忘却少女と異界の獣   作:k25

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ありがとうございます!!


伍、挑戦

ヒビキとアカネを見送った後、ラジオ塔を少し見物していくことにしたフィラン達。

 

ラジオ塔の2階ではガラスの向こうでラジオパーソナリティがマイクに向かって何やら話している。

 

「あ、ラジオ録ってるよ。あそこ。…行っちゃだめだよ?マジ。」

 

ラジオの電波か、機材か何かが気になったのか、何やらそわそわしてるロトムに注意喚起する。

うっかりラジオの録音や放送にトラブルを引き起こしてしまったら大変だ。

今度は弁償ではすまない。

流石にフィランの本気も伝わったのか、ロトムもそれ以上何かをする気配もなく、静かにラジオの収録を見学することができた。

 

 

「なーんだ、塔って言っても2階までしか上がれないのか。」

 

少しラジオの収録を見学した後、更に上の階にも行ってみようとしたのだがどうやら一般客は2階までしか立ち入れないらしい。

せっかく塔というなら上に行ってみたかった物だが、入れない物は仕方ないので諦めることとした。

 

「さて、じゃあ戻ろっか。ごはん食べよ。」

 

日も暮れてきたところで今日はこの町で一泊することに。

宿をとるためにもラジオ塔を出ようとしたところ、

 

「あ、フィラン!まだいた!」

 

「ん?ヒビキ君。今日2回目だね。」

 

何やらヒビキが少し慌てた様子でこちらに向かってきた。

 

「僕とバトルしてよ!」

「ん、いーよ。」

 

何やら急な展開だが特に断る理由もなく、あっさりと承諾するフィラン。

 

「え、あ、ありがとう…」

 

「どうかした?」

 

「い、いや、あっさりOKされるもんだから…

行っといてなんだけど普通はもっと理由とか聞かない?」

 

勝負を仕掛けたヒビキ自身もあまりの展開に驚いている。

 

「まあ、普通に道にいるトレーナーもいきなり勝負仕掛けてくるしさ。そういうもんかなって。」

 

「…確かに。」

 

フィランのいうこともごもっともである。

 

「まあでも、一応理由は聞いておこうかな。」

ヒビキ自身がそのように言うという事は、何か理由があるのだろう。

せっかくなので聞いておくことにした。

 

「なんだよそれ…

まあ、大したことじゃないんだけどさ、僕も3つバッジを手に入れたしどれくらい力が着いたか確かめたいんだ。

フィランには初めて会った時に一瞬でやられちゃったから、いまならどれくらい戦えるのかなって思ってさ。」

 

「なるほどね。そういうことなら!受けて立ちましょう!」

別にどういうわけでもだいたい受けて立つのだが。

 

 

 

 

 

町の往来でいきなりポケモンバトルを始める訳にもいかないため、一旦町のはずれの草むらの方へやってきた二人。

 

「よし!勝負だ!」

実力を確かめる。なんて言ってはいたが内心はどうやら本気のようだ。

そうでないと張り合いがないしヒビキが手抜きで立ち向かってくるとも考えていなかったが。

「行くよ!エンペルト!」

 

 

フィランの最初のポケモンはエンペルト、対するヒビキのポケモンは、

 

「モココ!」

 

でんきタイプの羊のようなポケモン、モココだ。

 

「でんきショック!」

 

みずタイプのエンペルトに大してでんき技は効果抜群だ。

エンペルトはこのジョウト地方に野生で生息していないポケモンだ。

にも関わらず的確に効果抜群を狙ってきたのはやはり天性のセンスといったところか。

 

「エンペルト、ラスターカノン。」

 

だが、センスだけではどうにもならない事もある。

 

エンペルトはでんきショックを無理やり受けながら銀色の光を翼に集める。

レベルの差があるせいか、効果抜群の技といえど大きなダメージとはなっていない様だ。

 

そのまま放たれた光弾がモココに直撃する。

 

「モココ!」

 

エンペルトのラスターカノンを受けたモココは一撃で戦闘不能となってしまった。

ヒビキはモココをボールに戻し、次のボールを構えた。

 

「やっぱり強いな、フィランは。

でも僕もただやられてるだけじゃないよ!」

 

ヒビキの次なる手はヘラクロス。

 

「ヘラクロス!かわらわり!」

 

ヘラクロスのかくとう技がエンペルトの鋼の装甲を打ち砕こうと迫る。

流石のエンペルトもこれにはダメージを受けたようで少しよろめく。

 

「よし!そのままもう一度!押し切れ!」

 

それをいいことにこのまま勝負の流れを自分の物としようとする。

 

「エンペルト!アクアジェットで無理やりはねのけて!」

 

先ほどのかわらわりのダメージを耐えつつ、アクアジェットでヘラクロスを押しのけ素早く距離をとる。

これによりヘラクロスはかわらわりを当てるためにもう一度エンペルトに近づかなくてはならなくなった。

 

「エンペルト、今のうちに戻ってきて。」

 

その隙を利用させてもらう。

エンペルトをボールに戻し、ポケモンを交代する。

 

「ガブリアス。行ってきて。」

 

交代で出てきたガブリアスにヘラクロスのかわらわりが命中するが持ち前の耐久を活かして技を受け止めなる。

 

「ストーンエッジ!」

 

フィランの声に反応してガブリアスが雄たけびをあげる。

直後、ガブリアスの目の前、ちょうどヘラクロスの真下から鋭い岩が隆起した。

 

「っ!ヘラクロス!避けて!」

 

かろうじて後ろに下がる事で直撃を回避したヘラクロス。

そこに追い打ちをかけていく。

 

「ガブリアス!ほのおのキバ!」

 

自分で出した岩を飛び越え、ガブリアスは一段高い所からヘラクロスに襲い掛かる。

ヘラクロスは上からの攻撃に今度こそ避けることができず、思い切り噛みつかれてしまう。

 

効果抜群のほのお技を受けて、ヘラクロスも戦闘不能となった。

 

「交代なんてありかよ!?」

「ありもありだよ!」

 

実際、シンオウリーグでは何度も交代しながら戦うシーンもあった。

交代を絡めながら戦うのはフィランの十八番のようなものか。

 

「次だ!マグマラシ!かえんぐるま!」

 

「ガブリアス。もう一度くらいなら攻撃、受け止められるよね?」

 

「グオゥ!」

 

力強く応えるガブリアス。頼りになるポケモンだ。

 

そうして、炎を纏って回転突進してくるマグマラシを両手で受け止め少しずつ回転を止める。

完全に回転が止まったマグマラシをそのまま地面に叩きつける。

 

「流石!わかってんじゃん!ガブリアス、じしん!」

 

かつても似たようなことをしたことがある。

そのためガブリアスもどうするべきかわかっていたようだ。

 

地面に叩きつけられ倒れ伏すマグマラシにじしんが襲い掛かる。

こちらも効果抜群、マグマラシは戦闘不能となった。

 

 

「…僕、とんでもないポケモンに腕掴まれてたんだな。」

初めてあった時のことを思い出しヒビキは少し青ざめる。

 

「大丈夫だよ!流石に加減してたって!」

当たり前だ。

 

 

 

 

「これが最後のポケモン!頼んだ!」

 

ヒビキはマグマラシをボールに戻し、最後のボールを放った。

 

 

「最後なら行こうか、フェローチェ!」

 

フィランもここで再びポケモンを交代させる。

せっかくこの地で出来たライバルと初めて全力で戦うのだ。

一番の相棒を見せつけたくなった。

 

 

「出たな。フェローチェ。」

 

ヒビキはフェローチェに一瞬でヒノアラシが倒された時のことを思い出した。

あの時は姿すらまともに追うことが出来なかった。

 

「そう。これが私の最高のパートナー。ヒビキ君にも自慢したくてね!」

 

フィランは自信満々に言い放った。

最高のポケモンだと心から思ってる、故に負ける気がしないので只の自慢になってしまうな、と驕りでもなく本気で言っている。

 

対するヒビキの最後のポケモンはトゲピー。

ウツギ博士から託されたタマゴから帰ったポケモンだ。

 

「こうなったら最後の手段だ。僕は賭けに出るぞ。」

 

なにやらヒビキは奥の手を隠し思っている様だ。

 

「行くぞ!トゲピー!メロメロ!」

 

トゲピーは可愛らしくフェローチェにアピールしている。

一方、フェローチェは

 

「……」

 

全く歯牙にも掛けない様子だ。

 

「ヒビキ君…フェローチェにメロメロは効かないよ。」

 

フェローチェは正確には性別が不明なポケモン。メロメロは通用しない。

まあ仮に性別があったとしてもこのフェローチェには通用しないだろうが。

 

「嘘!?」

 

「マジ。フェローチェ、とんぼがえり。手加減してあげてね。」

 

 

勢いよくフェローチェがトゲピーに襲い掛かりフィランの手元に戻る。

トゲピーは戦闘不能。勝負はフィランの勝ちとなった。

 

「くそ~。やっぱりフィランには勝てないか~。でもいつか追いついて見せるからな!」

「いつでも受けて立つよ。」

 

負けてなお闘志を燃やすヒビキ、更に強くなってフィランの前に立ちはだかる事だろう。

フィランもそれが楽しみで、再戦をお互いに約束した。

 

 

-

「…うん。だから交代は相手の出す技をある程度予想しながらやると効果的じゃないかな。」

「なるほどな…」

 

夕食を済ませた後、フィランは宿泊する部屋にヒビキを招いてバトルについての談義をしていた。

 

「特に、私の場合だとエンペルトにでんき技って撃たれやすいから、そこでガブリアスに交代して受けるとかかな。」

「…そうすれば相手の技も無効にしながらこっちは有利なポケモンを出せるってことか。」

 

一件、会話だけを聞いている分には何らおかしな所は無い。

だが、フィランには先ほどから気になってしょうがない点が一つあった。

 

 

「……」

 

(なんでフェローチェは私の腕をずっと掴んでるんだろう…)

 

ヒビキと向かい合って座っているフィラン。そのフィランの腕をフェローチェが両腕でしっかりとホールドしている。

 

時々頭を肩に預けるような場面もみられる。

 

(人前でそんなに甘えられたらちょっと恥ずかしいよ…)

 

 

「フィラン?聞いてる?」

 

「ん。ああごめん、なんだっけ?」

 

その状況に気を取られ、ヒビキの話も聞き洩らしてしまっていた。

せっかく来てくれているのだ、これは良くない。と頭を切り替える。

 

すると、今度はフェローチェがフィランの後ろに周り、背後から手を回している。

後ろから抱きついて頭をフィランの肩に載せている。

 

流石に気になったのかフィランはフェローチェに声を掛ける。

「…どしたの?…流石に人前だからちょっと恥ずかしいんだけど…」

 

「前もそうだったけどすごい仲いいよね。いつもそんな感じなの?」

 

いままでその様子を静観していたヒビキも気にはなっていたようだ。

 

「えっ⁉う、うん。どうだろね?」

(い、言えない。いつもはこんなものでは無いなんて言えない…)

 

「でもすごいよな。それだけポケモンと信頼しあってるって事だろ?

僕もマグマラシ達ともっと仲良くなれるように頑張らないとな。」

 

「そ、そうだね…」

(ヒビキ君、多分勘違いしてるよね…普通にポケモンとトレーナーの範疇のスキンシップだと思われてるかな。)

 

 

まさかヒビキからそのことについて触れられると思ってなかったフィランは同様を隠し切れずにいる。

ヒビキからしてみれば特に他意の無い質問だったのでフィランの心情は察するはずもないが。

 

「あ、もういい時間だね。僕はそろそろ失礼しようかな。」

 

「う、うん。わかった。またね。」

 

ヒビキを部屋の入り口まで見送ろうと思ったがフェローチェが離してくれなかったためその場からの見送りとなってしまった。

 

 

 

 

 

「…フェローチェ。どうしたの?人前であんなにくっついてきたこと今まで無かったのに。

 

「………」

 

「え?そんなこと心配してたの?」

 

どうやらフェローチェはフィランが男性を部屋に招くというのが心配でそうしていたらしい。

 

「大丈夫だよ。私が好きなのはずーっとフェローチェだけだよ。」

 

「…………」

 

「それも大丈夫。だって何かあったらあなたが守ってくれるでしょ?」

 

「……」

 

フェローチェはフィランに抱きついてそのままベッドに二人でダイブ。

 

「ふふ、今日は甘えん坊だね。」

 

そうして少しからかってやると、フェローチェ照れ隠しのようにフィランの頬を軽くつねる。

 

「いひゃい。ひゃめて。」

 

そのまま手を軽く引っ張って離したフェローチェ。

 

「……」

 

「ずっと一緒って約束、私は死んでも破らないからね。大丈夫だよ。」

 

「……」

 

「うーん、破らないからもしもの話をしてもしょうがないんじゃないかな。」

 

「…」

 

「あ、なんだとぉ?」

 

 

 

楽しい二人の時間はもう少し続きそうだ。

 




イチャコラが、書きたかっただけです…

ヒビキ君と初ガチ戦闘。さすがにレベル差があるのでまだまだフィランの圧勝といった感じですが。
ヒビキ君の手持ちはフィランとは違ってメンバー交代ありの予定です。
交代といってもリストラ的な感じではなく複数いる仲間がローテーションする。見たいな明るい感じのイメージです。

フェローチェにメロメロは効きません。そもそもの性質でありますが、性別の関係で有効だったとしてもフィラン以外に気持ちが傾くことは無いので効きません。

前書きでも述べましたが評価バーに少し色が付きました。
本当にありがとうございます。
自分勝手に書いてる拙作ではございますが読んでもらえているということ、評価を頂けるということは大きなモチベーションになると実感いたしました。

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