【書籍⑧巻&コミック②巻、7月31日発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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最終決戦

 シュゼットを母国に送り出してからさらに二か月後、私達はついに決戦の地、クレイモアに集結していた。領地の最東端に構えた砦の先には、ハーティアとアギトを隔てる山がそびえたっている。

 集まった兵は、周辺地域から集まった者と、『乙女の心臓』で運んできた者とをあわせておよそ十万人。さらに、母艦には八体すべての白銀の鎧が格納され、それぞれ専任のパイロットがスタンバイしている。

 もちろん、私もフランとともにミセリコルデに乗り込んで、出撃準備を整えていた。

 

「こちらコントロールルーム。各白銀の鎧の搭乗者確認を行います」

 

 スピーカーから、マリィお姉さまの声が響いてきた。私がミセリコルデに乗っているから、今あっちでセシリアの補佐をしているのはお姉さまとユキヒョウAIのディーだけだ。

 ふたりともしっかりしてるから、彼らだけで大丈夫そうだけど。

 

「ソーディアン」

「こちらシルヴァン・クレイモア。準備完了」

「クリスティーヌ・ハーティア、準備問題ない」

 

 ヴァンとクリスがハキハキと答える。クレイモア騎士団と一緒にずっと東の国境守護にあたっていたというのに、元気いっぱいだ。

 

「クレイモア」

「セルゲイ・クレイモア問題なしだ」

 

 渋い声が応答する。これは騎士団を率いる、現クレイモア伯爵のものだろう。顔は見えないけど、きっと今日も白いおヒゲがかっこいいに違いない。

 

「ハルバード」

「ユリウス・ハルバード、準備完了している」

 

 聞き慣れたお父様の声が応える。お母様とは恋愛結婚だけど、私達を産んだことで、お母様は『聖女』から『聖母』になって資格を失ったらしい。才能をダンスに全振りしているお母様は戦いに向いてないから、後方にいてくれてよかったと思う。

 だいたい、お父様は白銀の鎧に乗っていても最強だから、支援なんか必要ないし。

 

「モーニングスター」

「ケヴィン・モーニングスター、準備できてます」

 

 モーニングスター家の末っ子長男、ケヴィンの軽やかな声が響いた。オリヴァーは副官こそ手に入れたものの、同乗する聖女はいない。

 

「ランス」

「グラストン・ランス。準備問題ありません!」

 

 びしっと返事をしたのは、ランス家の若き当主グラストンだ。彼の場合は婚約者はいるものの、聖女の遺伝子を持たない外国人だったため、ここも一人乗りだ。まあ、条件がそろっていたとしても、他国のお姫様を戦場に連れてくるわけにはいかないから、シュゼットは居残りでよかったと思う。

 

「ダガー」

「ジェレミー・ダガー……準備、完了シテイマス」

「……同ジク」

 

 がさがさとひび割れた声が届く。今日もジェイドとフィーアはダガー伯爵夫妻に変装中だ。戦争が終わったらダガー夫妻は死ぬ予定なので、彼らがこの姿から解放される日は近いかもしれない。

 

「カトラス」

「ダリオ・カトラス。準備問題ない」

「ライラ・リッキネン、準備できてひみゃ……っいます」

 

 噛んだ。

 

「落ち着け。何があっても俺が守るから」

「は……はい……」

 

 ダリオの優しい声が響いてくる。

 恋する乙女に損得勘定でプロポーズするのってどうなの、と思われていたダリオだったけど、あっさり二人は仲良くなった。というか、見るからにダリオがデレデレで、若い婚約者を猫かわいがりしているのだ。そのたびに顔を真っ赤にして、あたふたするライラが目撃されている。

 見ていてこっちが恥ずかしくなるくらいの、ラブラブカップルである。

 ライラが幸せそうなら、もうどうでもいい話だけど。

 

「ミセリコルデ」

「フランドール・ミセリコルデ、準備完了している」

「リリアーナ・ハルバード! 準備問題ないわ!」

 

 私達も元気よく返事した。

 正式に婚約発表してから早数か月。こうやってふたりでミセリコルデに乗り込むのも、慣れたものである。残念ながら、『乙女の心臓』に乗り込んでからはお互い忙しかったり、他の人の目があったりであまり進展してないけど、大手を振って一緒にいられるからそれだけでも楽しいのだ。

 ……ちょっと残念とか思わなくもないけど。

 

「セシリア陛下、全軍準備整いました」

「ご苦労様。では……」

 

 セシリアが命令を下そうとした時だった。

 ぎいん、とスピーカーから耳障りな異音が響いてきた。さらにガリガリとノイズ音がけたたましく響く。

 

「ディー? 何事ですか」

「外部からの強制通信です。おそらくアギト国からのものと思われ……」

「やあ、みなさんお揃いだね?」

 

 コントロールルームのモニターに、黒髪の青年の顔が大写しになった。

 




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「クソゲー悪役令嬢コミカライズ②巻」
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