1話を投稿直後に大幅加筆、一部修正しました。
そちらも目を通していただけると幸いです。
シロナの下での生活はあっという間に過ぎ去っていった。
考古学研究の手伝い(とはいっても専門知識を要さない簡単な雑用だが。)や、
チャンピオンとしての戦いぶりを見学させてもらってはポケモンについていろいろ教えてもらったり。
フェローチェも最初は何もかもを警戒していたがシロナや手持ちのポケモンたちが危害を加えない、ましてや友好的に接してくることを受けて次第に態度が和らいでいった。
自分からかかわりに行くことはないが敵視もしていない、程度ではあるが。
(それにしてもここまで何もヒットしないとはね。フィランもそうだしフェローチェのことも。)
フィランを保護してからここまでの数か月、特に大きなトラブルも起きずいたって平和ではあったが代わりにフィランとフェローチェの素性についても何も進展していないのであった。
本人が記憶をなくしていることすら忘れているかのように過ごしているためこれといった問題も今のところはない。
その日の仕事が終わった後のこと、先日したある約束をフィランが確認してきた。
「シロナさん!明日は付き合ってくれるんですよね?!」
「ええ、もちろんよ。」
シロナは時間を見つけてはフィランとフェローチェにポケモンバトルについて色々教えていた。
(フェローチェ、私やナナカマド博士も知らない未知のポケモン。ましてトレーナーは何も知らない女の子。確実に悪い大人の標的になる。だからそうならないようにあの子たちには最低限自分たちを守れるだけの知識と力をつけて欲しい。)
幸い、フェローチェもフィランも才能はあったようだ。
フェローチェはパワーとスピードがほかのポケモンをはるかに凌駕するポケモンのようだ。
代わりと言っては何だが非常に打たれ弱い。
だが強みと弱みがはっきりしているのはいいことでもある。
それを補えるポケモンを仲間にすることは必要だがトレーナーとしてまだまだ初心者なフィランには戦略が立てやすい。
トレーナーであるフィランは非常に物覚えのいいタイプだった。
教わったことをグングン吸収しているし、今は手持ちはフェローチェのみだがそれ以外のポケモンについても積極的に調べようとしている。
そしてポケモンごとの得意なことや苦手なことを見抜く才能があった。
推測だがフェローチェという極端なポケモンと一緒にいるからだろうか?
そしてフィランは自分のことは何も覚えていないくせにフェローチェのことはよく理解していた。
そもそもフィラン以外知る人が今のところいないポケモンであるにも関わらず、タイプや覚えている技といったことは覚えていた。
(それだけ彼女にとって大事なことなんでしょうね。自分のことよりもフェローチェが大事だから、自分のことは覚えていなくてもフェローチェのことはよく覚えている。
なんていうのは考えすぎかしら。)
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翌日、フィランはシロナとともにシロナ宅の近くの開けた場所に来ていた。
(今日はこないだシロナさんのルカリオがやってた技、それを見てもらおう。)
先日シロナの戦いを見たときにルカリオが使っていた技、それをフェローチェもできるんじゃないかと思って密かに一緒に練習していたのだった。
「シロナさん、よろしくお願いします!」
「今日もよろしくね。それじゃ始めましょう!」
お互いボールを投げた。
フィランはフェローチェを、シロナはルカリオを繰り出した。
フェローチェのバトルの練習相手にはルカリオが選ばれることが多かった。
同じかくとうタイプを持つポケモンのため、何か学べることがあるんじゃないかということらしい。
「行くよフェローチェ!インファイト!」
フェローチェはルカリオをはるかに上回るスピードでルカリオの懐に潜り込み強烈な打撃を叩き込む。
鋼タイプでもあるルカリオに対してこのかくとう技は大ダメージとなったようだ。
相性もあるとはいえわずか1手でチャンピオンの手持ちを1匹沈めるパワーとスピードはやはり凄まじいものがある。
(よし!うまくいった!)
「やるわね!次はこの子ならどうかしら!」
シロナの次の手はガブリアスのようだ。
さすがチャンピオンの相棒というだけある。強者の風格を持つドラゴンがフェローチェの前に立ちはだかる。
「フェローチェ、続けてインファイト!」
先ほどと同じく強い打撃がガブリアスを襲う!
だが、
ガブリアスはやはりその場に堂々と立っていた。
「耐えられた?!」
「ガブリアス!げきりん!」
強大な竜の怒り、その一撃がフェローチェを襲う。
インファイトの代償としてガブリアスに肉薄していたフェローチェは防御が疎かになっている。
そうでなくともフェローチェの耐久ではまともに受け止めることもかなわなかったであろうが。
「お疲れ様、フェローチェ。」
傷ついた相棒をボールに戻す。
「あなたもお疲れさま。
それにしても驚いたわ。いつの間にかインファイトを習得していたなんてね。」
「こないだのシロナさんのルカリオのバトルを見て、フェローチェにもできるんじゃないかなっておもったんです。
結果はうまくいったかもしれないですけど、ガブリアスはそれを耐えうるだけの力を持っていて、私はそれを判断できなかった。
今は練習だからいいかもしれないですけど、いつか私の判断でフェローチェが傷付くことがあるかも…」
「大丈夫よ。誰しも初めから完璧な人なんていないわ。それにあなたがフェローチェのことを大切に思ってることはきっとその子にも伝わってるわよ。
あなたがいたずらにフェローチェを傷つけているわけじゃないって、お互いに信じあうことが何よりも大切なんじゃないかしら。」
「…はい!」
シロナの言葉に励まされ表情が明るくなるフィラン。
「さあ、傷も治療しなきゃいけないし今日はこの辺にしましょうか。」
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シロナとの戦闘練習とその傷の治療も終え、すっかり日も落ちた。
夕食の後、シロナ宅の借りている自室にてフィランはフェローチェをボールから出し何やら話をしていた。
「ごめんね、今日は痛い思いさせちゃったよね」
フェローチェは問題ないといった風に首を傾げた。
「強くならなくちゃね、もうあなたを誰にも傷つけさせたりしないよ。」
フィランは記憶の大部分が喪失している。
それでもフェローチェのことが大切でフェローチェが傷つくことを恐れている。
フィラン自身も気づかない、塗りつぶされた記憶の中にある嫌な思い出が彼女の感情に呼び掛けている。
それが無意識のうちに言葉に出ていたのだろう。
フィランにフェローチェが寄り添う。
記憶がなくともフィランがフェローチェを大切に思っているように、フィランの記憶がなくともフェローチェも変わらず同じように思っている。
「ふふ、ありがとうね。
今日はもう寝よっか。」
「おやすみ」
2話でした。
ポケモンの鳴き声を文字に起こすのって難しいですね。
1話のガブリアスの鳴き声はゲームの音声を自分なりに文字にしてみた形ですが、ルカリオとフェローチェの戦闘シーンなどはいまいちしっくりくる鳴き声の使い方が思いつかず3匹ともセリフなしです。
フェローチェって図鑑説明だとこの世界のすべてを汚らわしく思っている。的なことが書いてありますがSMだとトレーナーの手から豆食べるんですよね。意外となつくことにはなつくんじゃないかな、と思ってます。(多分実際はゲームの使用上の問題なところなんでしょうけど。)
戦闘描写に関しては覚える技は剣盾準拠です。トリプルアクセルかれいとうビーム打たなかったのはまだ覚えていないからです。
ゲームの設定的に無理のないようにしつつ読み応えのある戦闘シーンを書けるよう頑張りたいです。が、現状手持ちがフェローチェしかいないのでアッサリ気味になるのは勘弁していただけたらな、と。。。