駆け足で進んでいきます。
「あ~~~~さむ…」
フィランは肩にうっすらと積もった雪を払いながら寒さに身を震わせた。
豪雪の216番走道路を踏破したどり着いたのはキッサキシティ。
シンオウ地方でも北に位置する雪深い町だ。
「ちょ、ちょっと休憩しよ…」
これだけ雪に降られてジムに直行できるわけもなく、先に今晩の宿を抑えておくこととした。
宿で一息つき、ようやくキッサキジムに挑戦することにしたフィラン達。
「ジムの中も氷だらけか…」
ジムの中も一面氷、雪玉といった趣で室内だというのになかなかに寒い。
「寒いな…ちょっと悪いけどさっさと終わらせちゃおうか!」
幸いにもここはこおりタイプのジム。
早めに終わらせて熱いシャワーでも浴びたい。そんなノリで今日はフェローチェメインでの戦闘が決定した。
「インファイトォ!」
フェローチェの蹴りが相手に突き刺さる。
こおり、あくタイプのニューラにはひとたまりもなく、一撃で戦闘不能となった。
こおりタイプのジムはフェローチェには相性が良い。
凄まじい勢いで道中のトレーナー達を一蹴し先を目指す。
その後も次々とトレーナー達を撃破していく。
ジムのギミックである氷の床に運ばれ、とうとうジムリーダーの元へ。
「スズナに挑戦?いいよ!強い人待ってたし!
だけどあたしも気合入ってるから強いよ。ポケモンもオシャレも恋愛も全部気合なのッ!
そこんとこ見せたげるから覚悟しちゃってよね!」
「……よ、よろしくお願いします!」
確かに気合がなければこの寒いジムの中でその薄着は無理だろう。
そんなフィランの感想は誰に聞かせるでもなく、勝負は始まった。
「ユキカブリ!」
「フェローチェ!一瞬で終わらせよう!」
その通り、勝負はまさしく一瞬だった。
「インファイト!」
フェローチェはいつものように、敵に急接近し強烈な打撃を叩き込む。
そもそもこのスピードについて来れるポケモンなどそうそうはいない。
ジムリーダーのポケモンですら一撃で屠り去る。
「かくとうポケモン!なら!」
スズナの次の手はチャーレム。
エスパー、かくとうを持つポケモンでかくとう技に相性がいい。
だが、その程度ではフェローチェは止まらない。
「チャーレム!しねんの頭突き!」
「フェローチェ!」
チャーレムがフェローチェに向かってくる。
だが既にフェローチェの姿は元あったところに無い。
ズドン!
そして上からの急襲。
「早い…!」
気付いた時にはフェローチェの足元にチャーレムが倒れていた。
続いて出てきたポケモンにも変わらずインファイトを叩き込む。
スピードを増すフェローチェにスズナのポケモンは触れることすれ叶わず、そのままフィランとフェローチェの勝利となった。
「っくしゅん。」
スズナから7つ目のバッジを受け取り、キッサキジムを後にしたフィラン。
「寒いのはあんま好きじゃないな。」
今日はさっさと休んで早く次に行こう。
そうフィランは決めたのだった。
その後、フィラン達は最後のバッジを手に入れるためナギサシティを目指していた。
「ガバイト!じしん!」
道中でいつものようにトレーナーたちと戦闘を重ねる。
今日はガバイトを中心に闘っていた。
ナギサジムはでんきタイプ中心のジムだ。
今のうちにガバイトを少しでも強くしておいて有利にジムを進めようという目論見だ。
「よし。ガバイトまだいけそう?」
「グォ。」
ここまでガバイトは連戦を重ねるているがまだ体力的には余裕がありそうだ。
そのあとも何戦かしたところでナギサシティに到着したフィラン達。
昨日とは打って変わって、今日は早速ジムに挑むことにした。
「あれ…ジムの前に誰かいる。」
ジムの前には金髪の男性がぼーっと空を見つめて座り込んでいた。
(中入りづらいな…)
ジムの入り口の真ん前にその男性が座っているせいでなんだか入りづらさを感じていると、相手はこちらに気付いた様で、声を掛けてきた。
「ああ、ジムの挑戦者か。いいぜ、中で待ってるとしよう。」
「あ、はい。もしかしてあなたが…」
「そうだ。俺がここのジムリーダー、デンジだ。
…ここ最近面白い相手が来なくてね、ここでぼーっとしてたんだが、君は楽しませてくれそうだ。」
そう一方的に告げるとデンジはジムの中に入っていった。
「…行っちゃった。まあいいか。」
勝手に話すだけ話していったデンジに少し気圧されはしたが、一先ずジムに挑戦するという目的は変わらない。
デンジに続いてフィランもジムに入っていった。
「この先には進ませないぜ!」
いつものようにジムのトレーナーが勝負を仕掛けてくる。
「ガバイト!」
「ルクシオ!かみつく!」
ルクシオが一目散にかみついてくる。
「ガバイト、振り払って。そのあとじしん!」
ルクシオを腕で受け止め振り払う。
そのまま地面に叩きつけられたルクシオはじしんをもろに食らってしまう。
「グォオオオオ!」
あっけなく倒れたルクシオ。
そして自らの力を誇示するかのように雄たけびを上げるガバイト。
すると、ガバイトの体から光が漏れ出す。
「来た!ガバイト!!」
フィランもこの時を待っていたのだ。
「グゥオオオオオオオオア!!」
光が止み、中から強大な力を持った竜が現れた。
「っ!次だ!ビーダル!とっしんだ!」
「ガブリアス!ドラゴンクロー!」
続いて現れたビーダルが果敢にもとっしんで突っ込んでくる。
しかし、強大な力を持つ竜の前には些細な事。
鋭い竜の爪がビーダルを切り裂いた。
「よっし!お疲れ様!!」
ガバイトの時と比べて更に大きくなったガブリアスに抱きつく。
昔は自分よりも全然背も低かったのにあっという間に抜かれてしまった。
「本当にあのちびっこだったフカマル?ずいぶんとでっかくなっちゃって!」
このガブリアスは生まれたての頃から知っている。
本当に立派に成長したものだ。
「これからもよろしく!」
「グォ!」
その後もガブリアスの快進撃は止まらず、途中のトレーナーも全く障害にならない程の勢いで撃破していった。
「来たな。それに、入り口であった時より強くなったか?そんな雰囲気を感じるぜ。」
「はい。確実に、前より強くなりました。」
「なら、なおさら楽しめそうだな。
改めて、俺はナギサシティのジムリーダー、デンジ!楽しませてくれよ!!」
「フィランです。よろしくお願いします!」
「ライチュウ!」
「ガブリアス!」
「ライチュウ、でんこうせっかだ。」
ライチュウが目にもとまらぬ速さでガブリアスに攻撃する。
だが、ガブリアスに大きなダメージは無い。
「ガブリアス!そのままじしん!」
ガブリアスを中心に大きな揺れが起こる。
でんこうせっかで肉薄していたライチュウは避けることも叶わずじしんをしっかりと食らってしまう。
「なるほど、それがここで手にした力か。だが、多少の不利くらいどうってことは無い!」
デンジもまだまだやる気の様だ。
「エテボース!かげぶんしん!」
影分身で自身の虚像を作り出すエテボース。
こちらを攪乱しその隙を付くつもりのようだ。
「…ガブリアス、落ちついて。攻撃してきた本物を返り討ちにしよう。」
「エテボース、みだれひっかき!」
影分身の中から1匹が飛び出してくる。
「そこだ!ドラゴンクロー!」
肉を切らせて骨を断つ。
みだれひっかきを2回ほど食らってはしまったが、相手から近づいてきてくれるのはむしろ好都合。
至近距離でドラゴンクローをお見舞いする。
「よし!ガブリアス、まだまだ行けるね?」
それにガブリアスはまだまだ余裕そうだ。
「ならば!オクタン!」
次のデンジのポケモンはオクタン。でんきタイプのジムとは一体なんだったんだ。
オクタンに向かってガブリアスが駆けだす。
もう一度ドラゴンクローで攻撃をしかけるつもりだ。
「オクタン、オーロラビーム!」
ガブリアス最大の弱点、こおりタイプの攻撃がオクタンより放たれた。
「ガブリアス!」
冷気が一瞬視界をさえぎる。
だがすぐにも視界は晴れ、中からギリギリで攻撃を耐えたガブリアスが姿を現した。
「これを耐えるのか…!」
デンジは驚嘆の声を挙げた。まさかこおりタイプの攻撃をじめん、ドラゴンタイプのガブリアスが耐えるとは思っていなかった。
「そのままドラゴンクロー!」
そうしてオクタンもガブリアスの前に倒れた。
「ガブリアス!1回戻る?」
「グォ!」
「まだいける?了解!信じるよ!」
フィランはさすがにガブリアスに交代するか提案をしたが、ガブリアス自身がまだいけると言っているので信じることにした。
そしてその言葉の通り、最後の1匹のレントラーもじしんで沈めて見せた。
「ハハハッ!強いな、君。久々にいいポケモンバトルができた。
これからも、どんな勝負をするのか全く楽しみだよ。さあ、8つ目のバッジを受け取ってくれ!」
「ありがとうございます!」
フィランはデンジよりビーコンバッジを受け取った。
「それにしてもいいバトルだった。リーグが終わったらまた遊びにきてくれよ。」
「はい。シロナさんに勝ってまた来ますね。」
こうしてフィランのもとに8個のバッジが揃った。
いよいよポケモンリーグに挑む、その時は近い。
108-130-95-80-85-102
今回のサブタイトルの「美しき」とはこれのことです。
言わずと知れたレートの主人公。ポケモン界で最も美しい数字と言われた種族値。
そんなガブリアス進化回でした。
ガブリアスいいですよね。DPtのころからずっと好き。
SMで少し鳴りを潜めた感は否めないですが、最近でも活躍してるのはやっぱすごいですよね。
そんなガブリアスのめちゃくちゃな強さが表現できてたらいいな、とおもいます。
多分オクタンのオーロラビームくらいは耐えます。
因みにじしんは自力習得しないのでどこかで技マシンを手に入れて使ったことにします。
そしてやっとバッジがそろいました。次回!ポケモンリーグ挑戦!(予定)