忘却少女と異界の獣   作:k25

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※人によっては閲覧注意かもです。
時系列的にはキッサキジム後の出来事です。

投稿して数分でタイトル変えました。


EX1,断章-Tell me a bedtime story

「っくしゅん。」

 

キッサキシティでのジム戦を制したフィラン達。

寒さがあまり得意ではないフィランはさっさと宿に戻り、食事も済ませて暖をとっていた。

 

「ん~~、風邪気味かなぁ。」

 

暖房の前で丸まってそんなことを呟く。

 

「シャワー浴びて早く寝ようかな…」

 

今日は早く休もう。そう思い寝支度をすることにした。

 

・・・

・・

 

 

 

「ふう。」

 

すべての支度を済ませ、後は寝るだけだ。

そんなフィランの前にベッドを占拠する不法侵入者が現れる。

 

「……」

 

「…何してるの?」

 

不法侵入者はベッドに横になってポンポンとベッドを叩いている。

 

「……」

 

フェローチェは自分と一緒に寝ることで暖を取ることと、ついでに自分が看病をすると主張をしている。

 

「風邪なら暖めないとって…いや、移しちゃったら不味いよ…?」

 

そもそも人間の風邪がポケモンに移るのかは不明だが。

 

「あっ!」

 

そんなこんなでいると、フェローチェがフィランの腕をとりベッドに引きずり込む。

 

「全く、強引だなぁ…」

 

フェローチェのほうが圧倒的に力が強いのでこうなってしまえば逃げられない。

 

まあ本気で逃げようとも思ってないし、フェローチェも全力で押さえつけたりなどしないが。

 

 

 

ベッドに引きずり込んだフィランをフェローチェが抱き寄せる。

 

「ねえ~移っても知らないよ~?」

 

フィランはあきれた様子でそういうが、実際のところはまんざらでもない。

 

本当に移っちゃったら不味いと思いつつもフェローチェに抱きしめられると安心してしまい、なかなか離れることが出来ない。

 

「「……」」

 

ダメだとは思いながら無言でフェローチェに自分から腕を回してしまう。

 

「…ねえ。ほんとに移っちゃったらごめんね。」

 

だが逆にフェローチェは力を強める。

問題ないという事らしい。

 

「…うん。ありがとう。」

 

 

「いつも、」

 

フィランは何か言いかけて、少し口ごもった。

 

「……?」

 

「いつも、色々ありがとう、ね…

こないだも、あなたがいなかったらあの場で気を失って、最悪どうなってたかわからないし…

なのに、私は大した事してあげられないし…」

 

フィランはカンナギタウンでの一件を思い出していた。

 

あの場にいた3人の人物はどんな人なのかわからない。

でもフェローチェがその場から連れ出してくれなければ何か起こっていたかもしれないし、

何か起こりかねないからフェローチェはあの場から連れ出してくれたのだろう。

 

「私は今のままでも幸せだよ。ガブリアスや他の仲間たちもいるし、何よりあなたがいてくれる。思い出せなくて困ってる事なんて1つしかないの。

…あなたと出会った時の事や、出会ってからのこと、一緒に何をしてきたのか思い出せないのがすごく寂しいんだ…」

 

フェローチェが視線を自分の腕の中に落とす。

フィランもそれに気付いてフェローチェを見つめ返す。

 

 

フェローチェの紫の瞳がフィランの水色の瞳をじっと捉えて話さない。

 

 

「ねえ、あなたは私の過去を…知ってるんでしょう?」

 

「……」

 

フェローチェはフィランの過去を知っている。

かつてシロナも同じことを考えたが、フェローチェとコミュニケーションを取ることが出来ず、聞き出すことは出来なかった。

 

だが、フィランは違う。

フェローチェ自身もフィランと会話することを望んでいるし、願いは叶えてくれるだろう。

 

それでも、フェローチェは何も語らない。

 

「…ううん。ごめんね。何も言わないってことは、私のことを思ってそうしてるんだろうし。それに自分の探し物くらい、自分で見つけないとね。」

 

 

フェローチェが背中に回した手を少し上に動かして、フィランの頭をなでる。

 

「ふふ。」

 

フィランもそれに任せてフェローチェに抱きつく。

 

 

「もう寝る!!!おやすみ!!!」

 

急に恥ずかしくなったのか少し大きな声を出してしまう。

 

そのままフェローチェの胸元にうずくまって目を瞑ろうする。

 

 

 

 

だが、フェローチェがフィランの後頭部を押さえて、少し上を向かせる。

フェローチェの手によって無理やり見つめあわされる。

 

 

 

 

 

 

「あっ、ん…。バカ、移っても知らないからね!」

 




謝らないよ。
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