【書籍⑦巻&コミック①巻、12月発売】クソゲー悪役令嬢~滅亡ルートしかないクソゲーに転生したけど、絶対生き残ってやる!   作:タカば

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気が付いたら外堀が埋まってた件について

「フラン……? いくらリリアーナ嬢が優秀といっても、まだ子供だぞ?」

 

 宰相閣下が顔を引きつらせながら言った。

 マリアンヌさんや父様も同じように困惑した顔になっている。

 そうだそうだー!

 私は11歳の女の子だぞー!

 

「俺は無茶を言った覚えはありません。彼女なら可能です」

「確かに……リリィならできなくはない、か」

「兄様?!」

 

 なんで兄様まで納得してるのー!

 

「ハルバード家で起こった執事の汚職事件、証拠集めをしたのは他ならない、リリアーナ嬢だ」

「私は検算してただけだよ! 細かい分析は兄様とフランの担当だったじゃない」

「だが、そのおかげでここ10年の金の流れは把握しているだろう」

「……ざっくりとしかわかんないよ?」

「まずはそれだけ理解していれば十分だ」

 

 どこがどう充分なのさああああ……。

 

「それに、毎日『タイソウ』と称して使用人の顔を見に来るお前は、彼らに信頼されている。お前が城に残るならついてくる者は多いだろう」

「ええ……そうなの……?」

 

 国民的ラジオな体操はほぼ趣味でやってたんだけど……。

 

「頭の回転は悪くない、業務も把握できている、その上使用人に慕われるハルバードのご令嬢だ。永続的には無理でも、一時的な領主代行ならこなせるんじゃないか」

「ちょっと待ってよ!」

 

 私はフランに向かって身を乗り出した。

 

「うちの使用人は私についてくるかもしれないけど、新しい人材のほうはどうするの。さすがに、女の子が上司じゃ来てくれないと思うわよ」

「その点は成人ずみの補佐官を置けば解決できるだろう」

「そんな人材、どこにいるのよ?」

 

 フランは真顔で自分自身を指さした。

 

「ここに。俺がお前の補佐について、ハルバードに残ろう」

「え」

「父上がこれから集めてくるのは、宰相家ゆかりの者たちだ。息子の俺が間に入れば、摩擦を最小限に抑えることができるだろう」

 

 確かにフランは優秀だ。

 その仕事ぶりは、ここ何日も見て来たからよくわかる。

 勘弁してよぉぉぉ……フランのサポートつきなら領地の仕事が回せそう、とか思っちゃうじゃん……。

 

「なんでそこまでしてくれるの……」

「言っただろう、お前が足掻くのなら、どんな手段であっても、俺が手助けしてやると」

 

 言ってたけど!

 てっきり、あの場限りの台詞だと思ってたよ!

 まだ有効だなんて思わないじゃん!!!

 

 どうにも返事できなくて、私は苦し紛れに宰相閣下とマリアンヌさんを見た。

 

「宰相閣下はいいんですか? やっと再会した息子さんなのに、一緒に帰らなくて……」

「命を救ったご令嬢のために息子が決めたことなら、構いません」

「あまり反対する理由もないものね」

 

 いいのかよ!

 それでいいのか宰相家!!

 フランが跡取じゃないからって、進路の自由度高すぎない?

 

「リリィはそれでいいのか?」

 

 父様が私に尋ねた。

 多分、父様は私が本気で「嫌だ!」って言ったら、何があっても許してくれる。

 第一師団が壊滅しようが、兄様が学園を卒業できなかろうが、好きにさせるだろう。

 でもだからこそ、甘えちゃいけない時もある。

 

「……いいわ。領主代理、やってみる」

 

 父様も兄様も、領民も使用人も、誰ひとり見捨てるわけにはいかないから。

 

「ただしフラン! あなただけは馬車馬のようにこき使うから、覚悟しててよね!」

「ああ、望むところだ」

 

 こうして、私は11歳でハルバードの領主代理になった。

 

 

 

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