「ええ……!?」

 

 シュゼットが大きな碧の瞳をさらに大きく見開く。まさか勇士の末裔の姉妹が全員失格とは思わなかったんだろう。

 

「長女のサーラさんはすでに結婚して第一子を授かっていて、次女のナディアさんは婚活中、三女のイリスさんは婚約話が破談になったばかりで……」

「あ~……あの話、ダメになったんだ。破談でよかったと思うけど」

 

 ライラも私たちと同じような渋い顔になる。きっと何か思い当たる理由があるんだろう。

 

「血筋は申し分なかったんだけど、三人とも恋する乙女という条件が該当しなくて。彼女たちは今まで通りモーニングスター侯爵家を支える仕事に専念してもらっているわ」

「恋をしている、って実は稀有な条件なのですね」

 

 シュゼットはふむふむ、と大真面目にうなずいている。

 

「そう考えると、ライラやフィーアのように、七家直系以外から生まれた聖女はとても貴重な存在よね」

「ふぇ……っ、え、ええ、まあそうよね」

 

 突然話を振られて、ライラが顔を赤くした。

 その気持ちはわかる。他人に恋をしてるって言われるのって気恥ずかしいよね。それを言ったら私達準聖女は全員恥ずかしいんだけど。

 

「でもどうしてダリオと? 私とセシリアは直接つながりがあるけど、ライラとの接点ってなかったはずよね」

「えええ、そこ聞く?」

「だって気になるじゃない」

 

 それに女子会の話題といったら恋バナと相場が決まっている。さあさあ、私達になれそめを語るのだ!





「クソゲー悪役令嬢コミカライズ②巻」
「クソゲー悪役令嬢書籍⑧巻」
7月31日より発売中!!!!


コミックも小説もめちゃくちゃ面白いので、購入応援よろしくお願いします!
詳細は活動報告に!



皆さまの応援が作品の寿命を延ばします!!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。