忘却少女と異界の獣   作:k25

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10話です。
一先ず区切りのいい数字です。
ここまで投稿を続けられたのはいつも読んでくださる方たちのおかげでございます。
いつもありがとうございます。


10,水と鋼

「ん…」

朝の訪れに、フィランは閉じていた目を開いた。

「…ビックリした。」

 

目を開けるといきなり飛び込んできたのは顔。

昨晩一緒にベッドにはいったフェローチェの顔だ。

 

「……」

 

普段フェローチェの寝顔をまじまじと見る機会などそうそう無い。

思わず見つめてしまう。

 

(うーん。きれいな顔してやがる…まつ毛長いな…)

 

そうして見とれていると、

 

ぱちっ

 

フェローチェが急に目を覚ました。

 

「わ。」

 

唐突に目が開くからビックリして声をあげてしまう。

 

それに、今まで見つめてたことがばれてしまった。

少し恥ずかしくなりとっさに目を逸らそうとする。

 

「あっ」

 

だがフェローチェの両手に阻まれる。

 

「……」

今までのお返しとばかりに今度はフェローチェに見つめ返されてしまう。

 

「ちょ、ちょっと、フェローチェ…!」

目をそらそうにも顔を抑えられているんのでそれもできない。

 

なんだか恥ずかしくて顔が熱を帯びていくのを感じる。

それが余計に恥ずかしくて目を瞑ってしまう。

 

(これならどうだ!)

 

これなら大丈夫。そう慢心していた。

 

(えっ)

 

フェローチェの顔が近づいてくるのを感じる。

 

「ま、待って!フェロ…」

 

ゴン。

 

そのままフェローチェの額がフィランの額にぶつけられた。

もちろん軽いが所謂、頭突き、というやつだ。

 

「……おはよう…」

 

目を開けて、挨拶をかわした。

 

 

 

 

 

朝から意味も無くドキドキさせられたフィラン。

足早にヨスガシティを出発し、ミオシティに来ていた。

 

 

 

「ポッタイシ!なみのり!」

 

ポッタイシの起こした水流が相手のイワークを襲う。

 

「よし!」

 

どうやら今の一撃で敵はダウンのようだ。

 

フィラン達は他に用があるわけでもなく早速ジムに挑戦していた。

 

同じようにジムの中で待ち構えているトレーナーを撃破しジムリーダーのもとへと向かう。

 

 

「次は俺が相手だ!行け!ハガネール!」

 

また次のトレーナーとのバトルが始まる。

 

(とりあえずさっきはポッタイシだったから次はガバイトに…)

相手のポケモンに対し何を繰り出すか思考をまとめるさなか。

 

「ビュウ!」

 

(…?どうしたの?次のバトルも出る?わかった。)

 

先ほど戦闘を終えたばかりのポッタイシが次も闘いたいと言っている。

 

「…じゃあ頼んだ!」

 

「ハガネール!いわなだれだ!」

 

「なみのりで応戦して!」

 

岩と水の波がぶつかりあう。

正面から互いの威力を相殺しあいどちらも攻撃は通らない。

 

「ならば!ハガネール!アイアンテールだ!」

 

ハガネールが尻尾を振り回す態勢に入る。

だがあの位置ではポッタイシには届かない。

 

(あれじゃ避けるまでも無いか?)

 

「…ポッタイシ。今のうちに少し近づいて。アイアンテールを避けたら至近距離で攻撃しよう。」

 

そういいポッタイシが少し距離を詰めた時。

 

「!?」

 

ハガネールの尻尾が降りぬかれた。

その尻尾自体がポッタイシにあたることはなかった。

 

「まずい!ポッタイシ!急いでメタルクロー!体をまもって!」

 

ハガネールは近くにあった岩、先ほどのいわなだれの岩にアイアンテールを放っていた。

 

その岩はハガネールの尻尾によって砕け、岩の散弾となってポッタイシに降りかかる。

取り急ぎメタルクローを体の前で交差させ、少しでもダメージを軽減させる。

 

とっさの防御の甲斐もあってダメージはそこまで大きくは無かった。

 

だが大きく隙をさらすことになってしまう。

 

「今だ!ロックカット!」

ハガネールは自身の体を磨き素早さを大きく上げた。

 

「続けてたたきつける!」

素早さの上がったハガネールが勢いよくポッタイシにぶつかる。

 

「ポッタイシ!態勢を整えて、そしたら反撃しよう!」

 

だが、素早さの上がったハガネールにこちらの攻撃を当てることは難しく、翻弄される一方だ。

 

幾度か攻撃を外したポッタイシはハガネールの動きを見つめ、静かに狙いを定めようとしている。

 

すると、ポッタイシの体が光を放ち始めた。

 

「あれは!」

 

「ハガネール、たたきつけるだ!これで止めだ!」

 

ハガネールがポッタイシに迫ろうとする。

 

その時、光が収まり1匹のポケモンが勢いよくハガネールに向かって飛び込んだ。

 

 

 

そのまま地面に激突するハガネール。

土煙の中から姿を現したのはポッタイシ。ではなかった。

 

「エンペルト…!」

姿を現したのは三叉の槍のような、王冠のような嘴を持つ、皇帝の風格を漂わせたポケモン。

ポッタイシはエンペルトに進化した。

そして素早さのあがったハガネールを上回る速さを持つ攻撃、アクアジェットで反撃に出た。

 

「これなら行ける!エンペルト!続けてアクアジェット!」

 

エンペルトは距離をとりハガネールび再び突っ込んだ。

 

 

2度目の攻撃を受け更に態勢を崩したハガネール。

そこに追い打ちを掛ける。

 

「なみのり!」

 

ポッタイシの時とは比べ物にならない、怒涛の波がハガネールを流し去った。

 

 

 

 

「お疲れ様。」

 

新たに進化したエンペルトに声を掛ける。

出会ったときから比べてずいぶんとたくましくなった物だ。

 

いいキズぐすりを使いエンペルトのケガを治療する。

「よし!行こう!」

 

目指すはジムリーダー、トウガン。

だが新たにパワーアップしたエンペルトならきっと大丈夫だろう。

 

 

 

 

 

「ほう!それはクロガネのジムバッジ!

なるほどなるほど!私の息子を倒したか!」

 

(…親子なのか…逆になるほどだなぁ)

トウガンの発言にはがね使いの息子がいわ使いなんてベタな…なんて思いながらフィランは対峙する。

 

「まああいつはまだまだ未熟者だからな。

息子のヒョウタに代わってこの私、トウガンが相手をしてくれようぞ!」

 

「ええ、よろしくお願いしますね!」

「いけ!ドーミラー!」

「ロトム!」

 

いきなりエンペルトを出さなかった事にはちゃんと理由がある。

エンペルトははがね技を半減できるが逆に効果抜群になる技も持っていない。

 

一先ずロトムで様子見、おにびやでんじはでサポートしてからエンペルトやガバイトに展開していく流れだ。

 

「ロトム!シャドーボール!」

この場合は相手がたまたまエスパーだったのでシャドーボールを撃つプランに変更となったが。

 

「ドーミラー。さいみんじゅつだ。」

 

シャドーボールが命中する。

ドーミラーを倒す事には成功したが、代償としてさいみんじゅつにかかりロトムは眠ってしまう。

 

「行け!トリデプス!」

「戻って、ロトム。エンペルト!」

 

眠ってしまっては戦闘にならない。ロトムを下げエンペルトに出てもらう。

 

 

「エンペルト!アクアジェット!」

「トリデプス、てっぺき!」

 

トリデプスが守りを硬め、エンペルトがそこに突っ込む。

 

(ほとんどダメージ無いな…)

 

ただでさえ耐久の高いトリデプスがてっぺきまで積んだとなると、アクアジェット程度の火力ではキズ一つ追わせられないようだ。

 

「ストーンエッジだ!」

 

鋭い岩がエンペルトを襲う。

 

「受け止めて!そのままなみのり!」

 

だが、エンペルトの耐久もかなりのものだ。

ストーンエッジを簡単に受け止め、返しのなみのりを放つ。

 

「アクアジェットだ!」

 

なみのりの勢いもそのままにアクアジェットをお見舞いする。

激しい水流のごとき連続攻撃にさすがのトリデプスも耐えきれなかった様だ。

 

「ふむ…最後の1匹となってしまったか、ハガネール!」

「このまま押し切るよ!エンペルト!」

 

「なみのり!」

「じしんだ!」

 

お互いの技が交差する。

激しい揺れと水流の後、2匹のポケモンはお互いギリギリの状態でそこに立っていた。

 

「もう一度じしん!」

「ッ!アクアジェット!」

 

じしんが起こる前に、アクアジェットを叩き込む。

 

「間に合え!」

 

 

 

 

間一髪、ギリギリでエンペルトがハガネールに激突する。

 

「ビュウ…!」

 

ハガネールを下し、水と鋼の皇帝が勝者となった。

 

 

「ッよし!お疲れ!!エンペルト!」

 

戦闘を終え、エンペルトが堂々とした足取りでフィランの下に戻ってくる。

ポッチャマの頃だった大はしゃぎで駆け寄ってきそうな物だったが、成長したんだなあと感慨深くもなる。

 

 

 

 

「私の自慢のポケモン達を倒したその強さを認め、このマインバッジを渡そう!」

 

トウガンから差し出されたバッジを受け取る。

 

「ありがとうございます。」

「それと、君のエンペルト、なかなかガッツのある、まさしく鋼の精神を持っている。

これも持っていくと良い。」

「これは?」

「ラスターカノンの技マシンだ。きっと役に立つだろう。」

「…ありがとうございます!」

 

 

新たにはがねタイプを身に着けたエンペルトも、はがねポケモンのプロフェッショナルからの評価に嬉しそうにしている。

 

「この先も頑張れよ!」

「はい!」

 

激励を受け取り、フィランはジムを後にした。

 

 

 

 

「やー。今日はなんか疲れたな。今日も早めに休もうか。」

 

本日も宿をとり、一息ついていたフィラン。

なんだか今日のジムは濃度が高くいつも以上の充足感と疲労感があった。

 

 

シャワーも済ませベッドに入ろうとする。

 

「…」

朝の出来事を思い出し一瞬固まってしまう。

 

すると、またしても勝手にボールが開く。

 

「ん?エンペルト。珍しいね。」

 

出てきたのはエンペルトだった。

 

「今日は大活躍だったね、お疲れ様。」

 

エンペルトと一緒にベッドに腰掛け、今日のジム戦をねぎらう。

 

「そういえば、最初のジム戦の時もこうして話したね。」

前とは違いエンペルトになって膝の上に乗せるのは無理が出てきてしまったが。

 

「あの時から、ずいぶん強くなったんじゃない。」

「ビュウ。」

エンペルトはここまで育ててくれたお礼を言っている様だ。

「ありがとうね。でもアナタ自身の頑張りがあってこそだよ。」

 

「それに!私たちはまだまだやることがあるし、限界も見えてないから。

これからもよろしくね!!」

「ビュウ!」

 

「よし!今日はもう寝よう!」

 

更に成長した仲間との絆を確認して、明日からまた頑張ることを心に決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

エンペルトはどさくさにまぎれてベッドに一緒に入ろうとしたがフェローチェに阻止された。

そのあとフェローチェはベッドに侵入した。

 




10話でございました。

朝からいちゃつくバカポケモンとトレーナー。
やましいことはありませんけど。

そしてミオジムとポッタイシ進化。
ミオジムってなんか鋼割合低いですよね。

エンペルトの枠は別の鋼ポケモンになる予定でした。
で水枠はWロトムになる予定でしたが、いろいろあって今の形になりました。

エンペルトって現状唯一の水鋼複合で耐性も優秀ですよね。
そういう点もありかなり好きなポケモンですね。

前書きでも述べさせていただきましたが一先ず10話を迎えることができました。
いつも読んでくださる方々には感謝気持ちでいっぱいです。
自分が好きで書いてるものとは言え読んでくださる方がいることは大変励みになります。

これからもお付き合いいただけたら幸いです。

※投稿数時間後に思い出したんですけど、バトルの描写を濃くするためにゲームでは起こりえないことが起きてます。
実験的に少しやってみようと思います。
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